監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
資料を送ってもらったお礼を書こうとして、ありがとうございますの先が続かず手が止まることはないでしょうか。
この記事では、受け取った側と送った側それぞれのお礼メールの型と場面別の例文、次の打ち合わせにつなげる一文の入れ方までを解説します。
資料送付のお礼メールが形だけになる理由
多くのお礼メールは、送った側の記憶に残りません。
何が足りないのかを先に整理します。
感謝しか書かれていない
ありがとうございましたという言葉だけでは、誰が送っても同じ文面になります。
資料のどの部分を見たのかを一行足すと、読んだ事実が伝わります。
目次や見出しの名前を引用するだけでも構いません。
内容への感想は、一文に収めます。
返信が遅れて意味が薄れている
数日たってから届くお礼は、事務処理のように扱われます。
受け取った当日のうちに返すと、やり取りの勢いが保てます。
その日に読み込めない場合は、受領の連絡だけ先に出します。
読んだ感想は、後日あらためて送ります。
次に何が起きるのか書かれていない
お礼で終わる文面は、相手の行動を生みません。
いつまでに検討するのか、次に何をするのかを書くと、相手も予定を立てられます。
社内で共有する予定があれば、その旨を伝えます。
検討に時間がかかる場合は、その理由を一行添えます。
誰が読んだのか分からない
担当者一人が読んだのか、社内で回覧されたのかで、相手の動き方は変わります。
社内の誰に共有したかを書くと、相手は次の提案を組み立てやすくなります。
上長に見せた場合は、その反応も短く伝えます。
共有していない段階なら、予定として書きます。
お礼メールに入れる四つの要素
毎回ゼロから考えないよう、順番を決めておきます。
上から並べます。
受け取ったことを先に伝える
冒頭で用件を言い切ります。
資料を受領した旨を一行目に置くと、相手は届いたことをすぐ確認できます。
挨拶文を長く置くと、用件が下へ押し出されます。
件名にも資料の名称を入れます。
読んだ箇所を具体的に挙げる
ここが文面の密度を決めます。
章の名前や数字を一つ引用するだけで、形式的なお礼から抜け出せます。
全体を褒める言葉は、かえって読んでいない印象を与えます。
疑問があれば、同じ段落で一つだけ尋ねます。
社内での扱いを伝える
相手が最も知りたいのは、資料が社内でどう扱われるかです。
共有する相手と、検討の時期を書くと、相手は次の連絡時期を決められます。
決裁の予定が立っているなら、その時期を示します。
まだ分からない場合は、分かり次第連絡する旨を書きます。
次の行動を一行で示す
最後に、こちらから何をするのかを書きます。
打ち合わせを打診するか、連絡の時期を約束するかのどちらかにすると締まります。
両方書くと、相手はどちらに答えるか迷います。
断る場合も、この位置で簡潔に伝えます。
宛名と差出人を正しく書く
お礼の文面に社名の誤りがあると、内容の印象まで損ないます。
送信の直前に、宛名の社名と担当者名を声に出して確認するだけで防げます。
相手が複数名いる場合は、役職の高い順に並べます。
自分の所属と氏名も、初回のやり取りでは略さずに書きます。
場面別の資料送付お礼メール例文
立場と状況で書き方が変わります。
四つの例文を示します。
受け取った側が当日に送る例文
短く、早く返すことを優先します。
読んだ箇所と次の予定だけを書く構成にします。
感想を無理に作る必要はありません。
社内共有の予定を添えます。
件名:商談管理ツールのご資料を拝受いたしました
株式会社△△
佐藤様
お世話になっております。
〇〇株式会社の田中でございます。
本日、商談管理ツールのご資料を確かに拝受いたしました。
ご多忙のところ、お手配いただきありがとうございます。
導入事例の章にございました、三か月で入力率が九割を超えた経緯が特に参考になりました。
来週の部内会議で共有し、十一月二十日ごろまでに検討の結果をご連絡いたします。
取り急ぎ、受領のご連絡まで申し上げます。
受け取った側が打ち合わせを打診する例文
前向きに検討する場合は、日程の話まで進めます。
聞きたい論点を先に書いてから日程を打診すると、相手も準備できます。
候補日は三つ出します。
