テントゥーフォー株式会社
野見山玲子
POSTED | 2019.06.04 Tue |
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TAGS | 従業員数:5人以下 業種:研修・コンサル 創立:9〜10年 決裁者の年齢:その他 商材:その他 |
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多様な働き方を目指すビジネスパーソンのマインド作り
経営と現場目線の両面から本格的にサポートTopics
今回のインタビューは、人々が自らキャリアをデザインし、ビジネスリーダーとして成長していけるようマインドスキルを中心にトレーニングを行うテントゥーフォー株式会社の野見山氏にお話を伺います。
なぜ女性の社会進出が進まないのか、マインドがいかに大切なのか、どのような想いでこのサービスを始められたのか、など同社の取り組みについて語っていただきました。
テントゥーフォー株式会社 プレジデント 野見 山玲子氏のONLY STORY
【経歴】
1981年、東京都出身。
早稲田大学ビジネススクールMBA、薬剤師。
国立がん研究センターにて研究者としてキャリアをスタートし、東京大学医学部大学院では医師の診断技術など医療者/患者の教育研究開発に従事。
その後、外資医薬系商社(フランス)にて最高総括責任者、大手外資系製薬企業メルク(ドイツ)、アラガン(アイルランド)日本支社にて、組織と製品の最高品質責任者を最年少で歴任し、メルクではGlobal Top10タレントに選出される。
末期がんの親の看護として自身が時間制約を追う中、品質最高責任者の役割を担うという課題に直面。ヨーロッパ、アジア、アメリカ、アフリカ等20カ国以上のマネジメント層と仕事をする中で、仕事と時間価値のあげ方、キャリアを自らつくる意識などのマインドとスキルに影響を受け、場所と時間に縛らず長時間労働でない管理職を実現。
2017年、テントゥーフォー株式会社の社長に就任。ライフイベントによらずキャリアもライフも大事に生きる個人・企業の成長を支援。女性視点、メディカルサイエンスの視点、経営視点を生かし、時間や場所の枠に囚われず豊かに働ける持続可能な成長組織へと変革するためのサポートを、トレーニング、メンタリング、マッチングにより実施中。
体感と腹落ち重視のマインドセットトレーニング
–まずは、テントゥーフォー株式会社が手がけている事業について、お聞かせください。
野見山氏:弊社は、多様な働き方でキャリアを構築していけるマインドを養うために、経営者目線やグローバル視点、脳科学や精神医学といった医学的なエビデンスに基づいたトレーニングサービスを提供しています。
具体的に説明すると、無意識に植え付けられていた固定概念や物事の捉え方、考え方のクセなどに自ら気がつき、それを踏まえた上で、考え判断していくマインド作りをサポートしています。
「〜するべきだ、〜したらいい」と口で言うのは簡単なのですが、やはりトレーニングを行う本人が腹落ちしていないと、それを自分の言動へと変換できないんですね。なので、お客様に納得していただく、ということはとても大事だと考えています。
–実際にサービスを体験される方はどのような方が多いのでしょうか。
野見山氏:働くことで成長し続けたいビジネスパーソンとそういう人財を生かしたい管理職・経営層の3層が一番のお客様になります。
多くの企業は、ビジネスパーソンの中でもとくに働く意欲もスキルも高い女性リーダー層が充分に活躍できていないという課題を抱えているんですね。その原因は女性自身と周りのマインドの両方にあり、後者は顕在化しているのですが、前者が潜在化してしまっている。
よって彼女たちが抱えている潜在的な課題にフォーカスすることで、企業全体として人財を活かし、持続可能な成長する組織に変えていく、というところを目標としています。
–日本の女性は、キャリアアップをしていくことが難しいと言われていますが、そこには本人や周りのマインド以外にはどのような原因があると考えられますか。
野見山氏:様々な原因がありますが、女性のキャリアが中断してしまう大きな原因は、会社の中で一番経験を積んでいく時期に、出産や育児などさまざまなライフイベントと重なってしまうことなんですよね。
そもそもライフとワークはトレードオフな関係ではなく、相互に必要な経験と能力を生かし合う時間。しかし多くの女性は「働きたいけれど、プライベートも大事にしたい」そう思い、職場から離れてしまうんです。
出産を例に挙げると、女性は出産に対し年齢的なリミットがあるとわかっていても、現実問題として自分1人では出産のタイミングをコントロールすることはできません。キャリアを積んでいく中で、いつ出産をするのかという先の見えない不安に対し、それでも自分の人生やキャリアを大事にしたいというのが本音ではないでしょうか。
そのように、キャリアとプライベートの両立に不安を感じている方に「キャリアを長期的な視点で客観視する力」と「不安や自信のなさを解消する力」を養うためのマインド作りをサポートしています。
–業界のなかで、御社ならではの強みはどこにあると考えられますか。
野見山氏:弊社の強みはやはりスタッフですね。それぞれがいろんなライフイベントと時間制約を経ながら管理職を経験してきた女性で、尚且つ全員がMBAを取得するなど経営を学んでいます。
女性目線・経営者視点に加えて大事なのが、キャリア志向がありながら自分のプライベートも同じく楽しんでいきたいと思っているという点。メンバーにはこれら3つの共通点があるので、女性が会社に言えない本音や理解されない想いを、一番に理解できるメンバーの集まりになっているんです。
