Revatron 株式会社
浅田 麻衣子
POSTED | 2018.04.20 Fri |
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TAGS | 従業員数:5人以下 業種:IT・情報通信業 創立:11〜14年 決裁者の年齢:40代 商材:BtoB |
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世界をシンクロさせる通信ソリューション
災害時のリスクを減らす、リアルタイム通信の実現へTopics
Revatron株式会社 社長 浅田麻衣子氏のONLY STORY
東日本大震災の原発事故をきっかけに至った決意
まずは、私がRevatron 株式会社を起業した経緯からお話ししますね。
トレーダーとして生活していた頃は、社会との関わりというものがほとんどありませんでした。私自身、若いときに遭ったセクシャル・ハラスメントなどで社会との関わりを持ちたくないという思いが大きくなり、起業する前は株式のトレーディングをして、ときどきテレビで話をするという生活を送っていたんです。
当時は他人と関わらない生活を望んでいましたが、2011年3月11日に起きた原発事故を目の当たりにして、気持ちが大きく変わったのです。
耐放射線術がないこの国で、職業が選べない人がリスクを被りながら働く現状を変えていかなければならないと思いました。その状況を変えていくことができるのは、技術です。
放射線が降り注ぐ中でも壊れないように対放射線設計でつくられた、遠隔で操作するソリューションやカメラソリューションを作ろうと考え、会社を立ち上げました。
ただ、コンピュータのことを何も知らない私自身が社長という役職に就くことはまったく考えていませんでした。そのため、コンピュータに詳しい人を社長に招いて、アメリカからエンジニアに来てもらって、自分が財務に入るという形を考えていたのですが、社長になるはずの人が設立当日に逃げ出してしまったのです。そのような経緯で、私が表に出ざるを得なくなってしまったと。
このような意外な形で私は社長に就任し、Revatron株式会社の経営を行っています。
世界一の速さを誇る、リアルタイムAIチップソリューション
今、Revatron株式会社がもっとも主力にしているビジネスは「超低遅延」のデバイスの製造、ライセンス、チップです。まず、遅延とは通信のタイムラグのことですね。YouTubeなどの動画サイトを閲覧するときにダウンロードに時間がかかると思うのですが、「超低遅延」ではこの遅延が無くなると思ってください。
インターネット会議でも、自分の発言に対する反応が少し遅いと感じることがありますよね。それがまったく無くなります。
いくらIoTと言っても、回線の遅延や、ハンドオーバーの問題、その他さまざまな通信に関わる処理遅延問題で、遠くにあるデバイスがシンクロすることはできません。そこを、弊社はほぼシンクロできるまでのチップソリューションを出すビジネスに取り組んでいます。
なんといっても、弊社の大きな強みは「低遅延映像伝送の実績が世界一」という点ですね。だから、自動車メーカーさんは弊社の機材を使用して実験に取り組んでくださっています。
このような同様のビジネスを展開している企業はほとんどが大手通信会社ですが、そのような状況でも弊社の機材が実績世界一を誇っている理由は、チップの設計の差にあります。リアルタイム処理に特化したチップなので、処理が早いのが特徴です。
その他、自動車メーカーと協力して遠隔運転や自動運転の実験用に複層制御を組み込んだソリューションも開発しています。そのロボットの遠隔操作の実験用のソリューションも出しているところです。
将来的には、センサースーツを着た人がヘッドマウントディスプレイをすれば、インターネットを経由して、無線でロボットと繋がって無線で作業ができる環境を作り上げたい。これが実現すれば、福島原発、汚染地、被災地、どんなところでも作業する人に被爆リスクから守ることができます。
サイエンスフィクションを現実にする会社に
Revatron株式会社は、日本中が、世界中がリアルタイムにつながるような未来をビジョンとして描きながら事業に取り組んでいます。今後も、この業界はさらなる発展をしていきますよ。
例えば、日本中の車、そして世界中の車はセンサーデータを集約し、ネットワークで完全に繋がっていくことができるはずです。データセンター側ですべての車の動きを把握しておくことも可能です。
さらには、もし急に地震や津波などの災害が起きたとしても、車からの情報収集でリアルタイムで状況を把握することができるようになります。
それに加えて私が取り組みたいのは、車自体が通信機器の役割を果たし、途絶えた通信網を繋いで、緊急時でもスマホを使えるようにする機能をつけるといったものです。
技術的には可能なのですが、コストとニーズのバランスが取れていないという課題が残っています。
自動車メーカーを中心にいずれはグローバルに展開していきたいという考えがありますが、マーケットとしてはまず日本からですね。そこからアメリカ、ヨーロッパと拡大していきます。
10年後には、宇宙航空事業に参入したいと思います。宇宙を見据えた動機はさまざまですが、今後人類のために、宇宙から通信がサポートできる仕組みを作れたら良いと考えています。
例えば地上で地震が起きて回線網が物理的に損壊した時のバックアップとなる安価な衛星通信のソリューションにも取り組んでいきたいです。
最後になりますが、Revatron株式会社はサイエンスフィクションを実現する会社でありたいと思います。小説の中で「こんなことが現実にはできるわけがないけれど、こういう世界も面白い」と思うものを現実にしていきたい。実現不可能と思われるようなドリームソリューションを実現する。その中のひとつが、リアルタイムAIチップなんです。
夢を現実の世界に持ってくる。
ドリームソリューションを提供し続ける会社であろうと思っています。
編集・山崎