参加する顔ぶれも伝えます。
件名:ご資料の御礼と打ち合わせのお願い(〇〇株式会社 田中)
株式会社△△
佐藤様
お世話になっております。
〇〇株式会社の田中です。
先日は詳しいご資料をお送りいただき、ありがとうございました。
費用の章について、拠点ごとに契約する場合の考え方を詳しく伺えればと存じます。
あわせて、既存の顧客管理との連携の可否についてもご相談させてください。
下記の日程でお時間を頂戴できますでしょうか。
十一月十八日(火)14時から15時
十一月十九日(水)10時から11時
十一月二十一日(金)終日
当日は、情報システム部の鈴木も同席いたします。
ご都合のよい枠をお知らせくださいませ。
送った側が受領の返信をもらって返す例文
受け取ったという連絡に、さらに短く返します。
次の連絡時期を確認する一行だけを足す形にします。
追加の売り込みはしません。
不明点の窓口を示して締めます。
件名:Re: 商談管理ツールのご資料を拝受いたしました
〇〇株式会社
田中様
ご丁寧にご連絡いただき、誠にありがとうございます。
株式会社△△の佐藤と申します。
入力率の箇所に目を留めていただけたとのこと、大変うれしく存じます。
十一月二十日ごろにご連絡を頂戴できるとのことで承知いたしました。
部内会議でご不明な点が出ました際は、どうぞお気軽にお申し付けくださいませ。
引き続きよろしくお願い申し上げます。
検討を見送る連絡を兼ねる例文
断るときも、お礼の形で丁寧に伝えます。
見送る理由を一つだけ書くと、相手は次の提案に生かせます。
今後の可能性があるなら、その時期を示します。
曖昧にせず、結論を先に書きます。
件名:ご資料の御礼と今回のご検討結果について
株式会社△△
佐藤様
お世話になっております。
〇〇株式会社で情報システムを担当しております田中でございます。
先般は詳細なご資料をご送付いただき、ありがとうございました。
社内で検討いたしました結果、今期は既存システムの更新を優先することとなりました。
機能面ではご提案の内容が最も要件に近く、費用の時期だけが折り合いませんでした。
来期の予算を組む二月ごろに、あらためてご相談させていただければ幸いです。
ご期待に沿えず恐縮ですが、何卒ご理解のほどお願い申し上げます。
送った側が気をつけること
資料を送る側にも、返信を引き出すための工夫があります。
三点を押さえます。
お礼を催促しない
返信が来ないからといって、確認の連絡を急ぎません。
三営業日は待ってから、別の用件を添えて連絡するほうが自然です。
読んでいただけましたかという聞き方は、相手に負担を与えます。
補足資料を送る形にすると、返信のきっかけになります。
資料に質問の余地を残す
完璧に作り込んだ資料は、問い合わせを生みません。
詳細は打ち合わせでご説明しますという箇所を意図的に残すと、接点が続きます。
価格の考え方は、特に相談の入り口になります。
ただし、肝心な情報を隠すと不信につながります。
社内共有を前提にした体裁にする
送った資料は、相手の社内で回覧されます。
表紙に日付と提案先の社名を入れると、誰向けの資料か分かります。
ファイル名も、相手が保存しやすい形にそろえます。
枚数が多い場合は、要点をまとめた一枚を添えます。
添付ではなく本文で要点を伝える
返信に資料を付け直すと、相手はまた開く手間を負います。
確認したい点は本文に書き出し、添付は参照用にとどめると往復が減ります。
引用する箇所は、ページ番号か見出し名で示します。
長い引用は避け、自分の言葉で一行にまとめます。
お礼から打ち合わせにつなげる
お礼メールは、次の商談をつくる自然な口実になります。
進め方を示します。
疑問を一つ残して尋ねる
資料を読めば読むほど、質問は増えます。
その場で解決せず、打ち合わせの議題として残すと会う理由になります。
文面で全部聞いてしまうと、会わずに終わります。
聞く内容は、費用や運用など決裁に関わる論点を選びます。
社内の検討時期に合わせて打診する
相手の都合ではなく、自社の検討の流れで日程を決めます。
部内会議や稟議の予定から逆算して日程を出すと、話が具体的になります。
決裁の時期が決まっていれば、それも共有します。
時期が読めない段階では、無理に日程を詰めません。
同席者を先に伝える
