営業活動は企業の成長を左右する重要な要素ですが、「売上が伸び悩んでいる」「営業戦略が定まらない」「人材育成に課題を感じている」といった悩みを抱える企業は少なくありません。
こうした課題を外部から的確に支援し、解決へと導く存在として注目されているのが「営業顧問」です。
営業顧問は、豊富な経験や業界知識、人脈を活かし、企業の営業力強化に貢献する“外部の右腕”とも言える存在です。
本記事では、営業顧問の役割や導入メリット、選び方から効果的な活用方法までをわかりやすく解説します。
営業顧問の導入を検討している方はもちろん、営業体制の強化を目指す経営者・マネージャーの方にも役立つ内容です。
営業顧問とは?
営業顧問とは、企業の営業活動に対して専門的なアドバイスや支援を行う外部の専門家のことです。
単なるアドバイザーとしての立場にとどまらず、企業の営業戦略の設計から、実行支援、人材育成、成果の検証まで幅広い領域で関与します。
特にスタートアップや営業組織が未成熟な企業にとっては、営業顧問の存在が売上拡大の鍵を握ることも少なくありません。
営業リソースの補完やナレッジの共有、外部ネットワークの提供といった側面から、営業顧問の活用は近年急速に注目を集めています。
営業顧問の定義と基本的な役割
営業顧問とは、企業の営業活動全般に対して「社外から支援する専門家」です。
顧問といっても、名義貸しや象徴的な存在ではなく、実際の営業戦略に踏み込んで提案や改善活動を行うのが一般的です。
主な役割としては、営業戦略の立案、KPIの設定、営業資料やトークスクリプトの改善、営業担当者へのOJT、業界ネットワークの紹介などがあります。
また、場合によっては既存の営業チームの評価やマネジメントの再構築まで踏み込むこともあります。
経営者と営業現場の橋渡し的な存在ともいえ、経験豊富な営業パーソンが担うケースが多いのも特徴です。
営業代行・コンサルとの違い
営業顧問と混同されやすいのが「営業代行」や「営業コンサル」です。営業代行は、主にアポ獲得や商談実施などの“実働”を担い、営業活動を一部外注する形態です。
一方、営業コンサルは、営業組織全体を分析し、課題発見・戦略策定・体制改善などを行う“提案型”が中心です。
営業顧問は実働もコンサル的な視点も持ち合わせた「継続的かつ伴走型の支援者」として機能します。
単発の成果にとどまらず、企業にとって中長期的に営業力を底上げする役割を担うのが営業顧問の大きな強みです。
営業顧問と関連性の高い「リファラル営業」については、こちらの記事で解説しています。
どんな企業に営業顧問が必要とされているか
営業顧問が必要とされる企業にはいくつかの共通点があります。
たとえば、創業間もない企業やベンチャー企業では、営業組織が未整備だったり、営業ノウハウが社内に蓄積されていなかったりするケースが多く、営業顧問の支援が有効です。
また、新規事業の立ち上げフェーズでも、ターゲット選定や営業戦略の見直しが求められるため、外部視点を持つ営業顧問が重宝されます。
さらに、営業成果が頭打ちになっている中堅企業や、営業マネージャーが育っていない企業にもニーズがあります。
営業顧問は、こうした企業に対して“売れる仕組み”を一緒に構築する存在として、大きな役割を果たします。
営業顧問を導入するメリット・デメリット
営業顧問の導入は、専門的な知見やネットワークを社外から取り入れる手段として非常に有効です。
特に営業組織の立ち上げ期や新たな市場開拓に挑むフェーズでは、経験豊富な顧問の存在が成果を大きく左右します。
ただし、顧問選びを誤った場合や、目的が不明確なまま導入すると、期待した効果が得られないばかりか、コストや社内混乱を招くリスクもあるため注意が必要です。
以下に、営業顧問のメリットとデメリットを一覧表で整理し、導入の判断材料としてください。
営業顧問導入のメリット・デメリット一覧
営業顧問導入のメリット・デメリットを以下の表にまとめました。
メリット | デメリット |
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営業戦略の立案・改善に対して専門的なアドバイスが得られる | 月額報酬や成果報酬によるコスト負担が発生する |
