営業効率化は組織の成長に必要不可欠
営業効率化とは、業務の無駄を省き営業活動を改善することです。営業活動には、売上や利益に直結する「コア業務」と、コア業務をサポートする書類作成などの「ノンコア業務」があります。
利益を上げるには、定型化できマニュアル通りに進められるノンコア業務を、いかに効率的に進めるかが大切になります。それにより、顧客とのコミュニケーションや市場調査など難易度の高いコア業務に多くの時間を費やすことができます。
組織を発展させるためには、営業効率化によってコア業務にリソースを集中させ、生産性を上げる必要があります。
営業効率化で期待できること
営業効率化で期待できることは以下の5つです。
- 組織の利益最大化
- 営業担当者の負担軽減
- 社員の定着化
- 優秀な人材の確保
- 顧客満足度の向上
これらを知っておくことにより、営業効率化の目的を明確にでき、組織として進むべき方向性が見えてくるはずです。それぞれについて解説していきます。
1.組織の利益最大化
営業効率化により、組織の利益最大化を目指すことができます。
営業効率化によって余計な手間やコストを削減し顧客にアプローチする時間を十分確保できれば、契約数の増加が期待できます。アフターフォローも手厚くできるため、アップセルやクロスセルの機会も増えるでしょう。コストを削減しながら売上を伸ばすことにより、利益の最大化につながります。
2.営業担当者の負担軽減
無駄な業務を省き業務を効率化することは、営業担当者の負担を軽減します。
提案書や見積書、日報の書類作成などコア業務以外の仕事を効率化することにより、売上や利益を直接生み出すことに時間を使えます。受注確度の高い顧客へのアプローチ回数を増やせるため営業成績が上がり、営業担当者のモチベーションもアップするでしょう。
3.社員の定着化
営業担当者の負担が軽減されることにより、社員の定着化が見込めます。
1人が担当する業務範囲が狭くなったり業務量が減ることは、長時間労働の解消につながります。長時間労働は離職理由になりやすいため、解消されることにより離職率が低下するでしょう。それにより、採用や教育コストの削減も期待できます。また、営業スキルや顧客対応のノウハウなども蓄積され生産性が向上するでしょう。
4.優秀な人材の確保
業務効率化により利益が最大化し長時間労働が減ると、働きやすい環境を提供できます。それによって優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。
待遇面や働く環境が整っている企業は魅力があるため、社員に選ばれやすくなります。新しい人材の確保はもちろん、社内で重要な役割を担うリーダーや専門職の社員の流出も防止できるでしょう。
5.顧客満足度の向上
営業効率化により営業担当者の負担が軽減すれば、商談の回数が増えます。
顧客が抱える課題や要望の検討や情報収集の時間を十分に確保できるようになり、ニーズに沿ったきめ細かいアプローチやフォローがしやすくなります。また、顧客への理解が深まることにより信頼を得られ、継続的な契約につながる可能性もあります。
営業効率化の流れ
この項目では、業務の無駄を省き営業効率化する流れを解説します。
現状の把握
営業の効率化は、まず現状を把握することから始めます。現状把握のために、営業活動における無駄を洗い出し、営業活動を以下のようなプロセスに分解しましょう。
営業プロセスを分解することにより、課題や問題点が見えやすくなります。また、営業担当者へもヒアリングし、1日のスケジュールを把握することも大切です。業務の流れやそれぞれの業務にかける時間において、それぞれの担当者により異なるかどうかを把握し、無駄を洗い出します。
例えば、以下のような業務をそれぞれいつ行い、どれくらい時間をかけているかをヒアリングします。
- メール対応
- 請求書・見積作成
- 顧客訪問
- 社内ミーティング
- 日報作成
- 翌日の顧客訪問のための資料準備
現状の把握は、課題の洗い出しにつながる大切なステップのため、細分化して丁寧に行うことをおすすめします。問題意識を持たず当たり前のように行っている業務にこそ、課題がある可能性があるためです。
課題の洗い出し
次に課題の洗い出しを行います。例えば、以下のような課題が考えられます。
- 見積もりや契約書など書類作成に時間がかかりすぎている
- 作成書類のミスや漏れが多い
- 営業会議や社内ミーティングが延長されることが多い
- 移動時間が長すぎる
