株式会社アニスピホールディングス

福祉業界で、人と動物の幸せを追求する

キーワードは「かけ合わせ」アニスピが体現する社会課題の解決方法

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「貧困」という言葉を目にしたとき、何をイメージするだろう。多くの人がインフラや教育設備などが整っていないようなところ、アフリカをはじめとした諸外国を思い浮かべるのではないだろうか。日本ではない、どこか遠くの国で起きていることだと。

しかし貧困は日本に密接した社会問題なのである。そう話すのは「人間福祉と動物福祉の追求」という経営理念を掲げ、「障がい者グループホームの不足」「空き家問題」「ペット殺処分問題」の解決に取り組む、株式会社アニスピホールディングス代表取締役社長・藤田英明氏だ。

今回は福祉の視点から日本の貧困問題や障がい者福祉を取り巻く課題について伺った。

介護・福祉業界に革新をもたらす、藤田氏の原点


ー日本における貧困について藤田様のお考えを教えてください。

藤田氏:僕は25年以上福祉業界にいますが、そのきっかけは「日本の貧困問題を解決したい」という想いでした。

中学生時代、僕はブラジルへサッカー留学していたんですが、自信を持って行ったものの、現地では近所に住むおじさんにすらサッカーの技量では敵わなくて(笑) サッカーの本場で実力差を知り帰国しました。

それでサッカーは諦めようと思ったときに、思い出されたのがブラジルの貧困問題でした。現地では貧富の差が激しく、同世代の子はストリートチルドレンとして、生きるために窃盗をするのが日常茶飯事。そのほかにも日本では考えられない光景がありました。ただ日本に帰ってきて思ったのは、「ブラジルは貧しくても元気で、日本では豊かなのに元気がないのはなぜだろう?」ということでした。

高校生になって、改めてその違和感について知りたくなり、いろいろと本を読み調べていくうちに、「絶対的貧困」と「相対的貧困」というものがあると知りました。


ーその2つの貧困はどういったものなのでしょうか。

藤田氏:「絶対的貧困」というのは、家や仕事がなく最低限の生存を維持することが難しい状態のことで、「相対的貧困」は、その国にある文化水準や生活水準と比較して生活することが難しい状態のことを指します。

他者と比較することで生じる自分のコンプレックスや劣等感、この相対的貧困こそが日本に元気のなさを感じた要因のひとつであると学びました。日本は1998年以降G7の中では最も高い自殺率を記録するほど自殺者が多いのですが、日本に自殺者が多いことにもこうした背景があるのです。

さらに調べていくと、相対的貧困が生まれる格差には「障がい」が関係するということもわかりました。障がいがあるから就職できなかったり、就職しても辞めさせられたり…。それらが原因となり、精神ショックから鬱病を発症する、そして自殺してしまうという悲しい結末を引き起こしています。


こうした実情を高校生のときに知り、当時から変わらず持ち続けているこの社会課題に対して何かしたいという想いで事業を展開しています。

“障がい者の住まい×保護犬・保護猫” 他業界の課題とかけ合わせていく福祉のカタチ


ー具体的にはどのような事業を展開しているのでしょうか。内容をお聞かせください。

藤田氏:当社では、人の福祉とペットの福祉に必要とされるトータルサポートを提供しています。障がい者グループホーム事業「わおん」「にゃおん」、100%動物看護師によるペットシッターサービス「ケアペッツ」などを展開しています。

ーペットに着目したのはなぜでしょうか。

藤田氏:元々動物が大好きで、私自身も保護犬を7頭、保護猫4頭ほか複数の動物と生活しています。動物との共生は、心身の健康や他者とのコミュニケーションのきっかけにつながり、人間の社会生活によい影響をもたらしてくれます。


               わおん事業のイメージキャラクター「福助(ふくすけ)」

医療現場でも動物との触れ合いによって生活の質(QOL)を高める手法としてアニマルセラピーが採用されていますよね。加えて癒しを与えてくれるだけでなく、障がい者の働く意欲を高めることにもつながります。

そして、保護犬や保護猫をグループホームで保護することは、殺処分される動物を少しでも減らす貢献につながります。日本では約38,000頭の犬猫が行政機関によって殺処分されているんですね。当たり前ですが、人も動物も生まれてくる場所を選ぶことはできません。ひどい環境に生まれたとしても逃げることすらできない、そのような悲しい命を救うためにもこの事業を進めています。

ー般的な福祉へのイメージが変わるような取り組みですね。

藤田氏:ありがとうございます。介護・福祉の事業は、国の制度によってつくられているという側面もあり、福祉単独で何かをしようとすると少々堅苦しくなってしまう部分があります。

例えば「わおん」「にゃおん」のように福祉に他業界をかけ合わせることで、業界双方の課題解決を推進しながら、福祉に関心を持ってもらえるきっかけもつくることができると考えています。


                     オフィスで暮らす保護猫ジジちゃん


ー実際に現在計画されていることなどはありますか。

藤田氏:今、本格的に取り組みたいと考えているのが、飲食業界と福祉の融合です。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、売上げが前年の50%にもならない危機的な状況に陥っている飲食店が多く、当社の事業への参画を相談されることが増えています。