顧問の人脈を活用して、新たな商談・パートナー紹介などが期待できる | 社内メンバーとの相性や温度感のズレにより、現場が混乱するリスクがある |
若手営業メンバーへの実践的な育成・指導が可能 | 顧問の稼働内容が曖昧だと、成果や貢献が可視化しづらくなる |
KPI設計や営業評価制度など、営業組織の仕組み作りに貢献できる | 顧問のノウハウが自社に合わない場合、逆に非効率になることもある |
社外の視点から冷静に分析・改善提案ができ、内部にない視野を得られる | 即効性がなく、成果が出るまでに時間を要するケースもある |
営業顧問が効果を発揮しやすい会社の特徴
営業顧問が特に効果を発揮するのは、以下のようなフェーズや課題を持つ企業です。
- 営業部門が未整備で、何から着手すべきか分からない
- インバウンド中心で、新規開拓のノウハウが不足している
- 成長の壁にぶつかっており、次の打ち手を模索している
- 経営層が営業現場との距離感を感じている
- 新市場・新サービスの立ち上げを検討している
特に、スタートアップや中小企業では、社内に十分な営業人材を確保するのが難しいケースが多いため、外部顧問を柔軟に活用することが、成果の近道になります。成功の鍵は、「目的の明確化」「役割の定義」「社内との連携体制」の3点を整えることです。
営業顧問の契約形態と費用相場
営業顧問を導入する際は、契約形態や費用面の把握が非常に重要です。契約の種類や報酬体系によって、企業側の期待する成果や関与度が大きく変わってきます。ここでは主な契約形態や費用相場、契約時に確認すべきポイントについて解説します。
顧問契約の主な形式(月額/成果報酬/ハイブリッドなど)
営業顧問の契約形式には、大きく分けて以下の3つがあります。
- 月額固定型:毎月一定額を支払う形式。一般的な顧問契約で、稼働日数や提供されるサービスが契約時に明確に定められます。
- 成果報酬型:成約数や売上などの成果に応じて報酬が支払われる形式。成果が出るまで費用を抑えられる反面、成果定義や計測方法を事前に明確にしておく必要があります。
- ハイブリッド型:月額報酬に加え、成果報酬を組み合わせた形式。安定した支援と成果インセンティブの両立が可能です。
費用の目安(5万〜30万円/月などの実例)
営業顧問の費用相場は業界や支援内容、顧問の経験値によって異なりますが、以下が一般的な目安です。
顧問タイプ | 月額費用の目安 | 契約内容例 |
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若手営業顧問 | 5万円〜10万円 | 営業戦略の見直し、若手育成 |
中堅〜ベテラン | 10万円〜20万円 | 組織改革、KPI設計、商談同席 |
大手企業経験者 | 20万円〜30万円 | 事業開発、経営陣への営業戦略提言など |
成果報酬型の場合は「1件成約あたり●万円」「売上の●%」といった設定が一般的です。
契約時に確認すべきポイント(期間、KPI、レポート等)
営業顧問との契約では、以下のポイントを事前に明確にしておくことで、期待外れやトラブルを回避できます。
- 契約期間:3ヶ月〜6ヶ月の中期契約が一般的。成果が見えるまでの期間を考慮して設定しましょう。
- KPIの明示:商談件数、成約率、受注金額など、評価軸を具体化することが重要です。
- 業務範囲の明記:戦略立案だけでなく、同行営業や資料作成支援など実務面の関与度も取り決めましょう。
- レポート体制:月次レポートや定例MTGなど、成果の可視化と改善提案が可能な体制を作っておくと安心です。
営業顧問の導入事例と成果
実際に営業顧問を導入した企業では、さまざまな成果が生まれています。業種や企業フェーズによって効果は異なりますが、適切な顧問との連携がもたらすインパクトは小さくありません。以下に、業種別の事例や成果内容を紹介します。
業種別の成功事例(IT、製造、スタートアップなど)
- IT企業(BtoB SaaS):営業顧問の導入により、アポ獲得率が3倍に。インサイドセールス体制の整備を支援し、安定的なリード獲得が実現。
