京都医塾株式会社

伊藤 章

プラットフォームのオンライン化で業界を牽引

オンラインイベント市場の魅力と、ポストコロナの世界を見据えて
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今回はオンラインイベント市場の魅力やEventHubのこれからについてコーポレート担当である下河原氏と代表の山本氏にお話をお聞きしました。

2020年2月中旬に最悪の想定をし、4月にはオンライン特化のサービスをリリース


ーEventHubのサービス内容について教えてください。

下河原氏:EventHubは一言でいうと企業のイベント管理を行うSaaSです。特に企業を対象としたセミナーやカンファレンス、展示会・商談会、採用フェアなどの使用を前提としたサービス提供をしています。サービス提供の狙いは「イベント主催者・参加企業同士のコミュニケーションを促進し、イベントマーケティングの効果を高める」ことで、これはコロナ禍以前も現在も一貫しています。

ー新型コロナウイルスの影響でオンライン化が進む昨今には、特に多くの人に喜ばれるサービスに感じます。

下河原氏:ありがとうございます。

私は2021年入社なので代表の山本から聞いた話になるのですが、実は2020年1月頃まではオンライン市場を想定しておらず、動画配信などオンラインに特化した機能は全くなかったそうです。反対にリアルイベントの管理に特化しており、QRチケットでの会場チェックインなどリアル開催ならではの機能を多く備えていたとのことでした。

しかし2020年2月頃から新型コロナウイルスの影響がイベント業界にも出始めました。ご存知のようにイベント自粛が叫ばれ、2月中旬からほとんどのリアルイベントが延期・中止を余儀なくされました。リアルイベントを対象にサービス提供を行っていた弊社の事業は、言うまでもなく大打撃を受けたそうです。実際、2月の新規受注はほぼゼロで、既存の利用企業からも解約の連絡が相次だと……。

ーどのようにしてその苦しい時期を乗り越えたのでしょうか。

下河原氏:オンラインイベントへの方向転換です。

当時新型コロナウイルスの影響は「数か月で収束」という見方がほとんどでした。そのような状況下で、弊社には二つの選択肢がありました。一つ目は世論と同様、「数ヶ月で終わると仮定し、対応を検討しつつ様子を見る」というもの。そしてもう一つは、「最悪のシナリオを想定して動く」こと。そして弊社は後者を選び、新型コロナウイルスの影響が長期間に渡るものだと考え、早期のオンライン対応に踏み切りました。

弊社のサービスは当時からオンラインとオフラインの融合を意識して作っていたため、オンライン対応しやすい内容であった上、比較的新しいプロダクトでもあったので柔軟性が高い対応が見込めたことも決め手の一つだったそうです。どこよりも速くオンライン化に対応し、「オンラインイベント = EventHub」という状態を創る。結果として顧客拡大やPR効果にも繋がると考えました。

ー決断後のプロダクトリリースについて教えてください。

下河原氏:代表は「完璧なものを作るよりも、MVP (Minimal Viable Product)を作り、リリースをすることで初期顧客を獲得し、初期のお客様と一緒に良いプロダクトを仕上げていこう」と考えました。

まずは数週間でベータ版を作成し、2月に発表し、10社限定で無償提供を行いました。その後無償提供期間中に改良を重ね、正式版を4月にリリースしました。想定以上の反響をいただいたことで新規顧客開拓にも繋がり、結果として増収増益を続けています。

3月頃、既存の利用企業が大規模なオンラインイベントの企画に着手していたこともまた、弊社プロダクトのオンライン化に拍車をかけました。このイベントは、社会全体でオンライン化が推進される中、大規模オンライン開催ということで特に企業から注目を浴びていました。このイベントでEventHubオンライン版を利用していただくことで、弊社のサービスがオンライン開催の新たなスタンダードになることを狙いました。

