監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
訪問のアポイントをメールで取ろうとして、どこまで書けば返信がもらえるのか分からなくなることはないでしょうか。
この記事では、飛び込みや展示会など接点のきっかけ別に訪問アポのメール例文を示し、件名の付け方と返信率を上げる工夫までを解説します。
訪問アポのメールで返信が来ない理由
送っても反応がない場合、文面以前の問題が隠れています。
よくある四つの原因を押さえましょう。
誰からの連絡か分からない
名刺を交換しただけの相手は、数日で記憶が薄れます。
いつどこで会ったかを冒頭の一行で思い出させる必要があります。
社名だけを名乗っても、相手の記憶とは結びつきません。
話した内容を一つ引用すると、そこで思い出してもらえます。
会う理由が自社都合になっている
ご挨拶させてくださいという依頼は、送る側の都合です。
相手にとって何の時間になるのかを一文で書くと、判断が変わります。
他社の進め方を共有する、現状を伺うなど、受け取る側の利益を示します。
商品の説明を聞いてほしいという書き方は、断る理由を与えます。
読むのに時間がかかる
本文が長いほど、あとで読もうという判断になります。
画面を一度もたどらずに読み切れる分量にするのが目安です。
会社紹介や実績は、会ってから話す内容に回します。
添付資料は一つまでにとどめます。
返信の手間が大きい
候補日が示されていないと、相手が考える作業を負います。
候補日と所要時間を並べ、合わない場合の連絡方法も書くと手間が消えます。
日程調整の仕組みだけを貼ると、開けない相手もいます。
電話での調整が早い相手には、番号も添えておきます。
きっかけ別の訪問アポメール例文
接点の生まれ方で、冒頭に書く内容が変わります。
代表的な四つの場面を見ていきます。
展示会やセミナーで会った相手への例文
会場で短く話した相手には、思い出す手がかりが要ります。
ブースの名称と、その場で話題に出たことを具体的に書くと記憶が戻ります。
会期から日が空くほど返信率は落ちるため、三日以内に送ります。
初回は資料の送付にとどめ、訪問は次の段階に置く形でも構いません。
件名:展示会にてご挨拶いたしました〇〇株式会社の田中です
株式会社△△
佐藤様
先日は展示会にて弊社ブースへお立ち寄りいただき、ありがとうございました。
商談の記録が担当者ごとにばらついているというお話を伺った者でございます。
同じ課題から立て直した他社の進め方について、三十分ほどご説明に伺えればと存じます。
十月二十一日(火)午後、十月二十三日(木)午前はいかがでしょうか。
ご都合が合わない場合は、ご希望の時間帯をお知らせください。
問い合わせフォームから連絡が来た相手への例文
先方から接点があった場合は、関心が高い状態です。
問い合わせの内容をそのまま引用し、答える形で訪問を提案すると話が早まります。
返信は当日中に送り、翌日以降にずれ込まないようにします。
候補日は近い日程から並べます。
件名:お問い合わせの件につきまして(〇〇株式会社・田中)
株式会社△△
佐藤様
このたびはお問い合わせをいただき、誠にありがとうございます。
導入までにどれくらいの期間がかかるかというご質問をいただいておりました。
貴社の体制によって進め方が変わりますので、直接伺ってご説明できればと存じます。
三十分ほど頂戴できればと存じますが、十月十七日(金)午後、十月二十一日(火)午前はいかがでしょうか。
オンラインをご希望でしたら、そちらでも対応いたします。
電話で受付に止められた相手への例文
担当者につながらなかった場合でも、メールで入口を作れます。
電話をかけた事実と、取り次ぎを依頼した経緯を書くと唐突さが消えます。
受付で伝えた用件と、メールの用件をそろえます。
相手の部署名が分かっているときは、宛名に入れます。
件名:先ほどお電話を差し上げました件につきまして
株式会社△△
営業推進部 ご担当者様
突然のご連絡を失礼いたします。
〇〇株式会社の田中と申します。
本日午前に一度お電話を差し上げ、ご担当者様へのお取り次ぎをお願いしておりました。
商談の件数を増やす取り組みについて、二十分ほどご説明に伺えればと存じます。
ご関心をお持ちいただけるようでしたら、ご都合のよい時間帯をお知らせいただけますでしょうか。
