監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
商談の状況をExcelや担当者の記憶で管理していると、どの商談が止まっているかを、会議の前に聞いて回ることになります。
SFA(Sales Force Automation)とは、商談の進み具合や営業の活動を記録してチームで共有し、受注までの営業を支える営業支援システムです。
CRMとの違いと、最初に決める入力項目・商談の段階の例、選び方を確認しましょう。
SFAとは

SFAとは、商談(案件)ごとに進み具合を記録し、受注するまでの営業をチームで管理するためのツールです。
SFAは「Sales Force Automation」の略で、日本語では営業支援システムと呼ばれます。
顧客の情報と商談の履歴を一元管理するため、誰がどの会社とどんな商談をしているかが、チームの誰からも見えるようになります。
担当者が商談のあとに入れた内容を、責任者は会議の前に集めて回らなくても、同じ画面で見られます。
総務省の令和7年の通信利用動向調査(2025年8月末時点)では、クラウドサービスを一部でも使う企業は8割を上回りました。
クラウドサービスを使う企業のうち、営業支援に使う企業は22.9%で、前の年の20.7%から増えています。
CRM・MAとの違い
SFAは商談を受注まで進めるためのツールで、見込み客を集めて育てるのがMA、受注した後も含めて顧客との関係を管理するのがCRMです。
| ツール | 主に管理するもの | 主に使う場面 |
|---|---|---|
| MA | 見込み客の情報と行動 | 見込み客を集めて育て、商談に進める相手を選ぶとき |
| SFA | 商談(案件)ごとの進み具合と、営業の活動 | 商談を始めてから受注するまで |
| CRM | 顧客の情報と、これまでの接点の履歴 | 受注した後も含めて、顧客との関係を続けるとき |
SFAは今の商談を、CRMは相手との関係の全体を見る点が違い、1つのツールにSFAとCRMの機能がまとまっているものもあります。
Excelで管理する場合との違い
商談が少ないうちはExcelやスプレッドシートでも管理できますが、営業の人数と商談が増えると、集計と共有の手間でSFAとの差が出ます。
| 管理の仕方 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| Excel・スプレッドシート | 営業が数人で、全員の商談を1つの表で見渡せるとき | 段階ごとの集計や会議の資料は、毎回自分で作る |
| 無料版のあるSFA | まず少ない人数で、SFAの使い方を試したいとき | 無料版で使える機能や人数には上限がある |
| 有料のSFA | 営業の人数や商談が増え、会議の前に数字を集める手間が増えたとき | 1人あたりの月額がかかり、入れる項目を絞らないと入力が続かない |
会議の前の集計や担当者への確認に毎週時間を取られるようになったら、ExcelからSFAに移す目安です。
SFAに最初に入れる項目と、商談の段階の決め方
SFAには、最初は商談ごとに7つの項目だけを入れ、商談の段階は、次の段階に進む条件と一緒に決めます。
入れる項目が多いと入力が後回しになり、段階の数え方が人によって違うと、商談どうしを比べられないためです。
最初に入れる7つの項目
最初に入れる項目は、会議で使うものだけに絞ります。
株式会社キーウォーカーが、SFAなどのツールを使う営業部門の1,034名に聞いた調査で、商談のあとすぐに入力していない人に理由を聞くと、「他の業務の優先順位が高く入力が後回しになる」が44.2%、「入力項目が多すぎる」が38.5%でした(2025年10月)。
出典:株式会社キーウォーカー「【営業部門1,034名調査】SFA・CRM・BIツール活用の壁は「入力の目的が不明確」。即時入力は約4割にとどまる結果に」
次の7つは、そのまま項目の名前として使えます。
会社名と窓口の担当者:誰と話している商談か
決裁者に会えたか:「会えた」「会う日が決まった」「未確認」から選ぶ
商談の段階:下の段階の例から選ぶ
見込みの金額:受注したときの金額
受注予定の月:相手が導入を決める予定の月
次の行動と期日:「11月5日までに見積もりを送る」のように、何をいつまでにするか
失注・保留の理由:「予算」「時期」「競合」「決裁者の反対」などから選ぶ
選んで入れる項目を増やし、文で書く項目を減らすと、入力の時間が短くなり、あとで理由ごとに数えられます。
決裁者については、会えたかどうかから入れ始め、決裁の範囲や決裁までの経路は、入力が続くようになってから足します。
商談の段階は、次に進む条件と一緒に決める
商談の段階は、担当者の手応えではなく、相手がしたこと(課題を話した、決裁者が提案を聞いた、予算を示した)で進めます。
