ワイズプラント株式会社
坂口 将清
POSTED | 2018.09.21 Fri |
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TAGS | 従業員数:6~10人 業種:卸売業・小売業 創立:15年以上 決裁者の年齢:30代 商材:BtoB |
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クリーニング業界がファッションの大量消費を解決
コスト削減でクリーニング屋の品質向上へTopics
今回は、プラント設計の面からクリーニング業界を支えるワイズプラント株式会社の代表取締役・坂口氏にお話を伺います。まずは現在の事業についてお聞きしましょう。
ワイズプラント株式会社 社長 坂口 将清のONLY STORY
工場の内情を見てプラント設計を行う
ワイズプラント株式会社は2つの事業を軸にしています。ひとつは20年近く行っているクリーニング工場向けの設備機器販売です。例えばコインランドリーなどにある大きな洗濯機や乾燥機はクリーニング工場でも使用します。そういった機器の販売を行っています。
ただ、私たちの事業形態は少し特徴的です。業界のレイヤーについて話をすると、買い手のクリーニング屋、もしくはコインランドリーがあって、ワイズプラント株式会社のような商社がいて、その先にメーカーがあります。
ワイズプラント株式会社が少し変わっているのは、買い手のクリーニング屋に対して、ラインの提案、プラント設定を行っているという点です。
ほとんどの商社は、買い手の「こんな機械がほしい」という要望に応えて商品を売りますが、ワイズプラント株式会社は買い手がどうしてその設備を入れたいと思うのか、その理由を重視しているんです。
新しい設備を入れて効率が良くなるのであれば人を減らしたい、もう機械が古くなってきたから新しいものに買い換えたいなど、さまざまなパターンがありますが、それをしっかりヒアリングします。
例えば、生産性を上げたいのであれば、単純な機械の入れ替えよりも、洗濯機や乾燥機の配置を人の導線に従ってライン整備した方が効果的であることが多いんです。
ワイズプラント株式会社の名前は「プラント設計」から取っているのですが、工場全体を見て、本当にその機械が必要なのかということも含めて、コンサルティングに近い形で提案をしています。
クリーニングはサービス業なので、原価のほとんどは人件費です。人件費をどれだけ下げられるかということは、利益をどれだけ上げられるかということと同義なんですね。これは職人にしかできない仕事を減らすことで実現できます。
ワイズプラント株式会社としては、売上に対して工場人件費が15%未満であることが適正だと考えています。それを大きく上回っている場合は、当社でプラントを設計させていただいて、スタッフの教育まで行い、目標値である15%を達成するまで、顧客と寄り添って環境改善を行っていきます。それが他社とは違う当社のビジネスモデルです。
もうひとつはBtoC向けの商材の販売で、例えば、スーツを洗える洗剤を取り扱っています。ワイズプラント株式会社のコンセプトとして「職人しかできない仕事をパート化する」というものがあります。
昔からクリーニング屋では、スーツを水洗いしていたんです。なぜかというと、水洗いでなければ落ちない汚れがあるためです。
汗や香水などの臭い成分はほとんど水溶性なので水洗いが欠かせないのですが、そうすると縮んだり型崩れしたり、しわになったりというリスクもあります。だからこそ、職人が一生懸命アイロンをかけて仕上げていました。
必ずしも専門的な技術を持たないパートの人でも同じ仕上がりになるようにという想いでこの洗剤を作ったのですが、パートの人が使えるということは、一般家庭でも利用できる商品であるということに気付いたんです。そこから、BtoCの商品として販売を始めました。
クリーニング工場の環境を改善すべく起業
私がクリーニング業界に入ったきっかけは、父親がもともとこういった商社を経営していたからです。
それ以前から服をクリーニングに出すたびに臭いがついたり、シャツが縮んだり、しわになって返ってくるという経験があったのですが、実際に工場を見ると、その原因と結果がよくわかりました。
例えば、ドライクリーニングは石油系溶剤を用いて服を洗う場合があるのですが、水に比べて溶剤は捨てるのが大変なんです。そのため、汚れた溶剤は基本的にフィルターを通して再利用しています。もちろん、フィルターを通せば綺麗になるのですが、そのフィルターが古くなって劣化していたらその役割を果たすことができません。
ところが、フィルターの交換は経費に直結するため、お客様にバレない範囲でしか交換しないということも当たり前にあるんです。綺麗な溶剤で洗っていれば臭いはつかないのですが、それを知らないお客様はクリーニングに出すと臭いがついて返ってくるのは当然だと思ってしまいます。
ワイズプラント株式会社は品質維持の為に、材料費は削らないように徹底しています。それはサービスの品質に直結する部分なので、必ず確保しなければならないと考えています。
クリーニング屋が頼れるようになれば、ファッションの消費を解決できる
今ファッションの大量消費が、クリーニング業界だけでなく大きな課題になっています。洋服が消耗品になっていて、昔に比べて捨てられる量が非常に増えているんですよね。理由としては、値段が安くなったことが挙げられます。
ワイズプラント株式会社では、独自に洋服を捨てる理由についてアンケートを実施しました。そこでは、6割くらいの人が「染みがついたから」「黄ばんだから」「傷んだから」という回答をしていて、これらはすべてメンテナンスビジネスで解決することができることに気付きました。
特に黄ばみなどはクリーニング屋の技術があれば直せるものなので、技術を通して廃棄の問題を少しでも解決していきたいと思っています。
そのためにはまず、クリーニング業界がお客様にとって信頼できる業界になることが重要だと思います。
今、ワイシャツやスーツは安いものを買って、劣化したら買い換えれば良いという考え方が主流になりつつありますが、それはクリーニング屋があまり頼りにされていないという状況の裏返しなんですよね。
何かあればこのクリーニング屋に持っていけばいいというお店があれば、アパレル会社ももっと良い生地で、良い製品を作って売れるようになります。
クリーニング業界の改善が、ファッション業界の過剰な消費を終息させるひとつの要因になるはずだと、私は考えています。
このミッションに共感し、主体性とスピード感を持って取り組める方を私たちは歓迎します。ここでの経験は社外でも十分財産になります。一緒に成長していきたい方、キャリアステップを考えている方は、ぜひお力を貸していただけると嬉しいですね。