首里社会保険労務士法人
中島 啓吾
POSTED | 2019.04.27 Sat |
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TAGS | 従業員数:31〜50人 業種:士業(会計士・税理士・社労士・弁護士) 創立:5〜6年 決裁者の年齢:30代 商材:BtoB |
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多様な方法でキャッシュを生み出せる企業が生き残る
【セミナーレポ】現役会計士・社労士に学ぶ資金繰りTopics
「今後もしも日本の景気が悪くなっていった時に生き残るのは、一言で『キャッシュがある企業』です。それも、売上だけに頼らず、多様な方法でキャッシュを生み出すことができる企業。」
そう語るのは、『認定支援機関』として国から認定を受けている社会保険労務士の中島 啓吾氏と公認会計士・税理士の大野 修平氏。
お二人が登壇する『創業時から利用したい「助成金」・「公的融資」活用・創業セミナー』に伺うと、創業支援のプロだからこそ知る経営・企業の裏側を垣間見ることができた。
知らなきゃ損!創業前に知っておきたい「助成金」
厚生労働省「雇用保険事業年報」を基に算出される開廃業率を見ると、開業率が年々上がっていることがわかる。このような流れの背景には、セミナーや本、インターネットなどから起業に関わる情報を獲得できるようになってきている変化が大きいと言えるだろう。
一方で廃業率の推移に目を移すと、志半ばで廃業を余儀なくされる企業も少なくないことがわかる。
“景気や経済状況の変化が渦巻く中、黒字であるにもかからわず倒産する企業も見受けられる。これからの時代を生き残っていける企業とは、どのような企業なのか。”
素朴な疑問を抱え、中島氏と大野氏が開く『創業時から利用したい「助成金」・「公的融資」活用・創業セミナー』に参加した。
席に着いた参加者の顔にまだ緊張の色がうかがえる序盤。中島氏から投げかけられるフランクな問いかけやクイズなどによって徐々に雰囲気が解けていく中、手元に配られたミネラルウォーターに参加者の視線が集まった。
中島氏
「この水は、本セミナーの過去参加者が創業し、作った水なんです。ぜひ飲んでみてください。」
実際にこの機会を活かして起業を果たした人の存在とその水は、まさに本セミナーの価値を表す証。
その後、本セミナー序盤で参加者の興味が集まったのは、中島氏が語った『創業前に知っておけば得する助成金について』。まさに、資金や人手が限られる創業時の経営者必見の注目の内容だった。
中島氏
「まず、今回お伝えする厚生労働省が関わる助成金とは、企業が行う『雇用を安定させる施策』に対して支給されます。もう少し言うと、キーワードは『雇用安定』『能力開発』『働き方改革』。従業員のスキルアップ支援や多様な働き方を推進する施策などに対して、様々な助成金が用意されています。
中でも、キャリアアップ助成金は創業前に知っておきたい助成金の1つです。簡単に言うと、ある従業員を契約社員として6ヶ月以上雇用した後に正社員として雇用したとします。その後6ヶ月間経過すると、そのキャリアアップ型採用に対して助成金が支給されるというものです。」
契約社員期間に会社と従業員はじっくりと互いの理解を深めることができ、正社員としての採用がかなった際にはまるでその採用を国がお祝いしてくれているかのように助成金が支給される。この制度を知っておけば、創業期でも無理なく、計画的な雇用を実現できる絵が浮かぶ。
その他、イクメンのための助成金や職場環境改善を支援する助成金など、目からウロコな助成金が次々に紹介された。
中島氏
「みなさんが次のような場面に直面した際、ぜひ一度本日の内容を思い出してみてください。
・新規で人材を採用する時
・社員教育を推進する時
・社員の家庭に子供が生まれる時 …など
創業時のあなたを助けてくれる助成金が、きっとあります。」
職場環境や働き方が見直される昨今。創業期の企業でも、助成金を活用することで働きやすい職場環境や心地よい人間関係を実現できる可能性があることを知った。裏を返せば、こうした手段に理解を深めることも経営者が務める大きな役目の1つと言えるのだろう。
事業性評価融資を活用し、生き残れる企業へ
中島氏の次に登壇されたのが、公認会計士・税理士を務める大野氏。柔らかな第一印象とは打って変わって、シビアな話題からセミナー後半は始まった。
大野氏
「私がこの仕事に就いてから、黒字にもかかわらず倒産する企業を見てきました。今後、日本の景気が落ち込むタイミングもやってくるでしょう。その時、どのような企業が生き残っていけると思いますか?
