最終更新日: 2026.10.29
急な増員で離職率50%になった理由|採用を急ぐ前に決めることを当社の経験から解説

急な増員は、既存メンバーとの考え方のずれと利益の悪化を同時に招き、当社では離職率が50%ほどまで上がりました。組織が崩れた経緯、採用を急ぐ前に決めること、崩れ始めたときの失敗、採用より先に商談をつくる視点を解説します。

監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)

事業を伸ばすために急な増員を考えているものの、組織が崩れないか不安を感じることはないでしょうか。

この記事では、当社で組織が崩れた経緯、採用を急ぐ前に決めること、採用より先に商談をつくる視点を解説します。

この記事の要約

  • 人数ありきの急な増員は、利益の悪化と組織のずれを同時に招き、当社では離職率が50%ほどになりました
  • 採用は人数ではなく「自社に合う良い人か」で決め、既存メンバーとの比率とお試し期間を設けます
  • 1人目の営業を雇う前に、外部の紹介で決裁者との商談をつくる方法もあります

急な増員で組織が崩れた経緯

オンリーストーリーは、大型の資金調達のあとに急な増員を進め、組織を崩した経験があります。

すべての原因は経営にあったという前提で、何が起きたかを3つの段階で振り返ります。

人数ありきの採用で会社の顔ぶれが変わった

資金調達のあとは、決めた人数を早く採用することが目標になりがちです。

当社は人数を基準に採用を急いだ結果、インターン生と新卒が9割の会社から、中途が7割の会社に変わりました。

短い期間で顔ぶれが変わると、それまでの文化や仕事の進め方が引き継がれません。

採用計画を立てるときは、人数と同時に、組織の構成がどう変わるかを書き出してください。

売上の伸びを優先し、利益が大きく悪化した

当時は、赤字でも月々の継続売上が伸びていれば評価されやすい時代でした。

当社も継続売上の伸びを優先して利益を軽く見た結果、月次の赤字が5,000万円を超えました。

調達した資金を使って伸ばさなければ、という焦りもあったと代表の平野は振り返っています。

増員を決める前に、人件費の増加で毎月の利益がどう動くかを試算してください。

コスト削減の負担が現場に流れ、離職が続いた

赤字を止めるため、当社は採用の停止や広告費、外注費の削減を進めました。

削った外注の仕事が現場に流れ、声を聞く余裕も失った結果、一時期の離職率は50%ほどになりました。

急成長を期待して入ったメンバーと、従来からのメンバーの両方にとって、会社が思い描いた姿とずれていたのです。

削減を進めるときこそ、現場の負担がどこに移るかを確かめてください。

採用を急ぐ前に決めること

増員そのものが悪いのではなく、決めておくべきことを決めずに急ぐと崩れます。

当社が組織を立て直す中で学んだことを4つ挙げておきます。

人数ではなく「良い人か」を基準にする

増員の目標が人数で置かれると、合うか分からない人まで採用してしまいます。

採用は、自社にとって本当に良い人だけに絞ります。

新卒か中途か、正社員か業務委託かは、良いか悪いかとは別の軸です。

一般論や流行りより、自社の場合は誰をどう迎えるのが良いかを考え抜いてください。

既存メンバーに対する新メンバーの比率を決める

急な増員は、筋肉痛のつもりが肉離れになることがあると、代表の平野は表現しています。

既存メンバーに対して新メンバーが多すぎると、育成も文化の共有も追いつきません。

教える側が足りない状態では、新メンバーも力を出せずに辞めていきます。

1人の既存メンバーが何人まで受け入れられるかを、採用の前に決めておいてください。

お試しで一緒に働いてから決める

面接だけで、入社後に合うかどうかを見極めるのは難しいものです。

業務委託などのお試し期間を設けると、会社と候補者の双方が相性を確かめられます。

お試しは、会社のためだけでなく、候補者が入社を判断する材料にもなります。

お試し期間の長さと、何をもって判断するかを事前に伝えてください。

評論家ではなく実践者を迎える

ベンチャーでは、仕組みを語れる人より、自分の手で成果を出せる人が必要になります。

当社の学びは、ベンチャーには実践者を必ず入れるべきだということでした。

一般論として正しい意見でも、現場で手が動かなければ数字は変わりません。

面接では、考え方に加えて、自分で手を動かして出した成果を聞いてください。

組織が崩れ始めたときにやりがちな失敗

組織が崩れ始めると、経営者は手を打とうとして、かえって状況を悪くすることがあります。

当社が実際に陥った失敗を3つ紹介します。

正しい説明で納得させようとする

離職が続くと、「戦略が見えない」という声が社内から上がり始めます。

このとき戦略をいくら説明しても、信頼と実績がなければ言葉は届きません。

当社でも、説明すれば疑われ、説明しなければ方向性が見えないと言われる状態が続きました。

正しさを説くより先に、小さな約束を守り、結果で示すことを優先してください。

コストを削り続ける

赤字を止めるためのコスト削減は、最初は目に見えて効果が出ます。

ところが削減の効果はやがて小さくなり、広告費を抑えた分の新規売上も減っていきます。

当社では、お客様への投資が減ったことで解約率も上がりました。

削減と同時に、売上を生む活動にどこまで費用を残すかを決めてください。

入社時期によるずれを放置する

急な増員のあとは、入社の時期によって会社に期待するものが違います。

