監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
今日これから伺えませんかと連絡することに、失礼ではないかとためらいを感じることはないでしょうか。
この記事では、当日アポが失礼になる条件とならない条件を整理し、依頼する側と受ける側それぞれの例文を示します。
当日アポが失礼になるかどうかの分かれ目
同じ連絡でも、状況によって受け取られ方が変わります。
判断の軸を四つに整理します。
相手の予定をどれだけ奪うか
当日の依頼は、相手がすでに組んだ予定を崩す行為です。
十五分で済む用件と、一時間を求める依頼では重みがまったく違います。
短い時間で済むなら、空き時間に差し込める可能性が残ります。
長時間を当日に求めるのは、関係が深い相手でも無理があります。
こちらに正当な理由があるか
思いつきで連絡すると、段取りの悪さだけが伝わります。
近くまで来ている、急ぎの確認事項が出たなど、相手が納得できる理由が要ります。
理由が自社の都合だけであれば、別の日に回すほうが賢明です。
理由を説明できないときは、当日に動かないという判断も必要です。
相手との関係がどれだけできているか
初対面の相手に当日の訪問を求めるのは、ほぼ通りません。
何度も会っている相手であれば、短い相談は受け入れられやすくなります。
やり取りの頻度が高い相手ほど、融通が利きます。
関係が浅いうちは、メールでの依頼にとどめます。
相手の職種と役職
現場の担当者と、予定が細かく埋まる役職者では事情が違います。
決裁者は数週間先まで予定が入っていることが多く、当日は現実的ではありません。
店舗や現場を持つ相手なら、時間帯によっては対応できる場合もあります。
相手の働き方を知らないまま連絡するのは避けます。
当日アポが受け入れられやすい場面
条件がそろえば、当日の連絡が歓迎されることもあります。
四つの場面を挙げます。
近くまで来ているとき
移動のついでであれば、相手の負担感が下がります。
あと三十分ほどで貴社の近くに到着します、と具体的に書くと判断しやすくなります。
立ち寄るだけで資料を渡す形なら、さらに受け入れられます。
会えない場合に備え、資料を受付に預ける選択肢も示しておきます。
急ぎの確認事項が出たとき
進行中の案件で判断が必要になった場合は、速さが優先されます。
確認したい点を一つに絞り、所要時間を明示すると話が早く進みます。
メールで済む内容かどうかを、先に自分で確かめます。
電話で足りる用件なら、訪問まで求める必要はありません。
相手から当日に連絡が来たとき
先方から問い合わせや相談が入った場合は、当日でも自然です。
相手の熱が高いうちに会うほうが、話が前に進みます。
日程を数日先に置くと、優先度が下がってしまいます。
その場で決められる担当者を連れて行く準備もしておきます。
予定が空いたと連絡をもらったとき
相手の都合がついたという連絡であれば、こちらが合わせます。
空いた枠に入れてもらう形なので、断る理由がありません。
準備が整っていない場合でも、短く会うほうが機会を逃しません。
資料は後から送る前提で、まず会うことを優先します。
当日アポを依頼するときの例文
依頼する側は、相手が断りやすい形にしておくことが前提です。
三つの場面で見ていきます。
近くまで来ていると伝える例文
移動の途中であることを具体的に書きます。
十五分程度と時間を区切り、難しければ結構ですと添えると相手が返しやすくなります。
会えなかった場合の代替も、同じ文面に示します。
長い説明は省き、三行程度でまとめます。
件名:本日近くまで伺っております(〇〇株式会社・田中)
株式会社△△
佐藤様
急なご連絡を失礼いたします。
本日十五時頃、貴社の近くで別件の予定がございます。
もしお手すきでしたら、十五分ほどご挨拶に立ち寄らせていただけませんでしょうか。
ご都合が合わないようでしたら、どうぞお気になさらないでください。
その場合は、ご用意した資料を受付にお預けいたします。
急ぎの確認をお願いする例文
案件が止まっている状況では、理由を先に書きます。
何が決まらないと進まないのかを一文で示すと、緊急性が伝わります。