- 製造業:既存顧客への深耕営業手法を確立。技術者との連携型営業を提案し、受注単価の向上に成功。
- スタートアップ:資金調達直後に営業顧問を導入。新規営業戦略の立案とピッチ改善により、主要取引先の開拓に貢献。
どのような施策が効果を生んだのか
営業顧問が実施した施策として、以下のような取り組みが効果を発揮しています。
- ターゲット層の見直しとセグメント別アプローチ戦略の再設計
- トークスクリプトや提案資料の改善
- 商談フローの標準化とナレッジ共有の仕組み化
- 営業KPIの再定義とダッシュボードの導入
実際の成果(売上増加/商談数増/組織改善)
営業顧問を導入した企業での具体的成果としては、以下のような実績があります。
成果内容 | 詳細事例 |
商談数の増加 | 月間商談数が導入前の2倍に。新規開拓のフローを改善。 |
成約率の向上 | トークや提案方法の改善により、成約率が15%→30%に向上。 |
組織体制の改善 | 営業会議やKPI管理が機能し、属人営業からチーム営業へ。 |
売上の増加 | 半年で売上が150%成長した企業も。 |
このように、営業顧問の導入は単なる「人材補填」ではなく、組織全体の底上げと成長に直結する戦略的施策と言えます。
営業顧問を選ぶ際の比較ポイント
営業顧問を選定する際には、「誰でもいい」というわけにはいきません。自社の営業課題を解決するパートナーとして機能するかどうかは、選び方次第です。単なる経歴の華やかさではなく、実務においてどんな支援ができるか、相性が良いか、契約条件は納得できるかなど、総合的な視点が求められます。以下では、営業顧問選びで失敗しないための重要な比較ポイントを解説します。
実績・専門分野の確認方法
営業顧問を選ぶ上で、まずチェックすべきはその「実績」と「専門分野」です。業界に精通しているか、類似企業の支援経験があるか、どのような商材や営業チャネルに強いのかなど、確認すべきポイントは多岐にわたります。面談時には以下のような質問を行いましょう。
- これまでに支援した企業の業種や規模
- 実際に改善したKPIや売上成果
- 得意な営業スタイル(インサイド/フィールドなど)
- どのような商材に強いか(無形/有形)
特に、自社と似た事業モデルや課題を持つ企業で成果を出している場合、導入後の再現性が高まる傾向があります。可能であれば、過去クライアントの声やケーススタディを資料として提示してもらうのも有効です。
顧問と企業との相性の見極め方
いかに実績が豊富でも、企業との「相性」が悪ければ、そのノウハウも活かしきれません。営業顧問は単なる助言者ではなく、現場と一緒に動いていく存在です。そのため、以下のような観点での相性チェックが不可欠です。
- 経営層とのコミュニケーションスタイルが合うか
- 現場社員との信頼関係が築けそうか
- 自社カルチャーを理解・尊重してくれる姿勢があるか
- 指導方法がトップダウン型か、伴走型か
初期面談では「どのように現場と関わるか」「課題発見から改善提案までの進め方」など具体的に聞き出しましょう。また、短期トライアル契約で相性をテストするのも一つの方法です。
契約前に確認すべきチェックリスト
営業顧問の契約は、口頭の合意だけではトラブルの元です。スムーズな導入と継続的な成果を得るために、契約前には以下の項目を明確にしておく必要があります。
チェック項目 | 内容の確認ポイント |
---|
契約期間 | 最低契約期間や更新条件の有無 |
稼働頻度 | 週/月の稼働日数・時間 |
費用・支払い条件 | 月額固定/成果報酬の有無、支払いサイト |
支援範囲 | 戦略策定のみか、現場同行も含むか |
成果指標 | どのKPIを成果とみなすか |
中途解約条件 | 双方にとってフェアなルールか |
これらを文書化し、顧問・企業双方で認識を揃えておくことが、後のトラブル回避につながります。
営業顧問を探すには?依頼方法と注意点