同じ「提案」の段階でも、決裁者が聞いた商談と、窓口の担当者だけが聞いた商談では、次にすることが違うためです。
株式会社キーウォーカーの同じ調査では、営業部門の管理職がダッシュボードで「もっと充実してほしい」と感じる指標は、「商談ステージ、進捗率などのプロセス指標」が53.1%で最も多くなりました。
出典:株式会社キーウォーカー「【営業部門1,034名調査】SFA・CRM・BIツール活用の壁は「入力の目的が不明確」。即時入力は約4割にとどまる結果に」
次の段階と、次に進む条件は、そのまま使えます。
1 初回面談:相手の課題と、検討する時期を聞けたら「提案」へ進める
2 提案:決裁者が提案を聞いたら(または、決裁者と会う日が決まったら)「見積もり」へ進める
3 見積もり:予算と、導入したい時期が分かったら「決裁待ち」へ進める
4 決裁待ち:決まる予定の日を過ぎたら、受注・失注・保留のどれかに分ける
5 保留:次に連絡する日を入れ、その日に「初回面談」か「提案」に戻すかを決める
受注と失注のほかに「保留」を作り、次に連絡する日を必ず入れておくと、今は検討しない相手にも連絡を続けられます。
段階ごとの受注の割合から、売上の見込みを出す
段階の条件がそろうと、段階ごとの受注の割合を使って、今月の売上の見込みを出せます。
受注の割合は、過去の商談で、その段階まで進んだ商談のうち、受注できた商談の割合です。
次の例の金額と割合は、計算の仕方を示すための仮の数字です。
売上の見込み = 段階ごとの「見込みの金額の合計 × 受注の割合」を足したもの
数える商談:受注予定の月が今月の商談
提案:見込みの金額の合計600万円 × 受注の割合20% = 120万円
見積もり:見込みの金額の合計400万円 × 受注の割合40% = 160万円
決裁待ち:見込みの金額の合計300万円 × 受注の割合70% = 210万円
今月の売上の見込み = 120万円 + 160万円 + 210万円 = 490万円
段階の条件が人によって違うと、同じ「見積もり」の商談でも受注の割合がばらつくため、見込みが外れやすくなります。
SFAの選び方と導入の進め方

SFAは、見る数字と会議を決める、料金を1年分に直して比べる、試用期間に実際の商談を入れる、営業会議をSFAの画面で進める、の4つの手順で選んで導入します。
手順1 SFAで見る数字と、使う会議を決める
ツールを比べる前に、SFAで見る数字と、その数字を見る会議を決めます。
株式会社キーウォーカーの調査では、入力の意欲が高まる条件として最も多かったのは「入力の目的やデータの使い道が明確」の54.8%でした(2025年10月)。
出典:株式会社キーウォーカー「【営業部門1,034名調査】SFA・CRM・BIツール活用の壁は「入力の目的が不明確」。即時入力は約4割にとどまる結果に」
見る数字は、最初は次の3つで足ります。
- 段階ごとの商談の数と、見込みの金額の合計
- 次の行動の期日を過ぎた商談の数
- 今月の売上の見込みと、目標との差
会議で使わない項目は入力を求めないことにすると、何のために入れるのかを担当者に説明できます。
手順2 料金を、使う人数の1年分に直して比べる
SFAの料金は、1人あたりの月額に、使う人数と12か月を掛けた1年分の額で比べます。
代表的なSFAの料金は、次のとおりです(2026年10月時点)。
| ツールとプラン | 1人あたりの月額 | 試し方と、契約の条件 |
|---|---|---|
| Salesforce(Starter Suite) | 3,000円 | 無料トライアルがある。上のプランのPro Suite(12,000円)は年間契約 |
| eセールスマネージャー(Basic) | 3,500円(税別) | 無料トライアルがある。5名〜30名で使うプラン |
| Zoho CRM(スタンダード) | 1,760円(税抜き。月額換算) | 15日間の無料トライアルと、3ユーザーまで使える無料プランがある |
| HubSpot(Sales Hub) | 無料版がある | 無料版で使える機能には制限がある |
出典:セールスフォース・ジャパン「Salesforce販売価格」
出典:ソフトブレーン株式会社「CRM/SFAの費用・料金プラン」
たとえば、1人あたり月3,000円のプランを10人で使うと、3,000円×10人×12か月で、1年に36万円です。
使える人数の下限や年間契約が条件のプランもあるため、見積もりは、使う人数と契約の期間をそろえて取ります。
手順3 無料の試用期間に、実際の商談を入れて試す
候補を2〜3個に絞ったら、無料トライアルや無料版を使い、実際の商談を入れて比べます。
