株式会社レーベン販売
高部篤
POSTED | 2016.08.31 Wed |
---|
TAGS | 従業員数:11〜30人 業種:製造業 創立:15年以上 決裁者の年齢:その他 商材:BtoC |
---|
ひらめきと改良で「いいね!」を生み出す
「便利」と「健康」のために、昔から代わり映えのなかった 手道具をアイデアで一新。Topics
株式会社レーベン 社長 髙部 篤氏のONLY STORY
「ものづくり」は一生のうちで何回もチャレンジできる仕事
以前の会社ではソフトウェア開発を行っていました。特に時間の掛かる銀行オンラインやPOSシステムなどの開発に携わってきました。
より簡単に、より便利にを目指して、新しい技術を開発したり、改良を加えながら努力する毎日でした。
そして、今でも業界では素晴らしいシステムを開発して来たと自負しております。しかし、一方でその評価を得る場所が無く、説明してもなかなか理解して貰えない状況でした。
このままいくと、良いものを作っても、一生のうちに自分の功績を認めてもらうのは何回あるのかなと悩んでいました。
そんな時に、趣味でやっていた銀細工の切れ端で「耳かき」を作ってみたんです。
すると、周りからは「いいね!」と褒めてもらう声が沢山聞こえてきて。
手で作る作業は単純に好きでしたし、ソフトウェアを 1 つ、2 つ開発している間に、身近な手道具の「ものづくり」は 100 でも 200 でも出来ると思えました。
使えば評価もすぐに出て結果が手に取るように解る。結果が解れば、一生の内に何回もチャレンジできる、そしたら、モノ作りとして人生が楽しい事だろう。
その様に考え、それまでの会社は他の人に譲って 2002 年に独立したんです。
開業時の風景
身近に転身を促す兆候
① 1998 年に Yahoo!の今日のおすすめ欄に、私の作った耳かきが掲載されたのです。
Yahoo!の今日のおすすめに掲載されたことで、興味を持ってくれた人からのアクセスが集中してサーバーがパンクするほどアクセスがありました。
② 耳かきの製造委託をするためにスプーンメーカーに行った時に、「スプーンはスープを沢山すくえる深いものが一番いいスプーンなのです」という話をお聞きました。
私は、即座に「でも、カレーとかピラフを食べる時には深いスプーンだと底に残ってしまうよな」と思いました。そして、浅くてしゃくりあげなくていい「ソフトスプーン」を思いつき、作ったのです。
③ そして神奈川の記者クラブに売り込みに行った時に、育児中の女性記者に「ソフトスプーン」を使用して頂いたら、いつもごはんをこぼす子供が全然こぼさなかったそうです。
そこから「食べこぼさない魔法のスプーン」としてテレビ局で放映してもらったところ、多くの保育園で扱われるようになりました。
食べこぼさない魔法のスプーン
④ そこで、「子供が便利に使えるのなら学校でも喜んで頂けるんじゃないか」と思い、学校給食を見学しに行ったんです。
学校に行ってみると、給食室の中に並んでいたのは昔と同じ道具ばかりで、どれも汚れが落ちきっておらず給食特有の匂いが染み付いていました。
それを見て、「これはひどいな」と思いましたね。
器具のつなぎ目に詰まった汚れはどう洗っても落ちないようなものでしたし、このままだと集団で食中毒が起きる可能性だってあるな?と。
そこで、つなぎ目のない学校給食用の調理器具や、配膳器具、専用の包丁などを開発したんです。
その功績が認められてこれらの活動が、「キッズデザイン賞」、「グッドデザイン賞」を頂くことができました。
その様なことからも、独立せざるを得ない状況になっていました。
各種賞
学校給食器具販売で苦戦
市町村ごとに学校給食を担当している業者があり、学校はその業者から器具を買うよう指導されています。
ですから、学校に直接売り込みにいくのではなく業者に販売してもらう仕組みを作らなくてはいけないので営業活動は大変でした。
ですが、子供たちに安全な食を届けたいという思いがあり、諦めませんでした。
耳かきの大ヒット
一方で、耳かきはと言うと、最初の銀の耳かきが何度も改良が施され、3連ワイヤー「ののじ爽快耳かき」となり、1 本 2,000 円とチョット高価ですが、これが既に 300 万本以上売れています。
コンビニエンスストアには100円で耳かきが売られているのに、「そんな高いもの売れるわけがないだろう」と最初は言われていたのですが、今も順調に売れています。
価格が高くても、良いものはちゃんと売れるんですね。
最近では株式会社サンリオ様とのコラボ商品「ののじ耳かき ハローキティ」を発売しました。
耳かきイメージ写真
キティ耳かき
学校給食で便利ならば一般の人にも
学校給食器具は、配食具から調理用具と広がり、学校で便利なので有れば、一般家庭でもの考えから、一般向けの開発が始まり、今では、「キャベツピーラーライト」「サラダおろし」等のヒット商品ができました。
サラダおろし/キャベツピーラーライト
「ものづくり×日本の野菜」で人々の健康を支えるお手伝い
みんなが、美味しく人参を食べる事が出来たらとの考え方で、今までは、サラダおろしで作る沖縄の人参郷土料理「人参シリシリ」を広める活動を行って来ました。
ゴーヤチャンプルも、沖縄の郷土料理ですが、今から10数年前までは、余り知られませんでした。しかし、今では、全国ほとんどの人が知っている料理です。
この様に「人参シリシリ」料理も全国の方に知って頂き食べて頂きたい。
それによって、みんなが健康になって頂きたいと考えています。
今後は、「ものづくり×日本の野菜」で、日本人そして、世界の人々が健康になる世の中を創りだす事にチャレンジしていきたいですね。
根菜フリルサラダ・削リ〜ナ
大根を主役に
その様な中で、私が今注目しているのが「大根」です。大根の様な根菜を生でおいしく食べられる調理器具「ののじ根菜フリルサラダ・削リーナ」を開発しました。今までの大根の食べ方は「大根おろし」とかの様に脇役が多かったと思われます。大根が主役で大根を食べれるようにしたかったのです。
この「ののじ根菜フリルサラダ・削リーナ」は優れモノで、商標を入れますと6個の特許を保有しています。(図参照)指を掛けるだけで、横滑りせず、楽に誰でも従来の皮むきは勿論、キャベツの千切りから、薄皮剥き(フリルサラダ剥き)が出来ます。薄皮剥きは、表面に段差模様が出来ることで根菜が美味しく、食べやすくなります。
例えば、削った大根にパスタソースをかけるだけでカルボナーラ風にもなります。麺はカロリーが高いのですが、麺を大根に置き換えることでヘルシー料理とする事が出来ます。大根を生で食べることで、酵素の働きが活用できる事も嬉しいですね。
6個の特許/カルボナーラ
日本の大根は「ジャパニーズラディッシュ」というもので、実は他の国ではあまり食べられていないのです。世界中の人々の健康増進を願い、大根調理を日本の文化として世界に広げられたら嬉しいですよね。
何気ない思いつきを昇華させることが大事
新しい商品は、何気ない「思いつき」から生まれます。
その様な思いつきは誰にでも多少は有ることでしょう。
しかし、その思いつきの状態を始まりの状態、三流の状態と捉えます。思いつ きを何度か昇華させて一流のアイデアとして製品化する事が大事なことと考え ます。
良い製品にするために、ターゲット、機能性、利便性などなどについて深くじ っくりと考え、レベルを上げていくことが大事ですね。
これから自分のアイデアで何か新しいものを発明してみたいと思っている若者 には、ぜひこれらのことをコツコツと実践していって欲しいと思います。
2015年社員旅行より