有限会社山口一心堂
山口 智久
POSTED | 2020.07.10 Fri |
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TAGS | 従業員数:6~10人 業種:製造業 創立:15年以上 決裁者の年齢:40代 商材:BtoB |
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商材とターゲットに見合うパッケージ製作
「箔押し」がロゴやデザインに高級感と立体感を生むTopics
今回のインタビューは、108年の歴史を持つパッケージ製作会社・有限会社山口一心堂取締役の山口智久氏に、パッケージと商材の関係やIT技術と融合を目指す今後の事業展開などについてお話を伺いました。
有限会社山口一心堂 取締役 山口 智久氏のONLY STORY
パッケージでお困りごとを解決します
––有限会社山口一心堂の事業内容からお伺いします。
山口氏:弊社のサービスはひと言で表すと「パッケージでお客様のお困りごとを解決すること」です。
具体的には貼箱、中でも和菓子や洋菓子の化粧箱、仏事で使用されるお守りやお札、仏具の箱、ほかにはネジや工具を入れる機械箱が中心になります。
基本的にBtoBの事業なので、顧客は製菓店や商社、陶器メーカー、お土産やさんなどですね。
––他社と比べて、御社の強みはどういうところにありますか。
山口氏:大正元年に創業した弊社は108年の歴史を持っており、その長い歴史と伝統に培われた商品の品質には自信を持っています。
また、小回りが効くため少数多品目・オーダーメイドのパッケージ製作を承れることも弊社の特徴だと考えています。
––「品質に自信がある」とお話いただきましたが、品質の差が出るのはどのようなところでしょうか。
山口氏:例えば「箔押し」の技術ですかね。箔押しはパッケージの表面に金や銀の金属箔を熱転写する特殊な加工で、通常の印刷をでは表せない高級感や立体感、光沢を生み出します。箔押しは依頼によっては困難な場合もあるのですが、反対に箔押しが得意であることは高い品質を保っていることの現れだと考えています。
加えて、こうした箔押しは千単位で受注するものなのですが、弊社は1つからでも引き受けることができます。
––山口様がパッケージを製作する上でこだわっている点を教えてください。
山口氏:お客様の商品の売上につながるパッケージにすることですね。お客様が弊社に依頼しているのは「パッケージ製作」ですが、なぜ依頼するかと言えばその先にある「商品がさらに売れること」を求めているからですよね。
例えば観光客がお土産を買う際、箱より中身を見てお土産を購入するのは言うまでもありませんが、パッケージを作る私たちにとっては「パッケージがその中身をどれだけ良く見せられるか」こそが肝心です。
108年の歴史を持つ家業を守るため帰国
––山口一心堂に入社されるに至った経緯を教えてください。
山口氏:もともと私は海外で医療機械の販売代理店を経営していました。しかし、数年前に家業である山口一心堂を継ぐためにインドネシアから帰国し、現在は取締役として事業展開に貢献しています。
––入社されてからこれまでで特に印象に残っていることはありますか。
山口氏:実のところ、弊社は何百という取引先があるにもかかわらず儲かってはいないんですね。それなのにどうして108年も続いているのか不思議にすら思っていました。
数ヶ月前に、そのような話を取引先にしたところ、新規顧客を次々に紹介していただき、売上の3割を占めていた京都の顧客がゼロになったコロナ禍の中でも、それを盛り返す勢いで業績が伸びていきました。つくづく人とのつながりが大切なんだと実感しているところです。
––御社のお客様からはどのようなお声をいただきますか。
山口氏:以前、東京のIT会社の知り合いから「中元や歳暮の進物がマンネリ化したので、何か新しいものがないか」と相談されたことがありました。そこで箔押しした会社のロゴを入れるパッケージを提案したところ、見た目もオリジナリティがあり非常に好評でした。
デジタル技術利用で商圏拡大目指す
––当面の事業展開をどのように考えていますか。
山口氏:滋賀県は経営者の高齢化や事業継承問題などで「休廃業・解散率」が高く、去年は183件の休廃業・解散が発生しました。そうした逆風の中ですが、自分たちにできることを着実に行い、現在のメイン事業に加え、お茶やお米などの箱、住宅展示場、自動車ディーラーなどのノベルティグッズのパッケージにも進出したいと考えています。
––その先はどう考えているでしょう。
山口氏:ネットやITをもっと利用すれば、商圏を滋賀や京都から全国に、さらには世界中に広げることができます。例えばARやVRでデジタルカタログを作れば、デジタル上でパッケージのデザインをより詳細に知ってもらえ、商談にも弾みがつくと思うんです。
––そのデジタル化について、もう少し詳しくお話しください。
山口氏:例えば営業現場では、デジタルカタログとオンラインミーティングツールを使えば、相手のところに出向かなくても商談ができるようになるので、営業効率が向上し、経費も抑えることができますよね。
そのほかにも、例えばサンプルの送付に関しては3Dプリンターのデータを使用すれば、お客様自身がサンプルを印刷できるので、簡単に実物を見て触れることができるようになります。
それは決して大企業しかできないことではなく、滋賀の小さな企業でも、やり方ひとつで十分に太刀打ちできるという信念を持っています。地方なら地方なりの地の利を生かしたビジネスモデルで事業を発展させて行きたいと考えているんです。
––ありがとうございます。最後に、読者へのメッセージをお願いします。
山口氏:弊社はパッケージ製作を主業務としている以上、商材やターゲットに見合ったオリジナルのパッケージデザインによって、顧客の売り上げ向上に寄与し、課題を解決することを第一に考えています。パッケージを変更して商品の仕切り直しや新商品にふさわしいパッケージを求めている経営者さま、ぜひ弊社へお声がけいただきたいと思います。
執筆=増田
校正=笠原