株式会社キッド

小堤啓史

靴だけでなく身体もケアするトータルフィッティング

選択肢が多いからこそ提供できる価値がある
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今回のインタビューは、女性靴の販売を行う株式会社キッドの小堤氏にお話を伺います。事業内容であるパンプスの販売についてや代表になられたきっかけ、今後の展望などを語っていただきました。

株式会社キッド 社長 小堤 啓史氏のONLY STORY


【経歴】

1972年、東京都豊島区出身。1994年、慶応義塾大学法学部法律学科卒業。大学時代は少寺寺拳法に勤しみ、現在は母校で監督を務める。
(株)コーエー(現コーエーテクモ)に入社、ゲーム制作に携わり、ディレクターやプロディーサーとして多数の作品を制作。10数年務めた後、家業である株式会社キッドに戻り、靴小売り業界へ。あまりにも靴に悩む女性が多いことや、フィッティングや靴調整技術の奥深さを知り、足靴の世界にはまる。
小さいサイズ、大きいサイズの婦人靴の日本有数の品揃えを持っている特徴を活かし、大手百貨店への商品供給や、WEBショップ等の展開をはじめる。
また2017年には、池袋の店舗を大きく業態転換。オーダーパンプスを主体とした、高品質な靴と調整技術で多くの女性の悩みに応える事業とする。
最近では、身体のコンディショニングも合わせた「トータルフィッティング」を提唱し、より深く女性の美と健康に応えている。

パンプスのトータルフィッティング


–まずは株式会社キッドが手がけている事業について、お聞かせください。

小堤氏:はい、弊社は女性の美と健康のための事業として、婦人靴の店舗販売を行なっている会社です。ただ靴を販売するだけでなく、店頭で姿勢や歩き方のレクチャーをしたり、「この幅がいいですよ。」「このインソールがいいですよ。」とお客様の足の特徴に合わせて靴を提案しています。

–業界のなかでは、どのような差別化をはかっていますか。

小堤氏:靴の中でも女性がお悩みを抱えることが多いパンプスに特化している点、その中でもサイズ(長さ)と幅の種類が豊富であること、この2点が弊社の強みだと考えています。
前者に関して言いますと、実はパンプスは少しサイズが合っていないだけで、痛くなってしまったり、脱げてしまったりする難しい靴で、悩んでいる女性が多くいらっしゃるんです。
ですが大半の靴屋では「履きやすさを求めるならパンプスじゃない靴にすればいい」という結論を出すことが多い。そこまでは言わなくても「デザインと機能性の2つを兼ね備えたパンプスは扱っていない」となってしまいがちなんです。
その点うちではオーダーパンプスも含めて、見た目と履きやすさを両立させていくというところに、業界内でもかなりこだわっていると思います。

–確かに日本の靴選びはデザインを重視している気がしますね。

小堤氏:そうですね。ですがそれはある意味仕方ないこととも言えます。なぜなら、日本はまだ靴文化が入ってきてから100年ほどしか経っていないため、そもそも靴選びの基準を知ってい人が少ないんです。
例えばドイツには「整形外科靴マイスター」と呼ばれる国家資格があるほど、文化として靴選びを重要視しているんですね。一方で日本では購入者はもちろん靴屋も含め、デザインを見て「なんとなくこれで良いよね」と、お客様の足に合っていない靴を選んでしまうことがあり、その結果足を痛めてしまう人が多いんです。私にはそこを変えたいという強い想いがあるんです。
もちろん靴を選ぶ上で靴のデザインは大事な部分です。そのため、私たちが提供する靴もいわゆるコンフォートシューズといわれる、「綺麗なものではないけど足には良い」という靴ではなく、綺麗な靴であることは前提として、どうやって足に靴を合わせていくかというカスタマイズやインソール調整技術を重視しています。
また靴の調整で靴選びの問題の多くを解決できるのですが、身体も整えることも靴をきちんと履きこなすために必要なことなんです。そのためトレーニングやウォーキングもお教えしており、そこも含めて靴に関する「トータルフィッティング」としてサービスを提供しています。

子どもと過ごす時間を大切にしたかった


–小堤様が代表になられたきっかけについて教えてください。

小堤氏:弊社はもともと祖父母が始めた靴の小売店で、私が3代目になります。
株式会社キッドに入社する以前は、ソフトフェア業界で働いていたのですが、一通りの経験はしたなというタイミングで子どもが生まれました。
たまたまその時期に、2代目である父が周りの人たちから「後継はどうするんだ」ということを言われているのを聞いたんですね。当時の仕事はなかなか家に帰れない時期も多く、小さい子どもと一緒に過ごせないのは勿体ないなと思っていました。しかし小売や商売についてもともとは興味がなく、自分の今後について考えを巡らせていました。
そんな中、うちの店に来て泣いたお客様の話を聞いたんですね。というのも、その方はこれまで自分に合ったサイズの靴がなく何十年も苦労してきたそうで、店に入った瞬間に「こんなに自分が履ける靴の選択肢があるんだ」と感動し泣いてしまったそうです。
その話を聞いた時に「そんな価値のある仕事なんだ」と思いましたね。この仕事を継ぐことで、お客様に直接的な感動を与えられる。子どもと楽しむ時間も大切にすることができる。そうした、いろいろなことが噛み合って、後を継ぐ決心をしました。
デジタルからアナログな業界へ、上場企業から典型的中小企業へ、と180度違う業界への転身は大きな挑戦でしたが、私としては今の仕事の方が意義ややりがいを感じますね。

生活のクオリティを上げるサービスを


–今後の展望について教えてください。

小堤氏:短期的な目標は、いいものを多くの人に届けるために、私たちが提供するサービスを一人でも多くの人に知っていただける場を増やして行くことです。
靴で言えば、お客様が良い靴を正しいフィッティングで手に入れられる場を増やしていくことです。手法としては店舗を増やすのか、Webの活用なのか、色々あると思いますが、そこに力を入れていきたいです。

–その後の長期的な目標について教えてください。

小堤氏:長期的には、靴や身体に加えて、食なども全部含めて、生活のクオリティを上げていくためのサービスを提供していきたいですね。
弊社のスタッフにはそういったことに関して、熱心に学ぼうという人がいるので、高いレベルで物事に取り組める人を、そのレベルを当たり前にできる人を増やしていきたいと思います。

–最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小堤氏:靴についてのことは文化的に知られていない点がとても多く、それが大きな経済的損失を生んでいます。
また「ハイヒールやパンプスといった“靴”の着用は“苦痛”なので職場等での着用を強制しないでほしい」という想いを込めた社会運動「KuToo運動」が話題になっていますが、いずれ企業もなんらかの対処せざるを得なくなるでしょう。
そういった意味では、まずは女性の靴の問題に目を向けていただきたいですね。様々な面で環境を改善しようと考えられていると思いますが、その視点を持っている人は多くはないはずです。
そこに目を向けた時に、「スタッフやお客様に提供していきたい」と、良い環境を周りの人たちに提供したいと考えていただけましたら、私たちがお力になれると思いますので、ぜひご連絡ください。

執筆=スケルトンワークス
校正=笠原

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