既存の取引先へ別の部署を紹介してもらう例文
取引のある会社の中で、横に広げたい場合があります。
今の取引の状況に触れてから、別部署への紹介を依頼すると自然につながります。
紹介してもらう相手の部署名や役割を具体的に書きます。
相手に手間をかける依頼なので、断りやすい逃げ道も用意します。
件名:他部署のご担当者様へのご紹介のお願い
株式会社△△
佐藤様
いつもお世話になっております。
営業部でご利用いただいている仕組みについて、ご好評をいただき感謝しております。
同様の課題は、採用をご担当される部署でも起きやすいと伺うことがございます。
もし差し支えなければ、人事部のご担当者様をご紹介いただけませんでしょうか。
ご負担であれば、無理のない範囲で結構でございます。
返信をもらいやすくする工夫
文面を整えたうえで、送り方にも手を入れられます。
四つの観点で見直しましょう。
件名に用件と社名を入れる
ご面談のお願いだけでは、他の連絡に紛れます。
用件、自社名、氏名を並べた件名にすると開封の判断が早まります。
所要時間を件名に入れる方法もあります。
記号を多用した件名は、迷惑メールの扱いを受けることがあります。
送る時間帯を選ぶ
受信箱の上に残っている時間が長いほど、読まれる確率が上がります。
始業直後か昼休みの終わりに届くよう送ると埋もれにくくなります。
金曜の夕方に送ると、週明けには下に流れています。
予約送信を使えば、自分の作業時間に縛られません。
二度目の連絡で候補日を変える
同じ候補日で再送しても、状況は変わりません。
候補を新しくし、所要時間も短く提示し直すと反応が出ることがあります。
再送は一度までとし、それ以上は追いません。
断りの返信が来た場合は、時期を変えて連絡します。
訪問にこだわらない選択肢を示す
移動の時間を惜しむ相手も増えています。
オンラインでも対応できる旨を本文に書いておくと、断る理由が一つ減ります。
相手が画面越しを選んだ場合は、その形に合わせます。
初回をオンラインにして、次回に訪問する流れでも構いません。
訪問が決まったあとの連絡
日程が決まってからも、やり取りは続きます。
三つの場面を押さえておきましょう。
日程が確定したときの例文
決まった内容を短く復唱して締めます。
日時、人数、所要時間、場所の四点を書くと当日の行き違いが消えます。
受付での呼び出し方法も、この段階で確認します。
長い礼の文章を重ねる必要はありません。
件名:Re: ご訪問の日程につきまして(確定のご連絡)
株式会社△△
佐藤様
ご調整をいただき、ありがとうございます。
十月二十三日(木)十四時に、弊社から二名で伺います。
所要は三十分を予定しております。
受付でお呼び出しする際の部署名をお教えいただけますでしょうか。
当日はどうぞよろしくお願いいたします。
前日に確認を入れる例文
直前の確認は、相手の予定表の抜けを防ぎます。
返信を求めない形で、日時と場所だけを再掲すると負担になりません。
変更があれば知らせてほしい旨を一行添えます。
前日の夕方までに届くよう送ります。
件名:明日のご訪問につきまして(〇〇株式会社・田中)
株式会社△△
佐藤様
明日十月二十三日(木)十四時に、貴社へ伺います。
弊社からは私と営業部の鈴木の二名、所要は三十分を予定しております。
ご予定に変更がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
本メールへのご返信にはおよびません。
明日お目にかかれることを楽しみにしております。
訪問が中止になったときの例文
こちらの事情で行けなくなることもあります。
詫びと新しい候補を同じメールに書くと、関係が途切れません。
直前であれば、電話を先に入れてからメールを送ります。
理由は一行で足り、詳しく説明する必要はありません。
件名:【日程変更のお願い】十月二十三日のご訪問につきまして
株式会社△△
佐藤様
お約束をいただいていた日程を変更させていただきたく、ご連絡いたしました。
弊社側の急な対応が重なり、明日の訪問が難しくなりました。
恐れ入りますが、十月三十日(木)午後、十一月四日(火)午前はいかがでしょうか。
ご予定を押さえていただいたにもかかわらず、申し訳ございません。
何とぞよろしくお願い申し上げます。
訪問アポで避けたい書き方
送り手が気づきにくい失敗もあります。
