株式会社うるる

星 知也

『人のチカラ』を活用し、今までにない価値を創り出す

社会性と収益性を追求し、たどり着いたCGS事業とは
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今回話を伺うのは、株式会社うるるで代表取締役を務める星 知也氏。2017年3月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たした同社の創業者である。

「少子高齢化」「生産年齢人口の減少」が叫ばれるなか、労働力不足の解消を目指して在宅ワーカーリソースを活用した事業を数多く手がけてきた。

そのプロセスのなかで星氏がこだわり続けてきたのは、社会性と収益性の両立。一筋縄ではいかない大テーマに対してどのように向き合ってきたのか。その変遷と裏側を伺った。

株式会社うるる 代表取締役 星知也


1976年生まれ、北海道札幌市出身。21歳の頃渡豪し、社名の由来となるエアーズロック(現地語で「うるる」)に感動。うるる創業前の2003年頃、「今後労働力不足が深刻になる」と言われ始めた一方で、子育てなどで外に働きに出られない主婦の方々を目の当たりにする。こうした方々がインターネットやパソコンを使って時間や場所に制限されない働き方を実現できれば、労働力不足の解消につながると仮説を立て、新たな働き方を創ることをビジョンとして、帰国後に入社した会社で株式会社うるるを社内創業。

2006年MBOにより独立し現職。受託事業であるBPO事業、在宅ワーカーと企業のマッチングサイトとして「シュフティ」を展開するクラウドソーシング事業、そしてシュフティのワーカーを活用して自社でサービスを展開するCGS事業の3つで、ビジョンの実現を目指す。

新たな労働力を集約・活用し、今までにない価値を創り出す


–株式会社うるるが展開する事業内容について教えてください。

「人のチカラで 世界を便利に」というビジョンのもと、クラウドワーカーのプラットフォームである「クラウドソーシング事業」、顧客ニーズ・市場トレンドをつかむアンテナ役としての「BPO事業」、クラウドワーカーという新しい労働力を活用して今までにない価値を提供している「CGS事業[※]」を展開しています。

[※]CGSとは「Crowd Generated Service」の頭文字をとった造語であり、クラウドワーカーを活用して生成された事業を指します。

3つの事業が相互に支え合い、大きなシナジーを生み出していることが伝わるビジネスモデル紹介動画(約2分30秒)もありますので、是非ご覧ください。

–3つの事業の中で、さらに複数のサービスを展開されていますね。

CGS事業ではいくつかのサービスを展開しており、全国の官公庁・自治体・外郭団体の入札情報を一括検索・管理できる入札情報速報サービス「NJSS(エヌジェス)」や、幼稚園や保育園にカメラマンが出張撮影する「えんフォト」などがある中で、最近特に利用者が増えているサービスがあります。

電話番を雇うよりも低コスト・スピーディに電話対応を任せられる電話受付の一次取次サービス「fondesk(フォンデスク)」です。2019年2月のローンチからの1年間で契約ID数は2,000以上を突破し、コロナ禍においては直近1年で約10倍の成長を実現することができました。

リモートワークが推進される中で、バックオフィスにおけるDX化の後押し、またBCP対策としても高い評価をいただいています。

–働き方の変化や企業が抱える課題に寄り添った事業を幅広く展開されている印象を受けました。

一見すると共通点がないラインナップに感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、実は全てのサービスの裏側には多くの在宅ワーカーさんの存在があるんです。

HPからご覧いただけるだけでも8つのサービスをご案内差し上げていますが、ITの力によって一人ひとりの働く時間を集約・活用し、今までにない価値あるサービスを提供しているのがうるるという会社です。

今まで収入を得る選択肢が少なかった多くの方に就労機会を提供し、一方で大量の『人のチカラ』を活用できる仕組みをつくり、今までにない便利なサービスを世の中に提供していくことがうるるの使命だと感じています。

ここまで会社、事業のことをお話しましたが、私たちがもっとも大事にしているのは「何のためにこの会社を作り、このサービスを届けているのか」という点です。

–もう少し具体的にお伺いできますか。

私たちには事業を通して解決したい社会課題があります。その社会課題とは、「労働力不足」です。その背景には「少子高齢化」「生産年齢人口の減少」があり、総務省が発表している「平成29年版 情報通信白書
によれば、次のようなことが言われています。

