株式会社メルタ

濱中 拓郎

不完全な市場だから、完全じゃない人と仕事をしたい

不要不急の3Dプロダクトをつくる
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今回のインタビューは、株式会社メルタの濱中氏にお話を伺います。3Dプリント事業を手がける濱中氏に、新しい技術がどのような形で時代に求められるか、なぜこの3Dプリンタの世界に入ったのか、そして今後の事業の展望について語っていただきます。

株式会社メルタ 代表取締役 濱中 拓郎氏のONLY STORY

なくてもいいけど、あれば楽しいものをつくる


−まずは株式会社メルタが手がけている事業について、お聞かせください。

濱中氏:株式会社メルタは3Dプリンタに特化した会社です。3Dデータ作成・3Dプリント事業を軸に、さまざまな商品企画やサービスの企画を行っています。
会社の特徴としてはファブレス型で展開しており、自社でプリンタの機材そのものは持たず、企業や団体が持っている機材の遊休時間を使用しながら、効率的に造形サービスを届けています。顧客と事業者の間に入るという意味で、UBERやAirbnbに近いですね。

−製造業で自社に工場を持たない形は珍しいと思うのですが、そこにはどういった理由があるのでしょうか。

濱中氏:背景としては、2014年頃にものづくりブームが起きて、一気に3Dプリンタを購入する企業が増えたんですね。さらにその頃、アベノミクスの影響で、企業投資や設備投資に国から補助が出ました。

こうしたタイミングが重なったことで、ものづくり補助金を通じて数百万円の3Dプリンタがものすごく売れました。しかし、購入した会社は製造業とは限らないので、自社で使わずに機材を持て余すことが多かった。そこで私たちが代行という形で、空き機材を活用して適切な工場に依頼するというサービスを始めました。

−実際に御社のサービスをご利用されたお客様からは、どのようなお声をいただきますか。

濱中氏:3Dプリンタの利点は、極少数のロットで立体物を作れるところです。これまでなかったもの、できなかったものが生まれるという声はよくいただきますね。

たとえば、りんご農家を営んでいる方がいらっしゃったのですが、高齢の理由で廃業することになったのです。そこでりんごの形見として自分たちが作っているりんごと同じ形のものを、3Dプリンタでレプリカをつくって残したい!というご要望をいただきました。今までは、歴史上の遺産でないと複製として残らなかったようなものが、個人レベルでも残せるようになる。このような斜め上からの事案が多いのが3Dプリンタの面白さだと思います。
−事業にあたって、一番重要視していることについて教えてください。

濱中氏:個人として「不要不急」という言葉を大切にしています。というのも、今までの製造業では、3Dプリンタは作業効率を上げるツールとして使われていました。車の試作品などは人の命にかかわるので必要度が高く急ぎのものを早くつくりたいという目的が大きいです。しかし、最近では釣りのルアーやボドゲーの駒などの最終製品の活用が増えるように発展したのです。これは別になくても生活には困りません。

私たちが提供しているモノは、「なくてもいいけど、あったら楽しいよね」という価値を重視しています。自分自身は、3Dプリンタは単なるツールではなく、みなさんの趣味や考えなどを反映することができるものだと思っています。「不必要」というものが逆説的に価値を持つ社会になりつつある。そこで3Dプリンタが果たせる役割を考えています。 

20代でなにかするなら起業

−起業を決意したきっかけについて教えてください。

濱中氏:もともとは、放送作家になりたいと思っていました。自分で何かを企画して作るという仕事がしたかったんですね。しかしテレビ局の先輩に聞いたら、そういう仕事は下積みを経るもので、20代で成功するのは難しいと言われたんです。
そんな折、たまたま自分が通っていた大学に20歳で起業した先輩がいました。年齢ベースでなく知識や行動力ありきの世界の方が面白そうだと感じ、そこから起業を目指すようになりました。

その後、クリス・アンダーソンという人が書いた『メイカーズ』という本を読みました。3Dプリンタの道具が、"ものづくり領域において民主的な革命を起こす"という未来を提唱している本なのですが、この本を読んだときに感動したんですね。こんなに感動することって珍しいなと思って、直感を信じて3Dプリンタの世界に入りました。
−創業にあたり、今でも思い返すような嬉しかった出来事はありますか。

濱中氏:創業当時はふたりで起業したのですが、売上も全く立っていない状態で登記したので、しばらくはお金がなくて生活もカオスな状態でした。そんなときに片っ端から知らない社長や個人投資家にメッセを送ったら、某上場企業の創業者が数百万円を出してくたのです。

そこからは、広告を打ったり営業に力を入れたりして、地道に事業を立て直していきました。どんな状況でも頑張れば助けてくれる人はいるんだなということを知りました。 

コンプレックスがあるくらいでちょうどいい


−今後の展望について教えてください。

濱中氏:まずは直近では、3Dプリンタ関係で誰も見たことがないようなプロダクトを作っていきたいですね。さらに5年後、10年後には、自分たちでもまだ想像できないような事業をやっていきたいです。その時は3Dプリンタ領域じゃなくてもいいと思っています。
たとえば、任天堂は花札の会社からスタートしましたが、今ではSwitchなどのゲームを手がけています。EC大手のAmazonも今やコンビニでリアル店舗に着手しています。自分の発想だけにとどまらない事業転換・方向転換する企業が好きなので、自分たちも毎回背伸びをして、面白いことにチャレンジしていきたいと思っています。
−これからどんな人と一緒に仕事をしていきたいですか。

濱中氏:コンプレックスがある人がいいなと思っています。話下手な人は本質をつかないと話が伝わらないし、要領が悪いとそれを補完するようにバイタリティを持っている。自分含めた創業メンバーもコンプレックスがある人が多いですし、なにか人として弱さがある人がいいですね。また、埼玉在住の岡本という名字の方は積極的に採用したいです。

また、3Dプリンタ市場そのものも未発達で、私達の組織も不完全なものだと思います。私たちの組織もいつでも「未完」だという意識をしています。だから、不完全なものやダメのものを愛せる、そんな人と仕事ができたら嬉しいですね。
                                  執筆=スケルトンワークス
                                         校正=笠原

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