電話でもよい旨を添えておくと、相手が選べます。
相手の判断を急かす表現は使いません。
件名:【ご確認のお願い】納期の件につきまして本日中にご相談できますでしょうか
株式会社△△
佐藤様
いつもお世話になっております。
製造側の工程を押さえる都合で、仕様の一点を本日中に確定させる必要が生じました。
十分ほどお電話か、オンラインでご相談させていただけませんでしょうか。
本日が難しい場合は、明日の午前でも調整いたします。
お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
相手の都合が空いたときに応じる例文
先方から連絡をもらった場合は、即答が最も大切です。
行けるかどうかを一行目で返すと、相手は枠を押さえられます。
準備が間に合わない部分は、正直に伝えます。
到着予定の時刻も書き添えます。
件名:Re: 本日午後のお時間につきまして
株式会社△△
佐藤様
お声がけを頂戴し、ありがとうございます。
本日十六時であれば伺うことができます。
資料は作成の途中でございますので、口頭でのご説明になる点をお許しください。
十五時五十分頃に受付へ参ります。
何とぞよろしくお願い申し上げます。
当日アポを断るときの例文
受ける側に回ることもあります。
関係を損ねずに断る形を用意しておきましょう。
予定が埋まっていて断る例文
素直に予定を理由にして構いません。
断ったうえで、こちらから代わりの日を示すと、相手は気まずくなりません。
理由を細かく説明する必要はありません。
用件がメールで済むなら、その旨を提案します。
件名:Re: 本日のご訪問につきまして
株式会社△△
佐藤様
ご連絡をありがとうございます。
あいにく本日は終日予定が埋まっており、お時間を取ることができません。
明日の午前、もしくは明後日の午後であれば伺えます。
お急ぎの内容でしたら、メールでお送りいただければ本日中に確認いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
用件が分からないため断る例文
目的が書かれていない依頼には、確かめてから判断します。
どのような用件かを尋ねる形にすると、断ったことになりません。
その場で判断せず、内容を見てから決めます。
相手が答えられない依頼であれば、受ける必要はありません。
件名:Re: 本日のお打ち合わせのご相談
株式会社△△
佐藤様
ご連絡をいただき、ありがとうございます。
恐れ入りますが、どのようなご用件かをお教えいただけますでしょうか。
内容によっては、担当の者からご回答するほうが早い場合もございます。
本日は予定が立て込んでおりますので、改めてご相談させてください。
引き続きよろしくお願い申し上げます。
今後は事前に連絡してほしいと伝える例文
当日の依頼が続く相手には、やんわりと基準を伝えます。
断るのではなく、こうしてもらえると助かるという形で書くと角が立ちません。
相手を責める表現は避けます。
次回の予定を同じメールで決めると、話が前向きに終わります。
件名:Re: 本日のご相談につきまして
株式会社△△
佐藤様
お声がけいただき、ありがとうございます。
本日は会議が続いており、十分なお時間を取ることが難しい状況でございます。
今後は二日ほど前にご連絡をいただけますと、確実にお時間を確保できます。
来週であれば、火曜日の午後と木曜日の午前が空いております。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。
当日アポを受けた側が困ること
依頼する前に、受け取る側の事情も知っておきましょう。
四つ挙げます。
会議室が押さえられない
来客があっても、話す場所がなければ対応できません。
小さな会社ほど、会議室は当日では空いていません。
立ち話で済む用件かどうかを、依頼の段階で伝えます。
近くの喫茶店で構わない旨を添えると、受けてもらいやすくなります。
同席させたい人を呼べない
担当者一人では判断できない話もあります。
決める人が同席できないと、その場で結論が出ません。
当日の訪問では、情報を渡すところまでと割り切ります。
判断を求める打ち合わせは、日を改めて設定します。