試すときは、最初に決めた7つの項目を入れ、1件の入力にかかる時間と、スマートフォンから入れやすいかを確かめます。
株式会社キーウォーカーの調査では、商談のあとすぐに入力していない人の30.7%が、理由に「モバイルで入力しづらい」を挙げていました(2025年10月)。
出典:株式会社キーウォーカー「【営業部門1,034名調査】SFA・CRM・BIツール活用の壁は「入力の目的が不明確」。即時入力は約4割にとどまる結果に」
実際に入力する営業の担当者に試してもらい、入れにくいと言われた項目は、使い始める前に減らします。
手順4 営業会議を、SFAの画面を見ながら進める
導入したら、営業会議ではExcelの資料を作らず、SFAの画面を見ながら商談を確かめます。
株式会社キーウォーカーの調査では、営業部門の管理職がダッシュボードを使う場面は「営業会議の数値確認」が58.2%で最も多く、「次のアクションの検討」は15.4%でした(2025年10月)。
出典:株式会社キーウォーカー「【営業部門1,034名調査】SFA・CRM・BIツール活用の壁は「入力の目的が不明確」。即時入力は約4割にとどまる結果に」
数字を確かめて終わらせず、次の行動まで決めるために、次の質問をそのまま使えます。
「先週から段階が変わっていない商談はどれですか。止まっている理由は何ですか。」
「次の行動の期日を過ぎた商談はどれですか。いつまでに何をしますか。」
「受注予定の月が今月なのに、決裁者に会えていない商談はありますか。」
「保留の商談のうち、今月に連絡する日が来るものはどれですか。」
「今月の売上の見込みは、目標に対していくら足りませんか。」
会議で見る画面をSFAだけにすると、SFAに入れていない商談は会議で話せないため、担当者が入力する理由がはっきりします。
決裁者に会えていない商談が多いとき
決裁者に会えていない商談が多いときは、商談ごとに決裁者に会う経路を決め、決裁者と直接つながる場も使います。
SFAで「決裁者に会えたか」が「未確認」のまま段階が進んでいる商談を一覧にすると、手を打つ商談が分かります。
窓口の担当者に決裁者の同席を頼む、紹介してもらう、といった経路を、商談ごとに次の行動として入れます。
オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。
12年で築いた8,000名以上の決裁者ネットワークを通じて、決裁者と直接会う接点を増やせます。
一方で、商材の単価が低い場合や、担当者の段階で決裁が終わる商材では、効果が出にくい傾向があります。
まとめ
SFAは、商談(案件)ごとに進み具合を記録し、受注するまでの営業をチームで管理するための営業支援システムです。
見込み客を集めて育てるMAや、受注した後も含めて顧客との関係を管理するCRMとは、管理するものが違います。
最初は入れる項目を7つに絞り、商談の段階を、相手がしたことで進める条件と一緒に決めておくと、売上の見込みも出せます。
ツールは1人あたりの月額を1年分に直して比べ、試用期間に実際の商談を入れて試し、導入したら営業会議をSFAの画面で進めましょう。
よくある質問
Q. 営業が数人でもSFAは必要ですか
A. 営業の人数よりも、商談の数と、会議の前の集計にかかる手間で決めます。
全員の商談を1つの表で見渡せるうちは、Excelでも管理できます。
迷うときは、無料版のあるSFAを少ない人数で試し、入力が続くかを確かめます。
Q. SFAへの入力は誰がいつしますか
A. 商談した本人が、その日のうちに入れます。
相手が話した課題や次の約束を、覚えているうちに残すためです。
SFAなどを使う営業部門1,034名の調査では、商談のあと毎回すぐに入力している人は40.2%でした(2025年10月)。
出典:株式会社キーウォーカー「【営業部門1,034名調査】SFA・CRM・BIツール活用の壁は「入力の目的が不明確」。即時入力は約4割にとどまる結果に」
Q. SFAの導入に補助金は使えますか
A. 中小企業・小規模事業者は、デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)を使える場合があります(2026年10月時点)。
通常枠の補助率は1/2以内で、登録されたツールを、登録されたIT導入支援事業者と組んで申請します。
出典:デジタル化・AI導入補助金事務局「デジタル化・AI導入補助金制度概要」
Q. 担当者が辞めても商談の記録は残りますか
A. SFAに入れた顧客の情報と商談の履歴はチームで共有されるため、担当者が辞めたり替わったりしても引き継げます。
個人の手帳やメールにだけある約束は引き継げないため、次の行動と期日はSFAに入れておきます。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。



