株式会社シェアードバリュー・コーポレーション
小林 秀司
POSTED | 2015.12.11 Fri |
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TAGS | 従業員数:5人以下 業種:研修・コンサル 創立:15年以上 決裁者の年齢:60代 商材:BtoB |
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本当にあった!人を一番大切にする企業
”人本経営”の企業を世に広める会社Topics
株式会社シェアードバリュー・コーポレーション 社長 小林 秀司氏のONLY STORY
起業のきっかけは、一人の上司との出会い
まずは私の人生を変えてくれたある一人の上司についてお話ししたいと思います。
私は元々、士業の資格取得学校で講座事務局の仕事をしていました。というのも、学生を終えて一旦営業職に就いたのですが、自分のやりたいこととは違うなと感じ、会社を辞めて行政書士の資格を取ったのです。そこから司法書士へステップアップしようと考えていた時でした。通っていた資格学校から「講座の手伝いをしながら学ばないか?」と誘われ、そのまま就職したのです。。
司法書士の講座に配属されると思いきや、配属先は社労士の講座でした。それが、私と社労士の出会いです。受験指導という現場は楽しかったですが、職場の実態は少ない人数でのハードワークでした。新人の時から多くを任され、まさしく経営している感覚の毎日です。ですが、当時の上司には提案をほとんど受け入れてもらえず悶々としていました。
こうしてアイデアを実現できないまま、3年が経った頃。新しい上司が来ました。この出会いが、私の根本をつくったといっても過言ではありません。私の出すアイディアを聞くなり、「とても良いからやりなよ」と認めてくれたんです。
それまでと真逆の対応に驚きつつも、やる気が出て120%の力で頑張りました。結果として7年間業績が向上し続け、最終的に”部”まで発展することができました。
その上司は抜擢され直属から外れていきました。でも、すっかり自信をつけさせてもらった自分がいました。仕事を続ける中で、せっかく資格をとっても上手く活用できない人が多い現実を知りました。
そこで、資格の活用方法を伝えるキャリア開発のビジネスを事業化することを会社に提案しましたが、受け入れてもらえませんでした。その時、私は起業を決意したんです。当時一緒に働いていた同期はどんどん育ち、独立していく仲間が多く、そうした状況も後押ししてくれました。起業する勇気と自信が持てたのはすべてその上司のおかげだと思っています。今思うと、その上司はまさに、このあとお話しする”人本経営”をしていたのです。
トライアンドエラーの中で見つけた、問題解決の糸口
”人本経営”とは、一言で言うと”人をもっとも大切にする経営のことです。ここにたどり着くまで、様々な事業を経ました。起業してまずは、社労士という資格でいかに早く開業し成果を上げるかを実践するテーマを講座にしたスクール事業を始めました。大規模な雇用助成金が存在した当時の時代背景もあり、講座は大盛況でした。
しかし、時代が移り変わる中で、やがて助成金の切り口が通用しなくなったのです。
助成金は国の政策に左右されるもので、自分たちの力ではありませんでした。『他力本願なことをやっていると継続しない』そう感じ、その事業を辞めました。
では次に何をしようか、と考えた時に多くの企業で社内トラブルが多発していることに気づきました。そこで、紛争解決処理の仕事に切り替えたんです。最初からルール化を徹底すれば問題は起きないだろうと仮説を立て、就業規則の見直しなどを行なう企業防衛型の人事コンサルティングを提案実行していきました。ですが、続けていくうちにここでも問題点が見えました。紛争解決しても会社が良くならないのです。多大な時間をかけて紛争処理をしても、1年も経たずに、またそれを繰り返す会社がありました。労働紛争の解決の時間は、会社にとっても労働者本人にとっても自分たちにとっても、不毛なことで時間を費やしていると感じてしまったのです。
それが人の専門家社労士の自分たちが本当にやることなのだろうか、という疑問も持ちました。
すると、そもそもこうした労働問題が起きない職場づくりをすることを仕事で貢献できて、人の専門家としての社労士が存在するのではないか、という思いが沸き起こり、ストンと腑に落ちました。
それから、どうすればそのような会社が実現できるかを研究していきました。勉強をしていくうちに、人を大切にするいい会社は”経営理念を大事にしている”などいくつか経営の法則性があるということがわかってきました。さらに学びを深めようと本屋に日参する日々が続きました。
そんな生活の中で、書籍『日本でいちばん大切にしたい会社』と出会ったんです。読んですぐに、『これだ!』と思いました。
この本は、経営学者として著者坂本光司法政大学院教授が日本中の企業を訪ね歩いた結果、上梓された作品でした。企業経営とは業績を高めることではなく、関わる人々を幸せにしていくことであり、業績は結果であると説かれていました。その後は掲載された会社に直接伺ったり、著者である坂本教授の研究室で学んだりしながら、今までに500回の視察を行なってきました。
一つ一つの会社と直接触れることで、人を大切にするいい会社をつくることが可能であると確信できたんです。そのような会社には共通点があります。現在では30数項目ほどの基準がありますが、それがまさに、人を大切にする”人本経営”の法則的特徴だったのです。
やりかたは100通り、ありかたは1通り
「日本でいちばん大切にしたい会社」は、その後65万部のベストセラーとなり、社会に”人本経営”を実践する会社の存在の認知が広がりました。素晴らしい会社だ、自社もそうありたい、どうやったらなれるのか、という疑問を多くの読者は持ちました。そのような状況のもと、運よく人を大切にする”人本経営”を実践するためのハウツー本を書く機会を出版社からいただいたのです。
その時、”実務者”である私の役割だと思いました。どうしたら人本経営が実現できるか、夢中で書き下ろしていきました。その本をきっかけに、今では行政機関や経営者団体等からお声掛けをいただき全国でセミナーや講演の講師を務める機会に恵まれるようになりました。
そこで生まれた御縁から「直接指導してほしい」と個別企業から要請を受け、いい会社をつくりたい社長と社員の皆さんと共に”人本経営”の会社をつくるサポートをすることが現在の弊社の事業となりました。
私たちが今やっていること、これからやっていくことは、”人本経営”を世に広めていくことに尽きます。
物質的なニーズ欲求を満たすために業績軸で拡大再生産を目指す会社づくりは、バブル経済がはじけてその役割を終えました。物質的な豊かさが飽和した現代では、精神的な豊かさも同時に実現する幸せ軸の”人本経営”を実現していくことが時代のニーズとなっています。
それは、かつて私たちがやっていた紛争解決のように表面的な現象を除去するものではなく、もっと根本から本質的に解決します。最近では”人本経営”に成功した会社が、あらゆる業界で輝き始めていますし、5年後には、確実に”人本経営”が主流になるでしょう。
そのような企業を増やし、人本社会の輪を広げていきたいです。そして、そうした良い会社と社会に出る前の学生さんたちをつなぐ一役を担いたいですね。いずれは、この”人本経営”の大切さに世界が気づくタイミングがきます。その時、力になれる存在でも
ありたいと思っています。
編集=勝野・山崎