“我が国では他の国と比較しても急速に少子高齢化が進行している。生産年齢人口は1995年をピークに、総人口も2008年をピークにそれぞれ減少に転じている。総務省「国勢調査」によると、2015年の総人口(年齢不詳人口を含む)は1億2,709万人、生産年齢人口(15歳~64歳)は7,629万人である。14歳以下の推計人口は1982年から連続して減少が続いており、少子化に歯止めがかからない実態が改めて浮き彫りになっている。

国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位・死亡中位推計)によると、総人口は2030年には1億1,662万人、2060年には8,674万人(2010年人口の32.3%減)にまで減少すると見込まれており、生産年齢人口は2030年には6,773万人、2060年には4,418万人(同45.9%減)にまで減少すると見込まれている。”

こうした統計を見ると、今後さらに労働力不足問題が深刻化していくことが予想されます。そのなかで、私たちは労働力不足を解消できるサービスを展開することで、社会から必要とされる存在になることを目指してきました。

今後もその姿勢でサービスを届け続けていくと、社会から「うるるさん、もっと頑張ってくれ」「今度はどんなサービスを作ってくれるのかな」という期待をかけていただける存在になれると思っています。これが、先ほど触れたビジョンとともに掲げている当社の理念にある「世界に期待され、応援される企業」の姿です。

簡単なことではないとわかっていますが、この社会からの期待や応援こそが存在意義であり、ビジョンの実現と収益が結果的に両立できるものだと考えています。

クラウドソーシングモデルとCGS事業誕生の裏側


–ビジョンの実現と収益…この両立は非常に難しいと聞きます。それでもその両立に挑戦するのは、なぜですか。

私たちは「社会性のない事業はしない」と決めているのですが、その背景には私自身の過去の体験が大きく影響しています。

これは、私が18歳で初めて勤めた会社で体験した話です。家庭用ファックス機付き電話機の訪問販売を行っていたのですが、私が扱っていた電話機は他社の同様製品よりも約5倍の値段でした。当時の私の営業成績は好調だったため、上司からは褒められ、組織内でもどんどん昇進しました。ただ一方で、ふと「これはユーザーにとってはどうなんだろう」と考えたことがありました。

–その頃、どのようなことが腑に落ちなかったのですか。

営業成績が上がれば褒められる。昇進し、給料も上がる。これは自分にとってはとても良いことだと思います。しかし、言い換えると自分のことしか考えていない利己的な考え方だということにも気づいたんです。

その後、社会的意義や世の中における存在意義をあまり感じられない自分の働き方に対して虚しさを抱き始めました。その体験があったことで「そのような想いを他の人にさせたくない」という気持ちが芽生え、創業時から「社会性のある事業で収益を上げる」という両立を目指すようになりました。私たちは、そこからゼロベースで事業を作ってきています。

–「労働力不足」という社会課題に着目し始めたのはいつ頃ですか。

うるる創業前の2003年。思い返せば、「今後労働力不足が深刻になる」と言われ始めた頃です。子育てなどで外に働きに出られない主婦の方々を目の当たりにし、「こうした方々が時間や場所に制限されない働き方を実現できれば労働力不足の解消につながる」と仮説を立てたところが原点です。

最初に考えたのは、「在宅ワーク[※]という働き方をスタンダードにできないか」ということでした。

[※]在宅ワークとは、企業と雇用関係がない状態で在宅業務を行うことを指します。

–当時、周囲はどのような状況でしたか。

私たちが創業した2006年頃は、インターネットが急速に普及し始めた時期です。これによって、主婦の場合で例えると子どもを寝かしつけた後の1時間、子どもが習い事に出かけている間の1時間を収入に変えることができる時代がきたと感じました。たった1時間でも何十万、何百万人分の隙間時間を集約することができるようになれば、労働力不足の解消に寄与できますからね。

在宅ワークという働き方をスタンダードにするために、まずは一番人気だったデータ入力の受託サービスを始め、在宅ワーカーさんへ仕事を発注するようになりました。その後、「クラウドソーシング」の形へと発展していきます。

