株式会社Lateral Marketing Japan
新井 克也
POSTED | 2019.01.22 Tue |
---|
TAGS | 従業員数:5人以下 業種:人材(採用・派遣) 創立:11〜14年 決裁者の年齢:50代 商材:BtoB |
---|
人を採る目的は何か。クライアントと二人三脚で考える
事業を加速する『採用力』『定着』『戦力化』を実現!Topics
今回のインタビューは、企業を対象に採用活動や人事制度の改善をサポートする株式会社Lateral Marketing Japanの新井氏にお話を伺います。企業の課題に寄り添った「水平思考」の問題解決、そして今後の日本の採用制度の変化に対応していく同社の事業について語っていただきます。
株式会社Lateral Marketing Japan 代表取締役 新井 克也氏のONLYSTORY
【経歴】
1969年東京都出身。
外食産業、オフィスコーヒー商社の営業職を経て、1996年よりリクルートグループに入社。
HR事業にて、人・組織課題を解決し事業の成長を支援する業務を推進。
約11年で述べ2000社の大手・中小企業を担当し、採用や育成を通じて顧客の売上・利益最大化に貢献。
2008年に代理店部に志願して異動。リクルート商材を扱う代理店各社の売上を最大化させるために営業戦略の立案やマネジャー、営業マンの育成支援に従事。
2010年に米国にLateral Marketing Japanを設立。
『仕事が楽しいと人生は “もっと” 楽しい!』をビジョンにキャリア支援事業を展開。
2011年に株式会社Lateral Marketing Japanを日本で設立し、『採用・定着・戦力化』をワンストップで行う事業を展開。
求める人材を採用するだけではなく、定着と戦力化を図り事業を前に進ませる事を大切にクライアントと二人三脚で事業を推進している。
既存の採用手法に捉われず、リファラルやビジネスSNS、Indeed連動型の採用HPなどを活用し、「自社の採用力」を磨き、無駄な採用費を削減する事もテーマに取り組んでいる。
採用・人事制度・研修の改善を行う
–株式会社Lateral Marketing Japanの事業内容を教えてください。
新井氏:弊社は人・組織の活性化事業に取り組んでおります。具体的には、『採用』『定着』『戦力化』の3つのドメインで展開しています。
採用領域に於いては、既存の手法はもちろん、米国では85%の企業が取り入れている「リファラル採用」や「ビジネスSNS」などを通じて転職潜在層の掘り起こしなども行っています。
またIndeed連動型の採用HPを活用した採用を提唱したりと積極的に新たな取り組みも提案しています。
定着化領域では、従業員のコンディションを可視化するツールを導入し、「びっくり退職(ある日突然の辞表提出)」になる前に退職要因を顕在化し対応する仕組みを構築しています。
戦力化領域は、お客様の要望を聴きながらオーダーメイドの研修や評価・人事制度の導入を支援しています。
–他社と差別化を図っている点や、強みを教えてください。
新井氏:採用・定着・戦力化の3つをワンストップで提供している事が差別化になっています。
通常は、それぞれの領域を異なる企業が提供しています。弊社では、お客様は「事業を前に進めるために人・組織を強化している」という前提に立ち、同じ目線で物事を考えようとした時、1社で全て解決できる事が合理的と考え、現在のような事業形態になりました。
会社にフィットする人材を採用し、その人材がきちんと定着して戦力になることで、はじめて事業は前に進んでいきます。これら大切な要素を領域毎に相談する相手がバラバラだと、人事に関わる労力が必要になり、コストも最適化できません。
株式会社Lateral Marketing Japanでは、これら全てをワンストップで扱う事により、ムダな労力とコスト削減を実現しています。
例えば、企業側から「評価制度を変えたい」という相談があったとしても、そもそも評価基準の問題なのか、採用の時点の問題なのかをきちんと見極めた上で、改善策を提案するようにしています。
–お客様からはどのような声をいただいていますか。
新井氏:採用や人事制度における根本的な問題解決ができるため、ありがたいという声をいただくことが多いです。求める人物を採用するための手法や選考過程を共に考え、採用後は定着・戦力化を図るための課題抽出などを適宜行っています。お客様の要望によって違いますが、多いところでは週に1度、少ないところでも月に1度程度はミーティングを行っています。
