株式会社インプリム
内田 太志
POSTED | 2018.10.02 Tue |
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TAGS | 従業員数:11〜30人 業種:IT・情報通信業 創立:7〜8年 商材:BtoB |
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イノベーションは快適なマネジメント環境から生まれる
〜第四次産業革命がもたらす、労働現場の光と影〜Topics
昨年、内閣府は新たな時代の到来を告げました。
『第四次産業革命』
ロボットやAIをはじめとする様々な技術革新を背景に、企業の在り方や日本人の働き方が変わろうとしています。こうした革新の波は次なるイノベーションを期待する方々に歓迎される一方で、一部の方々に対しては職を失う不安や過多な労働という暗い影を落としています。
新たな時代が訪れた今、私たちはどのような働き方を目指すべきなのでしょうか。
今回は、ビジネスアプリケーションプラットフォーム『Pleasanter(プリザンター)』の開発・販売を中心としたビジネスを展開する株式会社インプリムの代表取締役・内田 太志氏にお話を伺います。
『新しい価値の創造を目指す方々がより人間らしく働くことができる未来を作るためには、マネジメントの快適化が鍵になる。』
株式会社インプリム 代表取締役 内田 太志氏のONLY STORY
富士通グループ企業で約20年間、プロジェクトマネジメントに従事。その中で疲弊する現場や本質的ではない時間の使い方を目の当たりにし、多くの成功や失敗を経験する中で、ITを活用したコミュニケーションとマネジメントの方法論「マネジメント快適化」を確立。
在職中からソフトウェアの研究・開発をスタートし、マネジメント快適化ツール「プリザンター」を独力で開発した。現場が求めていた柔軟性とスピードを実現した「プリザンター」は、導入企業の現場から高い評価を受けている。
現在、マネジメント快適化(マネジメントに時間をかけない、マネジメントを全員でやる)を世界に浸透させるために奮闘中。
次なるイノベーターを目指す人々に影を落とす苦悩
今、ロボットやAIをはじめとする先端技術は、私たちの想像を超えるスピードで進歩していますね。それによって、何かを右から左に流すだけの作業や単純な反復作業というのは人間の手で行う必要がなくなっていきます。
そうすると、多くの企業や働く人たちは新しい価値を作ることにフォーカスするような働き方に変わっていくでしょう。
このような変化を受け入れるということは、それに伴った痛みも受け入れるということでもあると内田氏は言います。
「新しいことに取り組むということは今までにやったことがないことをするわけですから、予測ができないような問題やリスクが生じますよね。こうした不確定要素に対してはマニュアルもお手本も存在しないため、その都度対処していかなければなりません。
しかしながら、この問題やリスクは次々に生じていくため、おそらくこれまでの電子メールやExcelなどといった手段では対処しきれないでしょう。それでも皆さんはその問題やリスクを解決しようと取り組む結果、長時間の残業を強いられ、苦しい想いをしている。」
なぜ、このようなことになってしまうのでしょうか。マネージャーとして部署やプロジェクトをマネジメントしてきた経験を持つ内田氏に伺うと、このような言葉が返ってきました。
「それは、マネジメント環境が快適ではないからでしょうね。」なぜ、このようなことになってしまうのでしょうか。マネージャーとして部署やプロジェクトをマネジメントしてきた経験を持つ内田氏に伺うと、このような言葉が返ってきました。
「それは、マネジメント環境が快適ではないからでしょうね。」
時間をかけず、全員で。本来あるべきマネジメントの姿
快適なマネジメント環境とは、具体的にはどのようなものを指すのでしょうか。
「新しい価値を生み出していくためにマネジメント環境は快適であるべきだ、と私たちは常々考えています。この快適なマネジメント環境を構成する要素は、大きく分けて2つ。
まずは、マネジメントに時間をかけないこと。つまり、細かい変化に対して臨機応変、かつ迅速にマネジメントを行うことです。
突然ではありますが、あなたがお勤めの企業ではどのくらいのスパンで会議が行われているでしょうか。実は、マネジメント体制の違いはこの会議の開かれるスパンと1回あたりの会議時間に表れるんです。
例えば、会議を開くスパンが長い組織というものがあります。1ヶ月に1回会議を開く組織であれば、1回の会議で1ヶ月分の議題を話し合わなければならないため会議時間も非常に長く取ります。」
