株式会社アクセスセキュリティ
古田 貴行
POSTED | 2018.10.16 Tue |
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TAGS | 従業員数:6~10人 業種:その他 創立:15年以上 決裁者の年齢:40代 商材:BtoB |
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セキュリティゲートで大学図書館の本を守る
企業が抱える課題にもセキュリティ面で寄り添いたいTopics
今回は、全国の約4分の1の大学の図書館をセキュリティゲートで守る、株式会社アクセスセキュリティの代表取締役・古田氏にお話を伺います。
まずは、現在の事業内容からお聞きしましょう。
株式会社アクセスセキュリティ 代表取締役 古田 貴行氏のONLYSTORY
大学図書館の本を守るだけでなく、必要とされる利用者統計を算出する
-古田氏-
「株式会社アクセスセキュリティは、大学の図書館の入館システムを販売しています。創業者は私の父で、父は独立して会社を立ち上げる前から大学の図書館向け入館ゲートの販売に携わっていました。
株式会社アクセスセキュリティとしては、22年この事業を続けてきています。販売先や商材に変化はありましたが、大学図書館を対象にするという点は変わらず、これを私の代も守っていきたいと考えています。
大学図書館は、学生だけでなく一般の人も利用できる施設です。幅広い人に利用されるがゆえに、本の紛失は問題になっていました。そこで、本の中に磁気テープを入れて、勝手に持ち出すとゲートでアラームが鳴るというシステムを海外から輸入して、導入したんです。
ただ、これまではアラームが鳴っても司書の方が声をかけるしかありませんでした。そこで、アラームが鳴るとともにゲートが閉まるようにすればいいのではないかと考え、私の父が30~40年前に設計を始めたんです。
磁気テープに対応して自動的に閉まるゲートを形にしていくうちに、入場に制限をかけるセキュリティゲートに思い至るんですね。つまり、あらかじめ磁気カードに自分の情報を登録し、大学の学生であるという証明をしなければ図書館に入ることができないという仕組みです。
当社の強みは、高い実用性と、導入コストの低さです。デザインをシンプルにすることによってコストを抑える一方、システムは非常に実用的です。
大学図書館の入館者データ、どの学部・学科の学生さんが多く利用しているかを算出することで、どのような本が必要とされているのかを割り出せるようにしています。このシステムによって、大学図書館は限られたデータの中でニーズの高い本を揃えることが可能になります。
集計ソフト自体は決して珍しいものではないのですが、当社は大学図書館に特化しているため、学科などによるデータの区分がより細かく設定できるようになっています。このシステムが、私たちの商材の特に大きなメリットです。
また、大学図書館は非常に静かな場所です。そのため、ゲートの稼働音も非常に小さく抑えています。ゲートはモーターによって動いているのですが、その音が気になることはまずありません。
その他にも、故障の際には迅速にメンテナンス対応するようにしています。北は北海道、南は沖縄まで、全国各地にいるパートナー企業と連携してすぐに駆けつけることができます。
今、少子化による大学の数の減少に伴って、大学図書館で働く人も少なくなっています。働く人数が足りていないため、図書館の管理運営が課題になっている大学も多いんです。
図書館の運営管理を代行する企業も出てきているため、当社では、そういった企業に向けても商材をアピールしています。」
父が35年間取り組んできた事業を引き継いだ
-古田氏-
「株式会社アクセスセキュリティは私の父が立ち上げた会社であり、私が入社したのは11年ほど前になります。
私は東京農業大学を卒業して、大手居酒屋チェーンが立ち上げた農業法人で働いていました。私は居酒屋チェーンからの出向という形で、地元の農家の方と協力して会社を立ち上げ、8年半ほど働いていました。
しかし、体を壊し、転職を考え始めた段階で、父から声をかけられたんです。正直なところ、私は父がどんな事業を行っているのかも知りませんでした。
父はこれまでの35年間、ずっと図書館の本を守るためにこの事業を展開していましたが、別段本が好きというわけではありませんでした。
ただ、この事業に固執していたのは、最初に出会った顧客が本の持ち出しに困っていて、それを解決するためにゲートの開発を始めたからなんです。
小さい企業なので、ひとつの分野に特化した方が効率が良かったという点は確かにあります。しかしそれ以上に、目の前で困っていたお客様と一生懸命話をして、その人が抱える問題をどうにか解決しようとしたこと。それが最初から最後まで、父のモチベーションに繋がっているのだと思います。」
ゲートだけではなく、大学図書館全般の課題を解決する会社へ
-古田氏-
「当社は大学図書館の入口と出口をメインの商材として扱っています。しかし、今後ますます大学の図書館は減っていくため、売上が落ちていくことも予想されます。
私たちはこの30年間、大学や大学図書館が求めているものを伺いながらノウハウを蓄積してきました。だからこそ、入口と出口だけではなく、館内にも目を向けて、新たな商材を展開していこうと考えています。具体的には、新しい視点の本の持ち出し防止装置を開発して販売していく予定です。
これまで、大学の図書館は大きな市場であったため大手企業が参入していたのですが、少子化によって大手はどんどん手を引き始めています。この現状こそが当社にとってはチャンスだと考えていて、対面の営業販売も積極的に行おうと思っているんです。
図書館の管理をしている方々が、困っていることを直接相談できるような会社になり、大学図書館の御用聞きを目指していくつもりです。
現状は、セキュリティゲートの会社として認識されていますが、10年、20年経ったときに株式会社アクセスセキュリティは図書館を手がけている会社だと思ってもらえるよう、名を広めていきたいですね。
私自身が描く会社像としては、女性の多い会社を作りたいと思っています。セキュリティゲートのような箱ものの機械を売る会社は、男性が多いというイメージがありますが、図書館の御用聞きとしてフィールドを広げるにあたって、男女関係なく、人の話を聞ける素直な人と一緒に働きたいと思っています。
女性社員のライフスタイルの変化に合わせて時短を導入したり、社会復帰がしやすい、ワークライフバランスを確立できるシステムをきちんと構築します。男女に関係なく、優秀なメンバーを揃えていきたいですね。」