- 見込み客の確度が低い
- 契約後のアフターフォローが不十分である
営業活動のプロセスごとに課題を洗い出すと、営業成果が上がらない原因がわかります。課題が明確になるほど、次の改善策の立案がスムーズになります。
改善策の立案
洗い出した課題について改善方法を検討する。例えば、以下のような方法が考えられます。
- フォーマットを作成し事務作業の負担を軽減する
- 顧客情報を一元管理する
- 見込み顧客リストに優先順位をつける
- プレゼン内容や営業トークを見直し商談の精度を上げる
この時、ノンコア業務の改善方法の検討から行うことをおすすめします。ノンコア業務の方が無駄がわかりやすく、改善案の検討が進みやすいためです。
改善策を実施した結果を振り返る
改善策を実施した結果、課題が改善されたのかを必ず確認します。結果が伴わない場合は別の案を検討しなければなりません。
結果を振り返る際には、定量的な視点で行うことをおすすめします。以下のような計算式で実施前後の営業効率を導き、比較するとよいでしょう。
- 見込み客発掘率(アプローチした顧客から商談・成約が見込める割合)=見込み件数 / 総アプローチ数 × 100
- コンタクト率(連絡がつながった割合)=つながった件数 / 総アプローチ数×100
- 商談化率(商談に至った割合)=商談件数 / つながった件数×100
- 成約率(成約に至った割合)=成約件数 / 商談件数×100
- 生産性(効率化できた割合)=売上 / 営業総コスト×100
- 営業生産性(営業1人1時間あたりの売上)=売上/ 総労働時間
- 営業稼働率(総労働に占める営業活動時間の割合)=営業活動時間/ 総労働時間
それぞれの改善策がどのくらいインパクトがあったかを確認することにより、実行すべき施策の優先順位がわかります。インパクトが大きいものは、さらに効率化できないかを追求し続けることによってより営業活動がスムーズに進みます。
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低コストでできる営業効率化の方法4選
この項目では、低コストでできる営業効率化の方法を4つ、紹介します。
1.業務の優先順位をつける
タスクが発生した順番で進めていくのではなく、優先順位をつけて業務を行うことにより、限られた時間を有効活用できます。
まず、かかる時間や仕事の重要度などは考えず、抱えている業務を書き出しましょう。次に、それぞれの業務を「重要度」と「緊急度」の2軸で、以下のように4つの領域に振り分けます。
- 重要度が高く、緊急性も高い
- 重要度は高いが、緊急性が低い
- 重要度は低いが、緊急性が高い
- 重要度が低く、緊急性も低い
「1」は最も優先すべき業務、「4」は最も優先順位が低い業務となります。タスクが整理され取り組むべき業務の順番が明確になり、効率的に遂行できます。
2.無駄な業務をなくす
業務を洗い出し優先順位をつけると、当たり前のように行っていた業務の中に無駄な業務があることに気づく可能性があります。無駄と判断できる業務はなくしていきましょう。
取り組んでいる業務が何につながるかを考えて行動することが大切になります。例えば、社内会議の資料を丁寧に作り込む必要はないかもしれません。
また、ファイルの最新版がわからず資料を探すのに時間がかかっているなど、営業活動の時間を阻むものがあれば改善しましょう。パソコン内のファイルの保存場所や保管ルールを組織内で決めるなど、誰が見てもわかる状態にしておくことがおすすめです。資料の作成や閲覧がスムーズになります。
3.移動時間を削減する
顧客企業を訪問する外回り営業の移動時間は、工夫次第で効率化できます。
例えば、営業担当者の移動ルートや所在地を考慮して顧客リストを作成すれば、効率的な外回り営業ができます。企業訪問のアポイントをとる際、近隣の顧客との日程調整が容易になるためです。また、移動ルートを見直すことにより移動時間を短縮できる可能性があります。
顧客リスト作成においては、顧客のサービス利用頻度や取引額なども確認し、営業担当者単位ではなく組織単位で行うとよいでしょう。リストの整理は、訪問頻度の見直しにもつながります。
4.会議やミーティング時間の短縮化
目標や情報共有のために会議やミーティングは必要ですが、不必要に長引く会議やミーティングは効率化しましょう。対策としては以下のようなものが考えられます。
- アジェンダや資料を事前に共有する
- 時間を厳守する
- 会議の回数を減らす
