監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
営業の分業が分断に繋がってしまい、部門間でリードの質を巡って揉めたことはないでしょうか。
この記事では、分断が起きる仕組みや防ぐ仕組み、引き継ぎ基準の作り方を解説します。
分断が起きる仕組み|意図しないリードが渡るとき
分業は効率化のために始めても、渡すものがずれると全体が悪化します。
起きる仕組みを3つに分けて整理します。
工程ごとに提供する分業が前提になっている
The Modelは、セールスフォース・ドットコムで活用されてきた営業プロセスのモデルです。
マーケティングからカスタマーサクセスまでが、リード・商談・案件を順に提供して成り立ちます。
工程ごとに専門化できるため、一見すると効率的に見えます。
一方で、どこかの工程で渡す顧客像がぶれると、後ろの工程すべてに影響します。
当社では分担が分断になった
当社もThe Modelを活用し、効果的に営業しているつもりでした。
ところが、いずれかの工程で意図しないリードや顧客を次に渡し、効率が落ちました。
工程ごとに分断が生じ、全体としては逆効果になる場面もありました。
分業を入れたあとは、渡したものの質を工程ごとに振り返ってください。
KPIだけを見ると対象外のリードも渡してしまう
各工程にKPIを置くと、数字を達成しようとする動きが強くなります。
部署に最適化されたKPIばかりに目がいくと、意図していないリードでも次の工程に渡してしまいます。
渡された側は、対応しても成約に近づかず、工数だけが増えます。
渡した件数だけでなく、渡したあとの商談化率も合わせて見てください。
分断を防ぐ仕組み|ターゲット像・KGI・共有会
当社は3つの取り組みで、分断を解消しました。
順に紹介します。
顧客像を全員で共有する
渡すリードの基準が工程ごとに違うと、分断のもとになります。
まず、全員が同じターゲット像を持つところから始めました。
業種、規模、役職を言葉にして、誰に売るのかをそろえます。
ターゲット像は紙1枚にまとめ、全工程が見られる場所に置いてください。
共通のKGIの下に各KPIを置く
工程ごとの目標だけでは、全体の成果は見えません。
全員が同じKGIを持ち、その下に各工程のKPIを置きました。
KGIが共通なら、自工程の数字を守るために対象外を渡す動きが減ります。
KGIは成約や売上など、最終の成果に近い指標にしてください。
全員参加の共有会を開く
ターゲット像とKGIを決めても、日々の情報が止まれば分断は戻ります。
全員が参加する共有会を設け、情報を共有する場をつくりました。
当社では、この3つの取り組みで分断が解消されました。
共有会では、渡したリードの結果と、断った理由を持ち寄ってください。
引き継ぎでやりがちな失敗
仕組みを入れても、進め方を誤ると分断は戻ります。
失敗を2つ挙げておきます。
分業モデルを表面だけ真似する
先行企業の分業モデルは、型だけ見ると真似しやすく見えます。
当社の経験では、表面だけ真似しても失敗します。
元になった考え方から理解し、自社に合う形へ作り変える必要があります。
導入の前に、自社の商材や顧客に合わない工程がないか確認してください。
渡す基準を言葉にしないまま運用する
基準が頭の中にあるだけでは、人によって判断がぶれます。
渡す条件と、渡さない条件を、文章で決めて共有します。
基準が曖昧だと、渡した側と受けた側の評価も食い違います。
条件は3〜5項目に絞り、四半期ごとに見直してください。
引き継ぎを決裁・受注につなげる視点
基準は、成約に近い項目ほど効果が出ます。
視点を3つ挙げておきます。
引き継ぎ基準に決裁者かどうかを入れる
基準に入れる項目で、最も成約に影響するのは相手の役職です。
当社の施策では、担当者アポと決裁者アポで成約率に約10〜15倍の差がありました。
リードの数が多くても、担当者止まりなら後ろの工程の負担が増えます。
決裁者か、決裁者に会える立場かを、渡す前に確認してください。
渡すときに相手の状況と次の約束を伝える
リードを渡すとき、情報が少ないと、商談の入り口で聞き直しが生まれます。
相手の課題、決裁の流れ、次に会う日時を、引き継ぎ時にそろえて渡します。
聞き直しは相手に負担をかけ、信頼を下げます。
引き継ぎシートを1枚作り、必須項目を決めてください。
決裁者と直接つながる場を併用する
分業の仕組みを整えても、渡すリード自体が担当者中心なら成果は伸びません。
オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。
8,000名以上の決裁者ネットワークをもとに、主力サービスの「縁CXO(えにシーオー)」をはじめ、御社の悩みに合ったサービスをご提案します。
一方で、商材の単価が低い場合や担当者レベルで決裁が完結する商材では、効果が出にくい傾向があります。
まとめ
営業の分業が分断になるのは、意図しないリードを次の工程に渡すためです。
当社もThe Modelを活用しましたが、KPIを追うあまり分断が生まれました。
ターゲット像とKGIを全員で共有し、全員参加の共有会を開いて解消しました。
分業モデルは表面だけ真似せず、渡す条件と渡さない条件を文章で決めます。
引き継ぎ基準には、担当者アポと決裁者アポで成約率に約10〜15倍の差がある点を踏まえ、決裁者かどうかを入れます。
渡すリード自体が担当者止まりなら、決裁者との接点の作り方も考えてみてください。
よくある質問
Q. 営業の分業が分断になる理由は何ですか
A. 工程ごとに、意図しないリードや顧客を次の工程に渡してしまうためです。
KPIの達成を優先すると、対象外のリードでも渡してしまい、全体の効率が落ちます。
Q. 分断を防ぐにはどうすればよいですか
A. ターゲット像とKGIを全員で共有し、全員参加の共有会を開きます。
当社ではこの3つの取り組みで、分断が解消されました。
Q. インサイドセールスからフィールドセールスへ渡す基準には何を入れますか
A. 渡す条件と渡さない条件を3〜5項目に絞り、文章で決めます。
相手が決裁者かどうかを必ず入れ、四半期ごとに見直してください。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。