さらに私たちは、サイエンティストとコンサルタントという経験があるため、データ分析力とそれに裏付けされた論理、さらに現場でたくさんの人たちと関わりながら仕事をしてきた共感力を持ち合わせています。
そのため、女性の本音をどう引き出していくのか、それを会社の目線で解決していくために、何をすれば良いのかというのを、当事者の気持ちに寄り添いながら、感情論ではなく論理的に組み立て、個人と組織の両者に響く形でお伝えできるのが特徴だと考えています。
日本人も悔いの残らない豊かな人生を送ってほしい
–現在展開しているサービスを始めるに至ったきっかけはありますか。
野見山氏:私はもともと人の生死に関わる医療分野に携わっていたこともあり、昔から「人はどう生きていけば幸せだと感じるのか」ということを常に考えていたんですね。
というのも、仕事現場では、余命宣告を受けた人がどう生きるか考える時「もっと家族との時間が欲しかった」「自分の好きなことをできる時間が欲しかった」とこれまでの人生を振り返る人が多かったからです。今までの人生の延長ではなく、もっと違う時間の使い方ができなるのではないか、と。
ライフイベントは誰にでも訪れますが、だからこそ、それによって諦めることなく、豊かな人生を送りたいと、誰もが思うのではないでしょうか。私自身がその課題に直面した時、海外で一緒に働くメンバーは、仕事もプライベートも当たり前のように豊かに共存させていました。一方で、日本で周りには仕事とプライベートのバランスに悩み、キャリアを諦めざるを得ない人たちもたくさんいました。
そして、私はこれまで、ガンや精神病の予防医学・早期発見などのメディカルサイエンスの研究と、製薬会社という社会的責任の大きい製品とそれを扱う組織品質を高く保つことに力を入れてきましたが、次第にこれらの知識を実践することこそ、私が本来するべき役割と考え、サイエンスと人が豊かに生きることとの架け橋になる、このサービスをはじめたんです。
–過去に苦労したエピソードはあれば教えてください。
野見山氏:末期ガンの親の看護と責任者としての重圧の中、頑張ればなんとかなると思い込んでいた20代でしたが、仕事の時間、家族の時間、自分の時間すべてを確保するために無理をしてしまい、2度の過労入院をしました。
2度目の入院をした時に、課題は体力ではなく精神面であると気づき、「このままのマインドでは持続しない。自分を客観的に見てコントロールするマインドセットが必要だ」と気が付いたんです。
どんなことが起こっても、心身ともに自分が健康でないと他者のサポートもできず、むしろ迷惑をかけてしまうので、自己認識の自己コントロールが如何に必要か痛感しましたね。
それと同時に、自分の限界を理解し、受け入れること、そして限界に達することなく人の力を借りながら目標に到達するために、自分をコントロールできるように、自身と向き合う時間をつくることの大切さを知りました。
やはり、「一人で」ではなく「チームで」成果を出すのがマネジメントの醍醐味であり役割なので、人と共にどうやって大きい目標を達成するかというところで、人との信頼関係や意思決定のプロセスなどが大切なポイントだと気づくこともできました。一回り自分を成長させた体験ではありますね。
日本で豊かに働ける人たちを増やしたい
–今後の展望について教えてください。
野見山氏:今後のビジョンは、「日本が豊かに働ける国になること」です。
現在、ライフイベントによってキャリアが中断されてしまったり、能力が生かせない環境にある人たちがたくさんいます。
そういう人たちの仕事やライフイベントを含めた人生の時間の使い方、能力の主体的な生かし方をサポートすることで、個人個人が幸せに生き、成長し続ける組織になるサポートをしていきたいですね。
また、働く人々のサポートだけに留めず、役職を務め終えられた方や会社を退職されたシニアの方々の人生を豊かにする時間の使い方もサポートしていきたいと考えています。
時間の価値や豊かに生きたいという願いはどんな人にも共通することです。だからこそ、そこをサポートできる存在になりたいですね。
そうして、3年以内にはこのマインドを1億人、日本人全員に広げるというのが1つの目標です。
–3年後から先の長期的な目標は何かありますか。
野見山氏:長期的には他の国にもこのマインドを広げていきたいです。実は海外でも同様のマインドセットでキャリアを築ける国があるんです。
ただ、色々な国の人達と一緒に仕事をしてきたことから分かるのですが、日本人らしい働き方と、海外で実際に行われている働き方というのは文化や情勢、宗教観などによって異なっているんですね。
そういう部分も踏まえつつ、人として豊かに生き、働ける人を増やしていきたいです。
–最後に、読者にメッセージをお願いします。
野見山氏:企業様に向けては、会社として在りたい姿や浸透させたい想い、すべての社員にもっと活躍して欲しいと思っているけど、それらをどうやって社員に伝えていけば良いのか分からない。そういったところで課題を感じている企業さんがいらっしゃったら、ぜひご連絡いただきたいと思います。
学生のみなさんに向けては、今働く価値観が多様化している中で、「ここに入れば安心だ」と言えるようなゴールデンスタンダードというものは、もはやありませんよね。
ですのでこれから企業を選ぶ上では、自分を軸として、何を成し遂げたいのか、どういうことをやっていきたいのか、そのためにはどんな能力が必要なのかということを自分の中で考える。そして自分から学んで、周りの人達も巻き込んでいけるような人になってもらえたら良いなと思っています。
執筆=山田
校正=笠原