一言でいうと、『キャッシュがある企業』。それも、売上だけに頼らず、多様な方法でキャッシュを生み出すことができる企業です。経営者様には中島先生がお伝えした助成金をぜひご活用いただきたいのと、私がお伝えする融資にもぜひ理解を深めていただきたいと思っています。」
大野氏によれば、もともとは担保中心の融資だった時代を経て、現在は事業性評価融資の考え方へ移行してきたのだという。創業期の経営者はこの『事業性評価融資』という考え方を理解し、売上以外におけるキャッシュを生み出していく必要がある。
大野氏
「『事業性評価融資』というのは、一言でいうと事業の実績及び事業計画とその実行性を担保に融資を行うという考え方です。この一言では少し抽象的ですが、例えとして銀行融資の場面でどのような点が基準になっているのかをみてみましょう。
銀行融資を受ける際の条件は、以下の4つ。
①信用に関する条件
②計画やビジョンに関する条件
③代表者の経験・知識に関する条件
④自己資金に関する条件
こうした条件に沿って事業の実績及び事業計画とその実行性が測られ、これらをクリアして初めて銀行融資を受けることができます。」
さらに、大野氏からは創業期から活用できる具体的な資金調達手段として、幾つかの融資制度を紹介された。
大野氏
「金融公庫が提供するものの中で、創業時に活用できる『中小企業経営力強化資金』がオススメです。事業拡大時には、『新事業活動促進資金』も有効でしょう。その他、時代の流れに合わせて『女性、若者 / シニア起業家支援資金』や『ソーシャルビジネス支援資金』といった融資も生まれています。
ご自身の状況に応じて、ぜひ様々な融資制度をご活用ください。」
経営者を影で支える助成金・融資活用のプロ
ここまで創業時に知っておきたい様々な助成金や融資制度について、中島氏と大野氏にお話を伺ってきた。セミナーが終盤に差し掛かった頃、実用的かつ貴重な情報を得ることができた充実感を味わっていたところに一抹の不安がよぎる。
「この助成金、融資制度。自分一人で使いこなせるだろうか。」
その様子を察してか、中島氏はこう切り出した。
中島氏
「ご紹介した助成金や融資制度は、今日突然思い立って明日受け取ることができるようなものではありません。その支援を受けてしかるべき企業として認められる必要があるのです。
私が前半でお伝えした助成金で言えば、雇用管理体制の整備や事前に企画を提出することなどが求められます。大野先生がお伝えした融資の部分であっても、企業としての信頼やビジョン、代表者のプロフィールなどを伝えるための情報整理、資料作成が必要です。
創業期におろそかになりがちなこうした部分を整備することで助成金や融資を活用したコストカット・安定経営を実現できるのですが、創業期の経営者お一人でこれらを形にしていくことは相当な労力を要するでしょう。」
その後、参加者をまっすぐと見つめ直し、中島氏はこう続けた。
中島氏
「経営者の皆様には本業である経営に専念していただき、より良い職場・事業を作っていっていただきたい。そのために、私たちの力を活用してください。」
中島氏らは、中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等ができる専門知識や実務経験を持つ『認定支援機関』として国から認定を受けている。本セミナーは、その中島氏らに直接相談ができる貴重な機会でもある。
資金繰りにお悩みの経営者様は、ぜひ一度本セミナーを訪れてみてはいかがだろうか。現状を打開するためのヒントと心強いサポートを手にできるはずだ。
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執筆・編集=山崎
撮影=吉田