不完全なものを、完全じゃないあなたと作りたい

不要不急の3Dプロダクト、だからこそ3日で作る
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今回のインタビューは、株式会社メルタの濱中氏にお話を伺います。3Dプリント事業を手がける濱中氏に、新しい技術がどのような形で時代に求められるか、なぜこの3Dプリンタの世界に入ったのか、そして今後の事業の展望について語っていただきます。
 

株式会社メルタ 代表取締役 濱中拓郎氏のONLY STORY

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なくてもいいけど、あったら楽しい


−まずは株式会社メルタが手がけている事業について、お聞かせください。

濱中氏:株式会社メルタは、3Dプリンタの会社です。3Dプリントサービスやデータ作成、3Dプリンタを使った商品の販売を行っている会社です。弊社はいわゆるファブレス型で事業を展開しており、プリンタの機材そのものは持たず、企業が元から持っているプリンタを使用しながら、サービスを届けています。

弊社のメインサービスは 3日の超短納期でお届けする「3Dayプリンター」です。3Dプリントは時間がかかりがちなので、やはり納期が短いところは便利に感じていただいています。
 
−製造業で自社に工場を持たない形は珍しいと思うのですが、そこにはどういった理由があるのでしょうか。

濱中氏:背景としては、2014年頃にものづくりブームが起きて、一気に3Dプリンタを持つ企業が増えたんですね。さらにその頃、アベノミクスの影響で、企業投資や設備投資に国から補助が出ました。

こうしたタイミングが重なったことで、ものづくり補助金を通じてプリンタがものすごく売れました。しかし、買った会社は製造業とは限らないので、持て余すことが多かった。そこで私たちが代行という形で、空き時間を活用して、造形して、配送する、というサービスをはじめたんです。

−実際に御社のサービスをご利用されたお客様からは、どのようなお声をいただきますか。

濱中氏:3Dプリンタの利点は、極少数のロットで立体物を作れるところです。これまでなかったもの、作れなかったもの、できなかったものが生まれるという声はよくいただきますね。

たとえばりんご農家を営んでいる方がいらっしゃったのですが、廃業することになったのです。そこで形見として自分たちが作っているりんごと同じ形のものを、3Dプリンタで作って残したい、というご要望をいただいたことがあります。今までは歴史上の遺産にならないと残らなかったようなものが、個人レベルで残せるようになる。これが3Dプリンタの面白さだと思います。
 
−事業にあたって、一番重要視していることについて教えてください。

濱中氏:「不要不急」という言葉を大切にしています。というのも、工業の世界では、3Dプリンタは当然作業効率を上げるツールとして使われています。必要度が高かったり、急ぎのものを一日でも早く作れるというところから発展したのです。

しかし、私たちが請け負っているものは、「なくてもいいけど、あったら楽しい」というものがとても多いんですね。だから私は、3Dプリンタは単なるツールではなく、自らの人生観を反映することができるものだとよく言っています。「不要不急」のものが逆説的に価値を持つ社会になりつつある。そこで3Dプリンタが果たせる役割を常に考えていますね。 

助けてくれる人は必ずいる

 
−起業を決意したきっかけについて教えてください。

濱中氏:もともとは、放送作家になろうと思っていました。自分で物語を企画して作るという仕事がしたかったんですね。しかし、テレビ局の先輩に聞いたら、そういう仕事は下積みを経るもので、20代で成功するのは難しいと言われたんです。そんな折、たまたま自分が通っていた大学に22歳で起業した先輩がいました。その人がやっていることが面白そうだと感じ、そこから起業を目指すようになりました。 

その後、クリス・アンダーソンという人が書いた『メイカーズ』という本を読む機会があっりました。3Dプリンタのようなものづくりの革命が、ロングテールの市場を作るということを提唱している本なのですが、この本を読んだときに感動したんですね。こんなに感動することって珍しいなと思って、3Dプリンタの世界に入りました。
 
−創業にあたり、今でも思い返すような嬉しかった出来事はありますか。

濱中氏:創業当時はふたりで起業したのですが、売上も立っていない状態で登記したので、お金がなくて生活もままならないような状態になってしまったんですね。片っ端から出資してくれる人を探したら、ミクシィの創業者の方が600万円を融資してくたのです。


そこからそのお金をうまく使って広告を打ったり営業に力を入れたりして、地道に事業を立て直していきました。どんな状況でも助けてくれる人は必ずいるということには、とても感動しました。 

コンプレックスがあるくらいでちょうどいい


 −今後の展望について教えてください。

濱中氏:まずは3Dプリンタで、誰も見たことがないようなプロダクトを作っていきたいですね。さらに5年後、6年後には、自分たちでもまだ想像できていないような事業をやっていきたいです。
 
たとえば任天堂は花札の会社からスタートしましたが、今はSwitchを作っていますよね。Amazonも今やコンビニを作りつつある。自分の発想だけにとどまらない事業転換・方向転換がとても好きなので、毎回毎回背伸びをして、面白いことにチャレンジしていきたいと思っています。
 
−これからどんな人と一緒に仕事をしていきたいですか。

濱中氏:自分もそうなのですが、コンプレックスがあるくらいの方がちょうどいいなと思っているんです。そういう人たちは、本質を捉える力がある、大きな力を持っている、そう思うんです。
3Dプリンタそのものが、そもそも不完全なものですよね。市場も未発達ですし、私たちの組織も、いつでも未完だという意識をもっています。だから不完全なもの、未完のものを愛せる、そんな人と仕事ができたら嬉しいですね。
 
 
執筆=スケルトンワークス
校正=笠原

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