営業顧問の導入においては、「誰を選ぶか」だけでなく「どのように探すか」「どんな契約を結ぶか」も重要です。優秀な人材であっても、選び方や運用方法を誤れば期待する効果は得られません。ここでは営業顧問を探す方法や、契約時・運用時に押さえるべき注意点を詳しく解説します。
紹介・エージェント・マッチングサービスの活用
営業顧問を探す方法は大きく3つあります。
- 紹介(人脈経由)
信頼できる関係性の中でマッチングされるため、顧問との相性や信頼性が高いケースが多いです。ただし、候補者数は限られがちです。 - エージェントの活用
企業の業種や課題に応じて適任の人材を提案してくれるため、初めて営業顧問を導入する場合でも安心です。費用は紹介手数料や中間マージンが発生します。 - マッチングプラットフォーム
「KENJINS」「プロパートナーズ」などの専門サービスを使えば、登録された営業顧問候補の中から希望条件で探せます。比較検討しやすい反面、マッチング精度は自身での見極めが重要になります。
契約書のチェックポイントと法的注意点
営業顧問との契約には、以下のようなチェックポイントがあります。特に業務内容と成果物の範囲を明文化し、トラブルを避けることが大切です。
チェック項目 | 説明 |
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契約形態 | 業務委託契約か顧問契約か |
業務内容 | 具体的にどこまで支援するか(戦略/同行/教育など) |
契約期間 | 期間の定めや更新条件 |
成果報酬の有無 | KPIに応じた報酬設計の必要性 |
守秘義務・競業避止 | 情報漏洩や利害衝突の防止 |
解約条項 | 双方が納得できる中途解約条件 |
特に注意すべきは「指揮命令系統」に関する記載。顧問が企業の指揮命令下に入ってしまうと、労働者性が問われ、労務リスクが生じる可能性があります。法務チェックも検討しましょう。
失敗しないための運用・コミュニケーションのコツ
顧問導入の成功は、「採用後の運用体制」にも大きく左右されます。以下のポイントを押さえて運用することで、成果を最大化しやすくなります。
営業顧問の導入を成功させるためには、運用体制の整備が重要です。
まず、定期的なコミュニケーションを確保するために、少なくとも月に1回は定例ミーティングを実施し、進捗状況の確認を行います。
また、営業数値や成果に関するKPIをリアルタイムで共有し、必要に応じて迅速な軌道修正を図れる体制を整えることも大切です。
さらに、顧問と現場のスムーズな連携を実現するためには、社内に顧問との橋渡し役となる窓口担当者を配置し、情報の伝達や調整を円滑に進める仕組みが求められます。
そして、顧問からの提案や改善点に対しては、実行結果をしっかりと報告し、改善につなげるためのフィードバックループを構築することが、信頼関係の構築と継続的な成果につながります。
また、顧問が孤立しないよう、社内コミュニケーションの場に積極的に参加してもらうのも効果的です。
オンリーストーリーの経営者顧問プラン「縁CXO」とは?
ここまで営業顧問について解説してきましたが、良い営業顧問を探し、長期的な関係を築いていくにはそれなりの労力がかかります。
そこで、オンリーストーリーでは新たに経営者顧問プラン「縁CXO」というサービスを開始しました。
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まとめ|営業顧問は“外部の右腕”として活用すべきパートナー
営業顧問は単なるアドバイザーではなく、企業の成長戦略を支える“外部の右腕”となり得る存在です。営業戦略の立案から現場への落とし込み、育成、KPI改善まで、幅広く支援してくれるプロフェッショナルです。
導入にあたっては、目的の明確化、相性の見極め、契約内容の整備、運用体制の構築など、複数の観点から慎重に検討すべきです。
一方で、適切な顧問と協働できれば、売上・営業力強化のみならず、社内ナレッジの蓄積や若手育成にも波及効果が見込めます。
時代の変化が激しい中で、外部人材の柔軟な活用は、今後ますます重要性を増すでしょう。営業顧問という選択肢が、御社の成長を大きく加速させる起爆剤となるかもしれません。