–まだ「クラウド」という言葉も存在しなかった頃だったと思いますが、データ入力の受託サービスから「クラウドソーシング」へと発展した背景にはどのようなきっかけがあったのですか。

順調にデータ入力の仕事を獲得できるようになり、在宅ワーカーさんに再委託する形で進めていたのですが、データ入力の精度を高めるために、同じデータを複数のワーカーさんへ発注し、納品いただいたものを突合し、さらにまた別のワーカーさんに相違点を修正いただくというプロセスをとっていました。

これによって高精度で高品質な成果物を納品できるのですが、このプロセスが非常に労働集約的だったため私たちの処理が追いつかなくなってしまったんです。この時、ボトルネックになっていた私たちの労働集約性を解決するために生まれたのが、企業と在宅ワーカーさんを直接繋げる「クラウドソーシング」の形でした。

–国内事例がほとんどない中、クラウドソーシング事業に取り組んでみていかがでしたか。

ゼロベースで取り組み始めたので、様々な壁を乗り越えていく必要がありました。例えば、企業にとって会ったことがない在宅ワーカーさんに仕事を依頼するというのはリスクなんです。仕事を依頼する上で大事な情報を受け渡すわけですからね。このリスクを排除するために、私たちは企業側が安心して仕事を発注できるような工夫を重ねました。その末に誕生したのが、クラウドワーカーと企業のお仕事マッチングサイト「シュフティ」です。

労働力不足を解消する手段の一つとして「シュフティ」のようなモデルが成立したことはよかったのですが、一方で実際にやってみると収益率が悪いモデルであるということもわかりました。社会貢献性はあっても、経済合理性は全くなかったのです。

–どのようにしてその状況を打開していったのでしょうか。

社会性と収益性の両立にこだわり、考え抜いた先に行き着いたのが「CGS(Crowd Generated Service)事業」でした。私たちから在宅ワーカーさんへ仕事を発注する形から始まり、企業と在宅ワーカーさんを直接繋げる「クラウドソーシング」の形へ変化し、最終的には在宅ワーカーさんのリソースを活用したサービスを自ら作るという発想に至ったのです。

入札情報速報サービス「NJSS(エヌジェス)」、幼稚園・保育園向けWeb写真販売システム「えんフォト」、電話受付の一次取次サービス「fondesk(フォンデスク)」、膨大なマーケティング情報を短時間でデータ化するタブレットフォームシステム「KAMIMAGE」…これらは全て私たちがゼロから作りあげたCGS事業。

このCGSという非常に収益率の高いビジネスモデルに行き着くことができなければ、上場を果たすこともできなかったかもしれません。

–裏側にはそのような変遷があったのですね。

今となってはこうして振り返りながら冷静に話せていますが、これまでには相当数の失敗も経験しています。様々なことに取り組んできて残ったのが、今ある事業。収益率の高いビジネスモデルをゼロベースから作りあげる過程では、かなりの数の打席に立ち続けたことが重要だったと思いますね。目の前にある仕事をとにかく一生懸命頑張っていくと、どんどん次の展開が広がっていくことってあるじゃないですか。その繰り返しで世界が広がってきた感覚です。

–ゼロベースで社会性のある事業を立ち上げ、収益を作り続けるプロセスにおいて、他に意識していた点はありますか。

私が何かを成し遂げてきたというよりは、ものすごく人に恵まれました。ビジョンのもとに優秀な経営陣が集まってくれて、それぞれ異なる能力、強みを存分に発揮してくれたことが大きな推進力になりました。

今後に見据える多分野展開とIT・AI活用


–今後の展望について教えてください。

今後は、既存のCGS事業の成長と新たなCGSの創出の両方を展開していこうと考えています。

これから先、労働力不足の解消に貢献する事業に対する社会的なニーズは広がり続けるでしょう。高齢者の活用、外国人の活用という分野にも今後話題が展開していくなかで、M&Aも行いながら新たなビジネスモデルを作っていきたいですね。もっというと、ITやAIの活用によってそもそも労働力を必要としない社会の実現に貢献できる事業の創造も視野に入れています。

今後も私たちは「人のチカラで 世界を便利に」というビジョンを胸に国内外の労働力不足問題に取り組み続け、「世界に期待され、応援される企業」を目指してまいります。

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