株式会社ロッカ
馬場 将実
POSTED | 2018.11.07 Wed |
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TAGS | 従業員数:5人以下 業種:製造業 創立:15年以上 決裁者の年齢:50代 商材:BtoB |
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レーザーならではの繊細さで紙に新しい価値を
手に取ってこそわかる精緻な作品で未来を拓くTopics
今回お話をお聞きした株式会社ロッカは、レーザー技術を用いて紙製品や木、アクリルなどのカット加工を行なっています。
レーザー加工と聞いてイメージをしにくい方もいるのではないでしょうか。まずは、レーザー技術がどのように製品作りに関わっているのか、当社の事業について詳しく伺いましょう。
株式会社ロッカ 代表取締役 馬場 将実氏のONLY STORY
【経歴】
1974年、埼玉県川越市出身。
2002年、結婚を機に義父の経営する株式会社北沢紙業に入社、ナンバー印刷、型抜き加工の紙加工職人として修行。
2009年、リーマンショックの翌年に新たなビジネスモデルの構築の為、株式会社ロッカを設立。レーザー加工を中心とした加工サービスの提供をしながら、紙製品文具の企画製造販売を中心とした株式会社バックストリートファクトリー(2013年設立)の合計3社の経営に携わっている。
手に取ってこそわかる繊細加工
―馬場氏―
「弊社は加工業をしていまして、レーザーを用いたカット加工と共に、木材の表面を彫刻する彫刻加工を手掛けています。もともとは紙製品を専業としていたので、やはり紙加工が大半になりますね。
型抜き加工では木型や刃型を使うのですが、細かい加工をしようと思うと、型には限界があるんです。それがレーザー加工ならレーザー光で超微細な切り抜き加工が可能になります。
そんな技術を活かして、メモや招待状、グリーティングカード、ノベルティ、イベントの装飾物などを作っています。私たちはアクリルや木も加工できるので、ジオラマ、建築用の人体模型、鉄道の車両や鉄橋といった模型関連の加工も提供しています。
そのほかにも、webサイトでコルクコースターも販売しています。お客様からいただいたデザインをコースターに加工して、オリジナルコースターを作ることができるというものです。こちらは個人の方から企業の方まで幅広く対応させていただいてます。
多くの製品を提供させてもらっていますが、レーザー加工で何をするのかがポイントで、今までなかった物、変わった物をつくることに挑戦し続けています。
しかし、写真で見ただけでは、レーザー加工製品の素晴らしさは伝えきれません。やはり、実際に手に取ってもらわないと分からないものがあります。なので、その素晴らしさを分かってもらうための取り組みとして、最近はBtoBの展示会にも出展しています。
また、お客様にとっても、レーザー加工はわかりにくい技術ですから、きめ細かなヒアリングで、希望に沿ったサービスを提供しています。」
時代を見抜いてレーザー加工で起業
―馬場氏―
「私は高校卒業後、派遣で販売員をしていたんですが、業務を通して直接お客様の喜びを感じられる仕事っていいな、と思うようになったんです。そこから段々と、商売に興味もわいてきました。
そんな中、私は結婚と同時に、妻の父親が経営する会社に入社し、紙加工の業界に入りました。家族経営の町工場で、ナンバー印刷、型抜き加工などをしてました。ナンバー印刷はチケットや伝票の中に番号を刷り込む仕事です。
そういう特殊加工は面白いと思っていましたが、web化が進んで紙業界の危機を肌で感じるようになりました。
以前は分厚かった電化製品や携帯電話の取り扱い説明書も、今や紙が2、3枚の時代で、詳しくはweb参照って具合になっています。それだけ紙製品、印刷物が激減していて、番号印刷が必須であったチケットも携帯だけで完結してしまいます。
その後しばらくして、レーザー加工を見る機会がありました。その精緻な加工に衝撃を受けたんですが、一方で加工に時間を要し、生産性に疑問を感じたので、その時は実際に使うところまでは考えられなかったです。
しかし、時代の流れを考えた時に、次の一手はやはりレーザーだと考えました。そして、2009年にレーザー加工の株式会社ロッカを作って独立しました。ちょうどリーマンショックの翌年のことでした。」
ITとの融合で次世代的な変革を
―馬場氏―
「株式会社ロッカは来年、10周年を迎えます。
その前に工場を拡張したので、機械の増設や大型機械の導入も可能になりました。これによって従来のレーザー加工に、プラスアルファの部分も提供できるようになると思います。お客様の全ての要望に、まとめて応られるような会社になりたいと思っています。
今、物づくりを支援する場、ファブリケーションスペースが至る所に開設されています。そういった場で、私たちの持つノウハウや加工機をレンタルしていき、個人のニーズに応えていきたいとも考えています。
荒川区はこの時代に珍しく、起業したての町工場が多い地域なんです。そのネットワークを活かして物づくりの再発進地にていきたいです。
紙を中心に事業展開して10年、この間だけでも雑誌やコミック、書籍の電子化が進み、紙媒体は衰退の一途をたどっています。製紙メーカーの生産量も年々大幅に減少しており、製本業は20年後には伝統産業になるとも言われているんです。
なので、レーザー加工だけで今後20年以上も営業できるとは考えていません。webが及ばない、つまり手に取ってこそ価値に気づく物を作り続けながら、ITと融合していく道を模索して、次世代的な変革をしなければと思っています。
株式会社ロッカが目指すのは日本一のレーザー加工屋です。弊社のレーザー加工の技術水準には自信を持っていますから、レーザー加工で困っている事業所があればお手伝いやアドバイスをさせていただきます。」
執筆・増田晶嗣