急成長を求めて入った人と、元の会社の良さを大切にする人のずれは、放置すると離職につながります。

リモートワークが中心だと、ずれに気づくのがさらに遅れます。

経営陣は、入社時期の違うメンバーそれぞれと話す時間を意識してつくってください。

採用より先に商談をつくる視点

当社は約2年をかけて単月黒字に戻り、その時点では離職率も大きく下がっていました。

この経験から見えた、採用より先に考えたい視点を3つ紹介します。

1人目の営業を雇う前に商談の入口をつくる

営業が足りないと感じると、まず営業担当の採用を考えがちです。

商談の入口が少ないまま営業担当を増やしても、売上は増えず人件費だけが増えます。

当社の紹介型サービスでも、1人目の営業担当を採用する代わりに使う企業があります。

採用を決める前に、毎月の商談数がどこで止まっているかを確かめてください。

雇用以外の関わり方を組み合わせる

人手が足りないときの選択肢は、社員の採用だけではありません。

業務委託や顧問など、雇用以外の関わり方を組み合わせると、組織の負担を抑えて力を借りられます。

正社員か外部かは良し悪しではなく、自社の今の段階に合うかどうかで選びます。

足りない役割を書き出し、社内で担うものと外部に任せるものを分けてください。

信頼できる人に決裁者を紹介してもらう

営業組織が整う前の会社ほど、決裁者と会う機会を自力でつくるのは大変です。

オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。

中心サービスの縁CXOでは、定例の打ち合わせで狙う相手を聞き、8,000名以上の決裁者から直接紹介します。

一方で、商材の単価が低い場合や担当者レベルで決裁が完結する商材では、効果が出にくい傾向があります。

オンリーストーリーの事例▼

合同会社TFパートナーズは、福利厚生サービスを多くの企業に知ってもらう方法を探していました。

経営層に直接知ってもらうことが効果的だと考え、決裁者マッチングを導入しました。

その結果、3か月で約40人の決裁者と面談し、2名から契約を得ました。

ほかにも、決算期に向けて前向きに検討するという声が届いています。

導入事例▶ スタートアップの社長が3か月で40人の決裁者とマッチングした事例はこちら

代表・平野のnote▼

代表の平野は、月次の赤字が5,000万円を超えた状態から、約2年で単月黒字に戻した過程を書いています。

利益を軽く見たことと、コスト削減の負担が組織に回ったことが、離職の連鎖を生んだと振り返っています。

戦略を伝えるには、正しさよりも信頼と実績が必要だったと述べています。

増員を急ぐ前に、利益と組織にかかる負担を同時に考えることが大切です。

代表・平野のnote▶ 月5,000万円の赤字から単月黒字に戻した過程を代表が語ったnoteはこちら

まとめ

人数ありきの急な増員は、利益の悪化と組織のずれを同時に招き、当社では離職率が50%ほどになりました。

採用は人数ではなく、自社にとって良い人かどうかで決めてください。

既存メンバーとの比率とお試し期間を決め、ベンチャーでは実践者を迎えます。

組織が崩れ始めたら、説明よりも信頼と実績を積み、コストを削りすぎないようにします。

営業担当を増やす前に、商談の入口がどこで止まっているかを確かめます。

1人目の営業を雇う前に、信頼できる人からの紹介で決裁者との商談をつくる方法も考えてみてください。


よくある質問

Q. 急な増員で離職率が上がるのはなぜですか

A. 新しく入った人と既存メンバーの考え方がずれ、育成や文化の共有が追いつかなくなるためです。

当社では人件費の増加で利益も悪化し、一時期の離職率が50%ほどになりました。

Q. 採用で失敗しないために何を決めておくべきですか

A. 人数ではなく「自社に合う良い人か」という基準と、既存メンバーに対する新メンバーの比率です。

業務委託などのお試し期間を設けると、双方が相性を確かめられます。

Q. 営業担当を採用せずに商談を増やす方法はありますか

A. 業務委託や営業顧問、紹介サービスなど、外部の力で商談の入口をつくる方法があります。

採用を決める前に、毎月の商談数がどこで止まっているかを確かめてください。

この記事の監修者

平野哲也

平野 哲也(ひらの てつや)

株式会社オンリーストーリー 代表取締役

BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。

累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。

「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。

ENICXO
メッセージアイコン オンリーストーリー代表 平野からのメッセージ
オンリーストーリーでは、これまで10年以上にわたり、
BtoB営業における「集客の課題」と真剣に向き合ってきました。

経営者同士が信頼でつながるマッチングプラットフォームや、
想いを届ける手書きの手紙など、独自の形で支援を続けています。

そして最近では、経営者同士を直接つなぐ「顧問&コミュニティサービス」も新たにスタートしました。

私たちが大切にしているのは、単なるマッチングツールの提供ではなく、
一社一社の課題に寄り添い、"本当に意味のある出会い"をつくることです。

もしBtoB集客でお悩みの決裁者の方がいらっしゃいましたら、
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