具体的には飲食店の置かれている状況をみて、営業継続の方法として障がい者の就労支援事業所の認定を受ける方法を提案できればと思っています。認定を受けると、飲食店には1人1日7,000円の給付金が支給されますので、仮に20人の採用だと1日で14万円の給付がされます。月間でみれば、それなりに大きな金額ですよね。飲食店の営業収入と合わせ、給付金の支給があれば店舗の維持ができ、障がい者の雇用の拡大にもなるので、今の世の中の流れをみて取り組めるものだと思っています。

ー社会貢献をしながら、国から給付金がもらえるのはうれしいですね。

藤田氏:そうですね。飲食店以外にも、コロナショックを強く受けている不動産業界や美容業界をはじめ各業界の経営者には提案したい内容です。事業者によっては持続化給付金として国から融資を受けているところもありますので、その資金をこれまでの事業展開に活用するだけでなく、事業を立ち上げることで、これからは新たな収益源を確保しておくことをおすすめしたいですね。

実際に、現在は本業を持ちながら新たな事業の柱として介護・福祉業界に挑戦する参画企業様が増加しているんです。

介護・福祉業界のビジネスは、コツコツと継続していくものですので、ブレイクスルーして「時価総額が跳ね上がりました」というようなことは起きませんが、非常に安定しています。まさに今のような社会が混乱にあるときこそ、生活を下支えするものにもなるわけです。

健やかに社会生活が営める居場所をつくる


ー25年以上福祉業界にいる中で、どのような点に業界の変化を感じますか。

藤田氏:人々に介護・福祉が認知されているという実感はあります。

私が大学に入学した1994年は、今のように介護保険制度がなく、自治体か社会福祉法人が運営するのが介護業界でした。当時は、業界で働く人も全国で20万人程度。今は介護や福祉の制度が整備され、民間事業者も業界に参入し、従事者は600万人にまで増加したと言われているので、仕事をするうえで選択肢のひとつになっているというのは、私の学生時代を考えれば変化していると思います。


一方で、まだまだ世の中には障がいに対する差別や偏見は根強くあります。例えば、国内で医療機関で精神障害と診断された人は400万人いるとされ、診断されていない人のうち精神障害の可能性がある人は国内に3,000万人いるといわれています。つまり診断された数の10倍にものぼる患者が処方を受けずに一般社会の中で生活しているんですよね。

そして、彼らが医療機関に向かわない理由の1つが精神疾患に対する差別や偏見なんです。今SNSや新型コロナウイルスの影響で、精神疾患にかかる人も増えていてこうした事実をしっかり伝えながら、差別や偏見と向き合っていかなければと思っています。

ー今後増えていくと予想される精神疾患に対して、福祉業界はどのようなことが求められていくのでしょうか。

藤田氏:大切なのは、患者が医療や福祉とつながっている環境を作ることです。医療や福祉が連携できていないと、一人になったとき十分な知識がなく誰にも相談もできず思い詰めてしまう可能性があるからです。

例えば、精神疾患にかかった時も、医療とつながっていれば適切な処方があり、福祉とつながっていればグループホームで集団生活をすることができる。つまり、社会生活を維持することができるんです。


加えて、退院後の環境作りも必要不可欠です。日本は他の国と比較して、対人口当たりの精神病院のベッド数が非常に多く、入院期間は長期なのが現状です。例えば鬱病で入院したとすると、フランスでは平均5日間程度で退院、日本では平均270日かかるとされています。これだけ日数に差が出る大きな要因のひとつに、退院後の受け皿がないことが挙げられます。

実は精神障害を抱えた方が、退院後1年以内に再入院する割合は90%近くになるというデータが出ているんですね。自宅で鬱病を発症した人が、退院後に自宅に戻ったことで再発し、再び入院をする。適切な場所で過ごすことができないと、入退院を繰り返すことになってしまうんです。

今後は日本でも海外と同じように、精神病院のベッド数は年々削減され、早期退院を促す動きが加速していきます。そうなったときに、グループホームのような健やかに生活できる居場所が必要です。あまるくらいの勢いで全国に事業所をつくっていくことが求められています。

ー御社としてはどのようなアプローチを考えていますか。

藤田氏:最近では、日本初の運動療法を取り入れた障がい者デイサービス(生活介護)「ワーカウト」をスタートさせました。端的に言うと、デイサービスにフィットネスを取り入れたもので、運動により精神症状の改善を目指します。

参加する人たちは、薬の副作用で太りやすくなってしまっている人が多いんです。「運動することが楽しい」というのを体感してもらい、痩せたり綺麗になっていくという目に見える結果によって、運動がその人自身の喜びややりがいにつながっていく。目的もわからず、与えられる単純作業をやり続けるよりも、心身ともに健康にしていくことができます。

音楽好き、サーフィン好きというように、何かテーマやかけ合わせるものがあると、そこに興味関心が高い入居者が集まるので、コミュニケーションが活発になったり、入居される方たちの生活に活気をもたらすということが期待できます。

ーフィットネスだけでなく、入居者の興味・関心によって様々なかけ合わせができる面白い取り組みですね。

最後にご覧になっているみなさまにメッセージがありましたらお願いいたします。

藤田氏:セミナーや研修を通して、私が直接介護・福祉業界の情報やグループホーム経営・運営について丁寧にお伝えしています。ぜひ、参加していただき、介護・福祉について理解を深めていただけたら嬉しいです。

より多くの方々に「福祉は奥が深い」ということを知っていただきたいんです。きっと、はまりますよ(笑)

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