このような姿勢を評価いただき、一回限りの取引ではなく、継続してお付き合いをいただくお客様が多いのは有難いですね。
お蔭様で、現事業を本格的に始めてから5年目になりますが、創業当社から付き合いのあるお客様や私がリクルートグループでお世話になったお客様などもおり、20年来の付き合いがある企業様など、長くお取引をいただいております。
大手人材会社からキャリアカウンセラーへ
–起業に至ったきっかけについて教えてください。
新井氏:会社員時代には法人を対象に採用や制度策定などの事業に従事していました。
お客様の採用選考や面接に同席する機会をいただく中で、企業が求めている力と個人が転職したい理由にギャップがあると感じました。
日本ではキャリア教育をしっかり行っている学校が少ないのが現状です。多くの人は就活の少し前にインターンシップ等に参加して自分に合った企業探しを行います。
でも大切なのは、そもそも自分が何が出来るのか、将来どのようなスキルを身に着けてキャリアを積みたいのかという視点です。
そのような視点が曖昧なまま、エントリーシートや面接を突破するためのノウハウだけを身に着けようとする。
この本末転倒な状況を変えるためにはどうするか。
個人に寄り添ったキャリア開発事業を展開しようと思い、起業しました。
しかし、日本では大学や人材紹介会社などが無料でキャリア相談に乗る仕組みがあり、キャリアカウンセリングに対して自らお金を払うという思想はありません。
事業化を模索する中で就活や転職ではなく、「起業」の領域でカウンセリング事業を行う事を決断しました。
現在、日本で起業する人は3%くらいですが、起業を考えている人はもっと多くいると考えました。
起業後に相談できる相手(税理士や経営コンサルタントなど)はたくさんいますが、起業前に「このアイデアで事業は成り立つのか」という切り口で相談できる人は誰もいないのです。
これが欧米に比べて起業人口が少ない要因の一つでもあります。
起業を目指す人が温めている「アイデア」を事業として成立させるために、事業計画を一緒に立て、事業運営に必要な資金計画や融資を得るための支援をしていく。
カウンセリングをしっかりと行い、時には起業に「待った」をかける事もありました。
BtoCのカウンセリング事業を3年くらい行った後、改めてBtoB領域でしっかりと事業を行うと思い、現在に至ります。
―Lateral Marketing Japanという社名の由来を教えてください。
新井氏:Lateral Marketingとは「水平思考」という意味です。それはマーケティングの論を展開している経営学者フィリップ・コトラー氏の言葉で、何か問題が起きたときに、さまざまな原因を一度すべて洗い出した上で、本質の課題を解決していくという考え方です。
私たちは、お客様と付き合うときも自分自身が物事を考えるときも、水平思考を大切にしています。それを忘れないように社名にしました。
日本の採用システムの変化に対応していく
–今後の短期的な目標について教えてください。
新井氏:短期的な目標としては、今目の前にいるお客様の成果にしっかりとコミットして事業を続けていくというところです。そのためには、「お客様以上にお客様の事業を理解する」事を大切にしています。
同業と比較した場合、多くの企業は99%に違いはありません。経営者は「1%の違い」に魂を込めて事業を運営しています。その「違い」をしっかりと理解する事を常に意識して事業を運営しています。
–今後の中長期的な目標について教えてください。
新井氏:中期的な目標は、関わるお客様事に『独自の採用力』がつくような支援をする事です。
2020年の東京オリンピックの後に景気が減速すると言われています。
過去は、「景気減速<人口増加」という構図の中で不景気になると人材が採用しやすいとうのが常識でした。
しかし今後の日本では、「景気減速=人口減少」となり、不景気でも採用が簡単になる事は考えづらいと見ています。
そのような環境下では、優秀な人材を確保し、定着させられる企業だけが生き残ると考えています。
弊社と関わりのあるお客様には、この採用力をしっかりと付けていただき、不透明な時代になってもしっかりと成長できるように二人三脚で進んで行きたいと思います。
執筆=スケルトンワークス
校正=笠原