誰が出るかで、打ち合わせの中身が変わります。
決める立場の人が同席するかどうかを先に書くと、相手の準備が変わります。
担当者だけの場であれば、その旨も正直に伝えます。
人数と所要時間もあわせて示します。
資料を送る前の段階を見直す
そもそも誰に資料を送っているかで、返信率は大きく変わります。
三つの観点で整理します。
資料請求の相手を見極める
情報収集だけの相手に厚い資料を送っても、検討は進みません。
導入の時期と予算の有無を、送る前に一度尋ねると選別できます。
答えが曖昧なら、簡易版の資料にとどめます。
手間をかける相手を絞るほうが、全体の成果は上がります。
担当者止まりになる構造を知る
資料は担当者に届いても、決める人まで届くとは限りません。
社内で回覧される前提で、要点の一枚を添えると届きやすくなります。
それでも、説明なしで決裁が通ることは多くありません。
最初から決める人に届いていれば、資料の役割は変わります。
決裁者と直接つながる場を併用する
オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。
資料を送る前に、決める立場の人と話せます。
検討の時期と予算が最初に分かるため、資料の作り分けが不要になります。
一方で、単価の低い商材や、担当者の判断で完結する商材では効果が出にくい傾向があります。
郵送で届いた資料にも同じ日に返す
紙の資料は届いた事実が相手に見えないため、連絡がないと不安が残ります。
到着した日のうちに、受け取った旨をメールで伝えると行き違いが防げます。
部数と同封物の内訳も、あわせて書いておくと確実です。
返送が必要な書類が含まれていた場合は、返す時期も同じ一通に入れます。
社内で共有するときの伝え方
受け取った資料は、自分だけで判断せず社内へ回すことになります。
共有の仕方で、検討の速さが変わります。
要点を三行で添えて回す
資料をそのまま転送しても、誰も読みません。
何の資料か、何が論点か、いつまでに判断が要るかの三行を添えると反応が返ります。
金額に関わる情報は、最初の行に置きます。
自分の意見は、最後に一行だけ書きます。
決める人が知りたい順に並べ替える
担当者が気にする点と、決裁する人が見る点は違います。
費用、効果の見込み、他社との違い、導入の負担という順で示すと話が早く進みます。
細かい機能の一覧は、添付に回します。
質問が出た箇所だけ、送り主に確認します。
まとめ
資料送付のお礼は、受け取った当日のうちに短く返すほうが、数日後の長文より印象に残ります。
文面には、受領の報告、読んだ箇所、社内での扱い、次の行動の四つを順に並べてください。
章の名前や数字を一つ引用するだけで、形式的なお礼との差がはっきり出ます。
社内の誰に共有するかと検討の時期を書くと、相手は次の連絡時期を決められます。
送った側は三営業日は待ち、催促ではなく補足資料を添える形で接点を続けます。
打ち合わせを打診するなら、疑問を一つ残し、自社の検討の流れから日程を出します。
そのうえで資料を送っても検討が進まないなら、誰に送っているかを見直してみてください。
よくある質問
Q. 資料送付のお礼メールはいつ送りますか
A. 受け取った当日のうちに送るのが基本です。
その日に読み込めない場合は、受領の連絡だけ先に出してください。
読んだ感想は、後日あらためて送る形で問題ありません。
Q. お礼メールには何を書けば形式的になりませんか
A. 資料のどの部分を読んだかを、一行だけ具体的に書きます。
章の名前や数字を一つ引用するだけでも、読んだ事実が伝わります。
全体をまとめて褒める書き方は、目を通していない印象につながります。
Q. 検討を見送るときもお礼を送るべきですか
A. 送ったほうが、次の機会につながります。
結論を先に書き、見送る理由を一つだけ添えてください。
再検討の可能性がある時期が分かれば、それも示します。
Q. 資料を送ったのに返信が来ないときはどうしますか
A. 三営業日は待ってから、別の用件を添えて連絡します。
お読みいただけましたかと直接尋ねる形は、相手の負担になります。
補足の資料を送る形にすると、返信のきっかけになります。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。