一見するとこうした企業は少なくないようにも思えますが、内田氏はこう続けました。
「このような形のマネジメントをしていると、会議の直後に問題が生じても気づきづらい。場合によっては、1ヶ月後まで気づけないということもあります。
一方で、臨機応変、かつ迅速に対応できるマネジメント体制を持つ組織というのは、問題が生じたときに迅速に察知でき、即座に対処することができます。そうすれば、人を集め、時間をかけて準備する会議を何度も開く必要はありません。
マネジメントにとって重要なのは会議することではなく、問題を発見した際にどれだけ早く次のアクションを取れるかということなんです。」
いわば、マネジメントが遅い組織というのは宿題を溜め込んで一気に片付けてしまおうとするタイプ。一方で、マネジメントが早い組織というのはこまめに、早いうちに宿題をこなしてしまうタイプと例えることができるかもしれません。
そう考えると、後者の方がスピード感があるだけではなく、漏れや見落としも軽減できますね。
「快適なマネジメント環境を構成するもう1つの要素は、マネジメントを全員で行うということです。
一般的に、マネジメントというのはマネージャーの仕事であると認識されているように感じます。進捗状況をチェックして、優先度の変更や意思決定を都度行い、コミュニケーションを取りながらタスクを割り振っていく。
しかし、これらのマネジメント業務は本当にマネージャーの手で行わなければいけないのでしょうか。私は、そうは思いません。
マネジメントはマネージャーだけのものではなく、全員にとって自分事であるべきなんです。
新しい価値を生み出そうとチャレンジを続ける組織ほど、関わる全員が現状や問題点を把握し、状況判断を下すための材料を持ち、主体的に動くことができる環境を整えることが大切だと私は思いますね。」
こうしたお話をすると、日々マネジメントに取り組む経営者様や部下を持つ中間管理職の方々の中にはこのように思われる方が少なくないでしょう。
“確かに、そんな組織が作れたらいいとは思う。ただ、現場の人間は急に賢くはならないよ。だからと言って、手取り足取り指導する時間なんて取れない。”
内田氏らが経営する株式会社インプリムでは、こうしたマネジメント環境に悩みを抱える方を救うためにビジネスアプリケーションプラットフォーム『Pleasanter(プリザンター)』の開発と販売を行っています。
「一言で言うと、『Pleasanter(プリザンター)』とはビジネスアプリケーションプラットフォーム。わかりやすい言葉で言い換えると、アプリケーションを自由に組み合わせて使うことができるサービスですね。
このサービスは、高い汎用性に加えて、画面や要素を非常に柔軟に操作でき、画面切り替えも一瞬なんです。まさに、現場が快適にマネジメントするための仕組みや性能を備えているサービスと言えるでしょう。
こうしたシステムの柔軟性とスピードの両立は非常に難しいものなんですが、私たちはその両軸をずっと目指して開発を続けてきました。今となっては、私たちほど「スピード」というところに注力しているサービスは他に見たことがありません。」
株式会社インプリムを起業する前、もともとは会社に勤務し、部署やプロジェクトのマネジメントを行っていた内田氏。志を高く持って働きながらも現場で疲弊する方々を救うために立ち上がりました。それからは通勤時と休日の限られた時間の中で自分が欲しい理想的なシステムの在り方・機能を追求する日々。
その結果、現場が求めていた柔軟性とスピードを両立した先端サービス『Pleasanter(プリザンター)』は生まれました。
この『Pleasanter(プリザンター)』を日本、そして世界へ普及させていくために、株式会社インプリムは大きな決断を下しました。
中小市場へ規模拡大。業界大手と資本業務提携へ
2018年7月23日、株式会社インプリムはナレッジスイート株式会社と資本業務提携を結んだことを発表したのです。設立してまだ2年にも満たないベンチャー企業と業界を代表する上場企業の提携には、驚きを隠しきれなかった方も少なくなかったのではないでしょうか。
内田氏とナレッジスイート株式会社の代表取締役を務める稲葉氏に、本提携に至った経緯と目的について伺いました。
お2人の出会いのきっかけは、Facebook。
内田氏
「出会いのきっかけは、Facebookでしたね。突然面識のない方からメッセージを頂いたので誰かと思って見てみたら、稲葉さんだったんです。調べてみたら、稲葉さんはナレッジスイート株式会社の代表取締役社長を務めるほどの方だということがわかって。
『これはすごい方から連絡がきてしまった。どうしよう。』というのが最初の印象でしたね(笑)」