多くの主催者・来場者が実感。オンラインベントは参加のしやすさが魅力


ここからは代表の山本氏を交えてEventHubの魅力や今後についてお伺いします。

EventHubはイベント業界のリーディングカンパニーへ


イギリス生まれ、アメリカ・日本育ち。米ブラウン大学経済学部&国際関係学部卒業後、新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニー サンフランシスコ支社に入社。医療、金融、パブリックセクターの戦略立案・コーポレート・ファイナンスプロジェクトに従事。在籍中に出向制度でTeach For Japanで出向することを機に日本へ。マッキンゼー退職後はゲームベンチャーの新規事業立ち上げや宇宙ベンチャーの海外マーケティング をフリーランスとして担当。2016年に株式会社EventHubを設立し、「EventHub」を2018年から提供開始。


ー山本様が考えるオンラインの良さについて、改めて教えてください。

山本氏:オンライン開催は来場者にとって移動のコストがかからず、内容によっては画面ごしの参加の方が、情報のインプットも効率的なことがあります。イベントのオンライン開催は、主催者・来場者の双方に対して参加のハードルを下げるものです。

また、オンライン化することによって、会場が実際のイベント施設から弊社プラットフォームにかわります。ソフトウェアやツールの重要性が増すので、弊社のようなスタートアップにとっては活躍の幅が広がる一方とも考えられます。

ー今回、コロナ禍を機に社会全体がオンライン対応を迫られる結果となりましたが、山本様はコロナ禍以前からオンラインイベントに注目していたと伺いました。

山本氏:オンラインイベントについて、市場としては認識していましたし、今後長期的に普及するという考えはもっていました。確かに有益な方法だとは思っていましたが、オンラインイベントが日本で広がりをみせるのはまだ数年後だろうと考えていました。

この領域で日本の4~5年先を行くと言われているアメリカでさえ、2019年度にようやくオンラインイベントスタートアップが創業され、有名VCが投資をしたことで注目された段階でした。私が育ったアメリカは国土が広く、参加者や開催者が集まることに物理的な困難がありました。故にコロナ禍以前からオンライン開催のカンファレンスやウェビナーはメジャーであり、実際に自分もトレンド把握を目的として定期的に参加していました。


ーウィズコロナのフェーズに入った今、イベント業界がどう変わっていくと見据えていますか。

山本氏:既にイベント自粛が徐々に緩和がされていることを鑑みると、今後はリアルとオンラインとのハイブリッド開催も増えると思っています。新型コロナウイルスをきっかけに多くのイベント主催者がオンライン開催の良さを実感した今、新型コロナウイルス収束後もオンラインイベントは活用され続けるでしょう。

一方で、リアル開催には別の良さがある。特に、五感に訴えかける体験作りはリアル開催でしか実現し得ないものです。今後はリアルとオンラインを掛け合わせて活用し、両方の良さを使い分ける時代になると考えています。

ー今後、EventHubが提供するサービスはどのように変化を遂げるのでしょうか。

山本氏:元々リアル開催用だった弊社のツールがオンライン版を出したことにより、リアルとオンラインの融合に対応できるツールへと進化しています。今後もオンラインイベントやハイブリッドイベントの可能性を見据えて、プロダクトを進化させていきたいと考えています。オンライン市場は今までの潜在的なニーズに拍車をかける形で、新型コロナウイルスをきっかけに一気に需要が高まった市場です。海外で発表されたオンラインイベント市場の最新のデータによると、今後年率23%の成長を遂げるとも言われています。需要のサイズやニーズの変化が凄まじいこの業界において、リーディングカンパニーとなることを目指しています。

この急成長を続ける市場においてリーディングカンパニーとして日本・アジアで事業を牽引していきたい。今はグローバルに通用するプロダクト造りや事業展開できるチームを作る非常に重要な時期です。弊社は過去半年で10名強から23名まで増えましたが、まだまだ人が足りません。組織や事業の成長が目に見え、やらないといけないことが日々増えるというのはとっても楽しいですし、チャレンジングでもあります。ぜひ少しでも弊社に興味を持っていただけたら幸いです。

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