事前に会議資料を配布し各自が目を通しておくことにより、参加者が共通認識を持って会議に臨むため、話し合いがスムーズに進むでしょう。また、各自の発言時間を決めておくことにより、会議時間が長くなることや話が脱線することを防げます。
資料で把握できる内容については、すり合わせが不要な場合もあるでしょう。そもそも会議が必要かどうか検討するとよいでしょう。
コストをかけた本格的な営業効率化の方法3選
営業効率化の方法には、コストをかけてじっくり取り組むことにより、効果が得られるものもあります。
1.社員教育や組織作り
営業効率化を進めるにあたって大切なのは、組織としての仕組み作りです。
営業担当者は、電話やメール対応、資料作成などあらゆる業務に追われているため、効率化を考える余裕がないことがあります。また、スケジュール管理などが担当者個人の裁量で行われていると、ブラックボックス状態になりやすいです。
担当者任せにするのではなく、営業活動をリード獲得、アポイント獲得、商談、アフターフォローとプロセスごとに分業化するべきです。その上で、SFAやCRMなどのツールを使って営業の進捗状況を社内で確認できる体制を整えましょう。特定の範囲の業務に特化した担当者を育成することにより、教育コストを抑えつつ深い専門知識を習得できます。それによって、各業務の精度の向上が見込めます。
仕組み作りは時間コストがかかりますが、営業活動の費用対効果を上げるには効果的です。
2.営業ツールの導入
営業活動を支援し効率化をサポートする「営業ツール」を導入するのも、選択肢の1つです。導入には金銭コストがかかる上に、サービスの選択や導入後のサービスの定着に時間がかかる可能性があります。しかし、うまく利用できれば大きな営業効率化が期待できます。営業ツールにはさまざまな種類があるため、以下で紹介します。
新規顧客獲得に役立つ「MAツール」
MAは「Marketing Autmation(マーケティングオートメーション)」の略で、新規顧客を獲得するマーケティング活動を可視化し自動化するツールです。Webサイト上におけるアクションやメルマガの開封率などを記録しスコアリングします。それにより、求められている情報を最適なタイミングで提供でき、優先順位をつけてアプローチできます。
また、メルマガ配信などを自動化できるため、商談成立までのプロセスの省力化が可能です。顧客育成を自動化・省力化することによる商談数の増加や、確度の高い顧客育成の実現を目指せます。
日々の営業活動を可視化する「SFAツール」
SFAは「Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)の略です。SFAツールを活用すると、成約までの営業活動をデータで管理し、情報の蓄積と分析をすることが可能です。
営業担当者が営業活動内容をツールに入力することにより営業活動が可視化され、進捗管理やレポートの作成と抽出が容易になります。レポートをもとに営業活動を見直せば、組織全体の営業力が鍛えられるでしょう。
漏れなく案件管理ができるため、情報共有や引き継ぎもスムーズになります。蓄積されたノウハウは、人材育成にも役立ちます。また、外出先から顧客情報の確認や日報作成が可能になるなど、営業担当者の日々の業務の負担軽減にもつながります。
既存顧客の育成とフォローなら「CRMツール」
CRMは「Customer Relationship Management(マーケティングオートメーション)」の略です。CRMツールを用いることにより、顧客とのコミュニケーションを深め良好な関係を構築できます。
ツールでは、顧客情報や購入履歴、意見や要望など顧客に関わる情報を一元管理します。データをもとに、ニーズにあったDM送信やイベントの開催など迅速なアプローチやフォローを実施することが可能です。確度の高まった機会を逃さずアップセルやクロスセルの提案ができるでしょう。また顧客との関係維持や顧客満足度の向上により、継続的な取引を目指せます。
名刺管理ツール
名刺管理ツールでは、名刺をデータ化し保存し管理します。スマートフォンなどにより名刺を画像データとして取り込み一元管理するものがほとんどです。
それにより、組織全体の名刺管理やパソコンやスマートフォンでの閲覧や検索が可能です。部署を超えて顧客との接点が可視化され、顧客情報の共有が容易になります。名刺情報に営業活動の履歴を紐付けることができるため、スムーズな顧客とのコミュニケーションに役立ちます。また、管理が煩雑になることや顧客情報の紛失を防止できます。
