株式会社soraud
田中 裕光
POSTED | 2019.06.10 Mon |
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TAGS | 従業員数:5人以下 業種:飲食・サービス 創立:11〜14年 決裁者の年齢:40代 商材:BtoB |
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中小企業の物流を最適化し、コスト削減へ!
会社のファンを増やし、ドライバーが働きやすい社会へTopics
今回のインタビューは、BtoB向けに物流コストの改善をサポートする事業を行う株式会社soraudの田中氏にお話を伺いました。単にコストを削減するだけでなく、荷物の送り手、そしてドライバーに寄り添った物流のあり方を追求する同社の取り組みについて語っていただきます。
株式会社soraud 社長 田中 裕光氏のONLYSTORY
【経歴】
1983年、千葉県出身
2006年、東京農業大学国際農業開発学科卒業
幼少期は、建築家で国際的に活躍する父に随行、高卒でありながら大型プロジェクトを推進するその姿に、強い憧れを持ちながら育つ。
大学で学ぶ傍ら、お金を得るためにはじめたディズニーのキャストで、働く楽しさや意味、組織のあり方を実体験する。
大学卒業後、当時社会現象となるほど業績を伸ばしていた運送会社に就職。
「大学卒業してまでなぜ?」と揶揄されながらも、すぐに頭角を現し、入社まもなくマネージメントドライバーとして中心的な存在に。
エリアとして任された町工場地域で、日本のモノづくりを支える働き手に大いに共鳴、「社会はエリートではなく現場の働き手によって支えられている」ことを、改めて実感する。
2013年『人の思いを未来につなぐ』という思いを込め、株式会社soraudを設立。
運送業最前線の豊富なノウハウと自身の原体験を活かし、業界の常識や意識、現場での働き手の重要性、そしてそのあり方を変えるべく、多くの仲間である「フィールドクルー」達とともに奔走中。
送り手の想いを大切にする配達
–株式会社soraudの事業内容を教えてください。
田中氏:株式会社soraudでは、BtoB向けに物流の最適化による、コスト削減のサポートサービス「iSOG」展開しています。特に専任の物流担当を置くことができない中小企業をターゲットに、私たちが社外の物流担当としてサポートさせていただきます。
企業がものを運ぶとき、ヤマトさんや佐川さんなど大手の物流会社のみを選択肢として考えていることが多いんですね。ただ一部のケースだとその選択肢から選ぶことで、割高になることもあるんです。
しかしながら、「これを運ぶときはここがいい」という比較検討は大変ですし、非常にわかりづらいので、弊社ではそのわかりづらい部分をサポートさせていただいています。
‒他社との差別化をはかっている点や、強みについて教えてください。
田中氏:クライアントの物流最適化を第一に考えているので、弊社の利益にならなくても、結果としてコスト削減に繋がるのであれば、そういった施策をご提案させていただくこともあります。こういったスタンスで仕事をしている点はユニークだと思いますね。
もちろん、コスト削減を掲げてはいますが、それを重視するあまりに運び方の質を落とすということは一切しません。
‒事業を進めるにあたって、最も重要視していることは何ですか。
田中氏:私はこの業界で働いて長いのですが、現場で仕事をしていると、お客様が送る一つ一つの荷物には、それぞれストーリーや想いが込められているのだということを実感します。その想いを大切にすることを一番に心がけていますね。
前職で取引のあった会社が、ボールペンの中のスプリングを作っている企業だったんですが、そういった部品って一見すると何に使われるのかわからないことも多いんですよね。でも、それがなければボールペンは完成しない。
小さな部品が、本当は欠かせないものであったり、とても大きな役割を担うこともある。そこにある並々ならぬ思い入れを目の当たりにすると、それを運ぶ人間としての責任を果たさなければならないという気持ちになりますね。
たとえばダンボールひとつ取っても、ただの箱を使うのではなく、荷物を綺麗に運べるようなものを選んでいます。そうすることで、受け取った人にもその商品が大切に扱われてきたことが伝わりますし、送った人の想いまで一緒に運ぶことができると思うんですね。
これらは、コスト削減には繋がらない部分かもしれません。しかし、コストを下げるだけが重要なことではないということを忘れずに、あくまでも最適化を目指しています。
震災を経て知った、社会インフラとしての物流
‒田中様が運送業界に入った経緯について教えてください。
田中氏:父親の影響からもともと海外支援の仕事に興味がありました。大学在学中に途上国の農業支援を学びましたが、途中で自分の進路に自信を持てなくなってしまったんです。
そうして、自分が何をしたいのかわからないまま大学3年生になり、就職活動を始めたのですが、迷いが表に出てしまっていたんでしょうね。なかなか就職先が決まりませんでした。
その後、ようやく就職した会社が運送会社だったんです。労働時間も長く、休みも少ない仕事ではありましたが、自分が考えて実践したことが成果として出たり、取り組みが周りに認められることも多かったので、なんとか頑張ってこれました。
ただ、これから20年~30年同じ仕事ができるかと言われたら難しいと感じ、自分が理想とする将来像を実現するためにはどうすべきかという悩みをずっと抱えていました。
‒悩んだ末に「起業」という選択をされたということですね。
田中氏:そうですね、そうやって悩んでいる時に東日本大震災が起きて、ものを運ぶという仕事がどれだけ社会を支えているのかということを実感したんです。それを大きなきっかけとして、今の仕事を始めるに至りました。
運送という社会インフラの重要性を認識したことはもちろん、ちょうど同じころにワークシェアリングを考える社会に変わってきていたので、運送業界でも個人事業主が働いた分しっかりお金を稼げる会社を作りたいという想いがありました。自分の将来のために、自分自身に投資するような働き方ができる環境を作りたいと思ったんです。
日本一ファンが多い運送会社へ
‒今後の目標について教えてください。
田中氏:株式会社soraudと契約を結んで働いてくださるドライバーが現在30名ほどいるのですが、その数を100名にすることが直近の目標になります。
長期的な部分で言うと、少し抽象的な話になってしまうのですが、日本でいちばんファンの多い運送会社にしたいという目標があります。
私自身、もともとひとりのドライバーとしてこの仕事をはじめましたが、運送業のドライバーはどうしても低賃金でつらい仕事というイメージがあると思うんです。
確かにそういう側面はありますし、運送ドライバーという仕事に対しての評価が低いこともひとつの問題だと思っています。その地位を少しでも上げたいので、そのためにも株式会社soraudを「日本一ファンが多い運送会社」にしていきたいですね。
‒最後に、読者にメッセージをお願いします。
田中氏:漠然と物流コストを下げたいと考えていらっしゃる経営者の方はすごく多いと思うのですが、その漠然とした部分を具現化するのが株式会社soraudの仕事だと考えています。
もしコストを下げたい、コストを最適化したいと考えている経営者の方がいらっしゃれば、何でも良いのでご相談いただければと思います。
執筆=スケルトンワークス
校正=笠原