稲葉氏
「僕はいつもアンテナを張っているので、素晴らしいサービスや興味深い技術があれば調べているんです。今回も『Pleasanter(プリザンター)』というサービスと株式会社インプリムが持つ技術が素晴らしいものだと感じて、僕から連絡を差し上げました。
お会いして話をしていると、意外とお互いの共通の友人も多くてね。」
内田氏
「そうですね。直接お会いする機会がなかっただけで、意外と近いところにいたんですよね。」
その後、お2人はどのような目的と展望を持って資本業務提携を結ばれたのでしょうか。
内田氏
「株式会社インプリムとしては、『Pleasanter(プリザンター)』というサービスを主に大手の企業様向けのソリューションとして提案してきました。これは、規模の大きな企業様の方がこれまでに同様のサービスを利用していて、その経験とリテラシーをお持ちだったためです。
その一方で、私たちとしては日本全体の企業数の99%以上を占める中小企業の市場というのをいずれは視野に入れていかなければならないと考えていました。とはいえ、競合企業様もいる中で私たちのリソースだけでやっていけるかというと、やはり営業力も資金力も不足していたんです。
そこで、稲葉さんからのご提案もあり、ナレッジスイート株式会社のお力を借りながら中小企業市場を開拓していくことになりました。」
稲葉氏
「そうですね。
僕たちは、純国産のクラウド型統合ビジネスアプリケーション『Knowledge Suite』を展開しているんですが、すごく多くの問い合わせを頂いています。これは大変ありがたいことなんですが、正直なところその全てには対応できておらず、失注の数も多い。相手から接点を持ちに来てくださっているのに、失注に至ってしまうのはなんとかしなければいけないと考えていました。
そうした時に知ったのが、『Pleasanter(プリザンター)』。このサービスには、特定のニーズに特化した『Knowledge Suite』にはない高い汎用性があったんですよね。
私たちは米国の経営学者ピーター・ドラッカー氏が言う『お客様が欲しいものを提案すれば必ず買って頂ける』という言葉を胸に、全国のお客様に対して“聞き込む”ということをし続けています。そうすると、様々なニーズが顕在化してきます。
そうした時、僕たちのサービスでそのニーズを満たして差し上げることができるならば『Knowledge Suite』をご提案しますよね。ところが、当然ですがそうではない場合もあるわけです。
そのような時、『Pleasanter(プリザンター)』があればニーズに応じて2つのサービスを軸とした独自のご提案ができるようになると考えたのです。」
内田氏
「素晴らしいアイディアですよね。
加えて、私たちとしてはこれから会社の規模を拡大していくにあたって、先人である稲葉さんのご経験をお借りできることは非常に心強いですよ。やはり新しいことに挑戦すると新しい問題に向き合わなければならないこともあるため、すでにその苦難を突破してきた稲葉さんのお話というのはとても勉強になります。」
稲葉氏
「その上で、僕たちとしては営業面やプロモーションといったところでもサポートしていきたいと考えています。一言で言えば、株式会社インプリムがより良い製品作りに注力できるように後方から支援をさせて頂くという形ですね。」
新たな価値の創造を目指す人々が人間らしく働ける未来を
最後に、株式会社インプリムとしての展望を内田氏に伺いました。
「私たちは昨年設立したばかりの会社ですが、ナレッジスイート株式会社のご支援も頂きながら、新しい機能のリリースや新規顧客の獲得によって規模を拡大していきます。
3年後までに2000社のお客様とお付き合いができるくらいになれたらいいですね。
これからはRPAやAIといったものがより一般化されていき、単純な仕事は機械が代わって仕事をするようになる。なくなってしまうだろうと囁かれている仕事もありますよね。そうした中で、私たちはこれからも新しい価値の創造を目指す方々がより人間らしく働くためのサポートをしていきます。
そのために、株式会社インプリムはIPOという大きな目標を掲げています。
最後になりますが、新しい価値を創造するために必要な計画を立て、判断・意思決定をし、行動していくというのは本来楽しいことだと思うんです。
株式会社インプリムは、これから新しいことに取り組んでいく会社や組織の方々が人間にしかできない仕事にフォーカスできるよう、サポートできる存在を目指していきます。
そうした中で『マネジメントの快適化』というところに関心を持つ方々を増やし、ソフトウェアの力で人間らしいワークスタイルを実現していきたいですね。」
執筆 / 山崎