Web会議ツール
Web会議ツールを導入することにより、企業訪問の移動時間を削減できます。また、社内の会議やミーティングにおいても外出先からの参加が可能になり、スケジュール調整がしやすくなります。会議で使う紙資料の準備や、参加人数分の会議スペースの確保も不要です。
また、メールやチャットなどによるテキストでのコミュニケーションでは伝わりづらいニュアンスを伝えられるため、解釈の仕方によっては誤解を招きそうな情報の温度感なども適切に伝えられるでしょう。それによって、資料作成の修正や変更の手間を省ける可能性があります。
3.営業支援サービスの利用
営業支援サービスを利用する方法も、営業効率化として有効です。営業ツールの導入と同様に金銭コストはかかるが、人的リソースを補完できます。営業活動のプロに依頼することにより、自社へノウハウが共有され大きな成果が期待できるなど、メリットが大きいでしょう。
営業コンサルティングのように、営業活動全体を通して課題を見つけ改善策の提案をしてもらうことも可能ですが、新規開拓やアポイント獲得など特定のプロセスのみを利用することもできます。
営業コンサルティング
営業コンサルティングでは、組織づくりや仕組み、スキル向上などを中長期的に支援します。自社にはない新しい視点や経験からのアドバイスにより、戦略的なサポートや課題解決を依頼できます。
戦略の立案に苦戦している、または自社にノウハウがないといった課題を抱える企業は利用することをおすすめします。ただし、業務の代行は依頼できない場合があるため注意が必要です。業務の代行を依頼したい場合には、営業代行サービスを利用するとよいでしょう。
テレアポ営業の代行
テレアポ営業の代行とは、電話でのアポイント獲得を請け負うサービスです。ターゲットリストやトークスクリプトの準備などを委託できます。それによって、営業担当者は顧客とのコミュニケーションや商談の準備に専念することが可能です。
豊富な経験によるノウハウやスキルを持つ代行会社に依頼することにより、アポイント獲得率を高められるでしょう。
商談のクロージング代行
商談のクロージングを委託できるサービスもあります。営業実績のある担当者が見込み顧客を訪問し、商談を行います。プロフェッショナルがクロージングを代行するため、成約率を高めることができます。
自社の営業体制にあったサポートを提案してくれる会社を選ぶとよいでしょう。
インサイドセールスの代行
インサイドセールスとは、メールや電話などによって顧客を育成し、商談の機会を創出する営業手法です。確度が高まった段階で訪問営業のフィールドセールスに引き継ぐことにより、受注率を高められます。
営業の分業化が進んでいない組織であれば、インサイドセールスの代行を利用することにより、営業担当者がフィールドセールスに集中できます。
決裁者マッチングサービス
決裁者マッチングサービスとは、決裁権のある経営者層と出会えるサービスです。決裁者と直接商談できれば、決定までのスピードが早まり、最小限の商談数で成約を獲得できます。マッチングサービスを利用することにより、自社の商材に興味がある企業からのコンタクトを待つことも可能です。
特定の分野における専門家に経営のアドバイスや新規事業の相談ができたり、コミュニティに参加できたりするなど、サービスによってさまざまな特徴があります。
営業効率化を実施し組織の営業力を高めよう
ビジネスを拡大し利益を最大化するには、営業効率化が必須です。当たり前のように行う業務において無駄がないか見直し改善することにより、売上に直接関わる営業活動に時間を費やすことができます。
方法としては、業務の優先順位をつける、ミーティング時間を短縮するなど、すぐに実行できるものもありますが、営業ツールの導入や営業支援サービスの利用など、コストをかけることにより大きな成果を得られるものもあります。自社にあった方法を見極めて営業効率化を行うとよいでしょう。
(本文執筆・編集:オンリーストーリー編集部)
弊社の直近3年で約10億円、btobの投資をしてきました。また、弊社自体が営業代行会社として、多くの会社様の案件を受けてきました。その中で、再現性のある営業手法がないという話や、1社だけで満足できる営業支援の会社はなかなか見つからないという声を多く聞いています。本記事や、10億円のまとめを記載したホワイトペーパーを用意していますので、少しでも皆様の営業の一助になりましたら幸いです。
(コメント:代表平野)