東京柴又コシジ洋菓子店
角田 聡
POSTED | 2018.09.30 Sun |
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TAGS | 従業員数:11〜30人 業種:飲食店・実店舗 創立:15年以上 決裁者の年齢:その他 商材:BtoC |
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素朴な味が心をつかむ創業50年の下町の洋菓子店
型にはまらない経営で、さらなる経営拡大を目指すTopics
今回は、東京葛飾区柴又で洋菓子の製造販売を行う、東京柴又コシジ洋菓子店の代表・角田氏にお話を伺いました。角田氏がどのような展望を描ているのか、まずは現在の取り組みからお聞きしていきましょう。
東京柴又コシジ洋菓子店 社長 角田 聡氏のONLY STORY
シンプルにこだわった50年のノウハウを活かしたお菓子作り
東京柴又コシジ洋菓子店は、私の親の代から50年間、洋菓子の製造販売を行っています。町の推移とともに経営のスタイルは変化し、現在は販売と製造を分けて取り組んでいます。販売は駅などでアンテナショップという形で、良いものを取り寄せて扱っています。
もちろん、東京柴又コシジ洋菓子店で製造しているケーキなどがメインになるのですが、日本や世界には良いものがたくさんあるので、それを知ってほしいという想いで販売しています。
私たちは町の路面にある洋菓子専門店として地域に密着した経営を続けてきたのですが、こういった小さなお店は外からの情報が入りにくく、自分の殻に籠もりがちだという課題を感じていました。
そのような経営では先細りになってしまうため、より人を集め、売上を上げていくにはどのように工夫していくべきか考えた結果、地域密着型の路面店の洋菓子専門店というところに留まらず、型を破って新しい情報を得ることに力を入れるようになりました。
私たちのお菓子は、プリンもチーズケーキも特別なこだわりがあるわけではありません。インスタ映えもしない、素朴な昔ながらのお菓子が看板商品になっています。
ただ、当たり前のことを当たり前に、東京柴又コシジ洋菓子店の50年の経験を活かして作っているからこそ、美味しいと支持をいただいています。シンプルであることを大切に、丁寧に製造しています。
全国レベルのラグビー選手だった高校生時代から、ケーキ職人の道へ
私は東京柴又コシジ洋菓子店の二代目で、私の代だけでもう35年経営しています。もともとは、それほど洋菓子の世界に興味があったわけではありませんでした。ただ、私の両親も、足立区に住む親戚も皆ケーキ屋を営んでいたため、この世界が当たり前になってはいました。
私は高校生のときにラグビーをやっていたのですが、ヘルニアを患って走れなくなってしまい、3年生のときにリタイヤしたんです。本当は大学でもラグビーを続けるつもりだったのですが、病気をきっかけに引退してしまいました。
そのころ、ちょうど日本はバブル経済で、親戚のケーキ屋もみんな軌道に乗っていたんですね。それを見ていると、この業界で働くのもいいかな、と思って、実家のケーキ屋を継ぐ決心をしました。
ラグビーをやっていたころから私の性格は変わっていなくて、自分で手本や情報を見て、ひとりで技術や方法を確立していく職人タイプだったんです。だから、ケーキを作って売るという以外の世界にはほとんど関わりなく生きてきました。
小さな店ならばそれで成立するのですが、会社を大きくしたり、人を雇用するとなると話は変わってきます。大きな会社になれば、店の価値を決めるのは職人ではなく利用するお客様です。
ですから、これから私がやらなければならないことは、職人としてこの技術を守りながら、経営や資金繰りという面を担ってくれる人と出会うことだと思います。
今後店舗を拡大していくにあたっても、ブランドのある土地に出店していきたいという想いもあるため、縁を広げていきたいですね。
小売業の世界で生き残っていくために、人材育成と販路の拡大に注力する
東京柴又コシジ洋菓子店では、BtoBの販路を広げていくコネクションづくりに注力しています。今はアンテナショップでの販売を行っていますが、障害を持つ方やご年配の方でも販売する側に立って笑顔とサービスを提供できるような店舗を増やしていきたいと思っています。
そういった店舗を増やすことによって、無料配達をする配送スタッフを増やすことも可能になり、より多くのシルバーの方に働いていただくことにも繋がってきます。
日本の人口減少によって、これから先、人材不足や人手不足は間違いなく起こります。そのときに、障害者の方やご年配の方の力は今以上に、サービス業にとって必要になります。
私は東京柴又コシジ洋菓子店を継ぐときから、会社を大きくしていきたいという気持ちを持ち続けています。だからこそ、優秀なスタッフを集め、利益を上げる仕組みや、会社を大きくする道筋を確立していきたいと考えています。
チェーンの飲食店でも、食品店でも、マニュアルや制服があって、きちんとしたサービスを提供する会社が軒を連ねています。
そのような現状で、商店街の店の主人ものんびりとしているわけにはいかなくなっているんですね。生き残っていくためには、会社自体を大きくしていく必要があるんです。
私は高校生のときにラグビーで日本一を見ているので、この後の人生においても、ナンバーワンになるという野望は持ち続けていたいと思います。しかしそれは、私一人の気持ちで叶うものではありません。
スタッフや仲間とともに前進していく必要があります。スタッフが生き生きと働ける環境を作るためにも、今は店舗を増やしていくことが重要です。店舗を増やすことによって利益は上がり、そこで得られた資金を人材育成に回すことができるでしょう。
時代の変化に伴って、小売業も進化していく必要があります。今、この業界はどんな大手でも利益率が下がっていることが課題になっていますが、だからこそ、東京柴又コシジ洋菓子店のような小さな企業はその流れに逆らわなければなりません。
特別なことにチャレンジすることを恐れず、まずは名前を知ってもらうこと。それを第一に考えて、今後も邁進していきたいと思います。