準備なしで応じた印象が残る
相手が資料を用意できないまま会うことになります。
準備不足の状態を見せたくないと考える人は、当日を避けます。
こちらから資料を持参する姿勢を示すと、心理的な壁が下がります。
当日は聞くことに徹する、と先に伝える方法もあります。
社内で説明しにくい
急な来客は、上長への報告が後手に回ります。
相手が社内で説明できる材料を、こちらから用意しておくと親切です。
訪問の目的を一行で書いた文面を、転送しやすい形で送ります。
これだけで、取り次いでもらえる確率が変わります。
当日に動かなくて済む進め方
そもそも当日アポに頼る状況を減らすこともできます。
三つの観点で見直しましょう。
移動の計画を先に立てる
近くまで来たからという理由は、計画の裏返しでもあります。
訪問の予定を組む段階で、同じ地域の相手をまとめて連絡しておくと当日の依頼が減ります。
一週間前に声をかけておけば、同じ日に二件が入ります。
空いた時間に入れる候補を、あらかじめ持っておきます。
確認事項を貯めずに出す
急ぎの確認が出るのは、前の段階で詰め切れていないためです。
打ち合わせの終わりに、次に判断が必要な事項を洗い出すと前倒しできます。
期日を決めて共有しておけば、当日に慌てることが減ります。
相手の社内に稟議がある場合は、さらに前倒しが必要です。
相手の空き枠を先に押さえておく
関係が深い相手には、定例の枠を作っておく方法があります。
毎月第二火曜の午後など、決まった時間を先に確保しておくと当日の依頼が不要になります。
用がない月は取りやめれば、相手の負担にもなりません。
定例の枠があるだけで、急な相談も持ち込みやすくなります。
決裁者と直接つながる場を併用する
当日に動ける相手を探すより、決める人と会うほうが成果は安定します。
オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。
最初から判断できる相手と話せるため、確認のための往復が減ります。
一方で、商材の単価が低い場合や担当者レベルで決裁が完結する商材では、効果が出にくい傾向があります。
まとめ
当日アポが失礼になるかどうかは、相手の予定をどれだけ奪うかと、正当な理由があるかで決まります。
近くまで来ている、急ぎの確認事項が出た、相手から連絡が来たという場面であれば、受け入れられる余地があります。
依頼するときは所要時間を十五分程度に切り、難しければ結構ですという逃げ道を必ず添えてください。
会えなかった場合に資料を受付へ預けるなど、代わりの手段を同じ文面に書いておくと無駄がありません。
受ける側として断るときは、理由を細かく説明せず、こちらから代わりの日を示すと関係が保てます。
当日の依頼が続く相手には、二日前までに連絡がほしいという基準をやんわり伝えておきましょう。
そもそも当日に頼らずに済むよう、移動の計画と確認事項の前倒しを習慣にしてください。
よくある質問
Q. 当日アポは常に失礼にあたりますか
A. 常に失礼というわけではありません。
所要時間が短く、相手が納得できる理由があり、関係ができている相手であれば受け入れられます。
初対面の相手や、予定が細かく埋まる役職者には避けてください。
Q. 当日アポを依頼するとき、所要時間はどう書きますか
A. 十五分程度と短く区切って書きます。
短い時間であれば、相手の空き時間に差し込める可能性が残ります。
一時間を当日に求める形は、付き合いの長い相手でも通りません。
Q. 断られたときはどうすればよいですか
A. 追わずに引き、改めて日を改める形にします。
会えない場合に備えて、資料を受付に預ける選択肢を先に示しておくと無駄がありません。
断られたこと自体を気にする必要はありません。
Q. 当日アポを何度も求めてくる相手にはどう対応しますか
A. 断るのではなく、事前に連絡がほしいという希望の形で伝えます。
二日ほど前にご連絡いただければ確実に時間を取れます、という書き方であれば角が立ちません。
あわせて次回の候補日を示すと、話が前向きに終わります。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。