四つ挙げておきます。
候補日を一つしか出さない
一つだけ示すと、合わなかった時点でやり取りが止まります。
最低でも二つ、できれば三つを別の曜日で出すと往復が減ります。
相手に候補を考えさせる形も、手間を押しつけることになります。
日付と時間帯の両方を書くのが前提です。
相手の社名や役職を間違える
前株と後株、部署名の表記は名刺で必ず確かめます。
使い回しの文面で前の相手の社名が残る事故が最も多い失敗です。
送信の直前に、本文の中の社名を数えて確認します。
役職は名刺の表記をそのまま使います。
期限を切って急かす
今週中にご返信くださいという書き方は、売り込みの印象を強めます。
期限ではなく、目安としての時期を添える形にとどめます。
相手が急いでいない案件を、こちらの都合で動かすことはできません。
急ぐ事情があるなら、その理由を正直に書きます。
送る前に相手の状況を調べない
決算期や繁忙期に送ると、それだけで断られます。
相手の会社の決算月と、業種ごとの繁忙期を調べてから送ると確率が上がります。
公開されている情報だけでも、ある程度は把握できます。
時期が悪いと分かったら、あえてずらして送ります。
訪問の数より中身を増やすために
アポイントの数を追うだけでは、受注には届きません。
三つの視点で見直しましょう。
誰に会っているかを記録する
訪問の件数だけを数えても、進み具合は分かりません。
会った相手の役職と、決裁に関われるかどうかを記録すると傾向が見えます。
担当者としか会えていない商談は、途中で止まりやすくなります。
記録は商談ごとに残し、月末に振り返ります。
二回目の訪問の理由を先に作る
初回で終わると、そこから先が続きません。
帰る前に次回の目的と日程を決めてしまうのが最も確実です。
その場で決められないときは、送る資料と期日だけでも約束します。
約束した期日を守ることが、次の訪問につながります。
決裁者と直接つながる場を併用する
訪問の数を増やしても、決める人に届かないことがあります。
オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。
窓口を経由せずに話が始まるため、一回の訪問の重みが変わります。
一方で、商材の単価が低い場合や担当者レベルで決裁が完結する商材では、効果が出にくい傾向があります。
まとめ
訪問アポのメールは、接点がどう生まれたかによって冒頭で書く内容が変わります。
展示会なら話した内容を、問い合わせなら質問の引用を、電話ならかけた経緯を一行で示してください。
そのうえで訪問の目的、所要時間、候補日を並べると、相手は予定に入れる判断ができます。
件名には用件と自社名を入れ、始業直後か昼休みの終わりに届くよう送ると埋もれにくくなります。
日程が決まったら日時と人数、所要時間、場所を復唱し、前日に返信不要の確認を一通入れておきましょう。
そのうえで訪問を重ねても話が進まないなら、会っている相手の立場に原因があります。
決裁者マッチングのように判断できる相手と直接会える場を併用し、自社の商材に合うか確かめてみてください。
よくある質問
Q. 展示会で会った相手にはいつまでにメールを送りますか
A. 会期から三日以内に送るのが目安です。
日が空くほど相手の記憶が薄れ、返信率が落ちていきます。
ブースの名称とその場で話題に出たことを書くと、思い出してもらえます。
Q. 訪問アポのメールはどのくらいの長さがよいですか
A. 画面を一度もたどらずに読み切れる分量が目安です。
会社紹介や実績は、会ってから話す内容に回してください。
添付する資料も一つまでにとどめます。
Q. 返信がないときは何回まで送ってよいですか
A. 再送は一度までにとどめます。
二度目は候補日を新しくし、所要時間も短く提示し直してください。
それでも反応がない場合は追わず、時期を変えて連絡します。
Q. 訪問とオンラインはどちらで提案すべきですか
A. 本文にどちらでも対応できる旨を書いておきます。
選択肢があるだけで、相手が断る理由が一つ減ります。
初回をオンラインにして、次回に訪問する流れでも差し支えありません。
訪問の約束が取れたあとは、日程の確定連絡と訪問後のお礼が続きます。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。



