かっこ株式会社

岩井 裕之

ちょっとだけ未来の判断材料を提供します!

EC取引での安全・安心と収益の最大化を目指してシステム構築
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かっこ株式会社 社長 岩井 裕之氏のONLY STORY

ECでの詐欺・不正行為へ向けたルール化


平成24年、日本国内の消費者向け電子商取引の
市場規模は、9.5兆円であったという。
前年比 112.5%の成長規模で、
今後さらなる拡大が見込まれている。

もはやEC(イーコマース、電子商取引)での取引は、
現代人にとって欠かせないものであるといっても過言ではない。

その一方で、ビジネスを展開する企業を狙った
不正取引が横行しているのも事実だ。
消費者にとっても、クレジットカードの不正利用など
対岸の火事ではないが、実際にどのような対策がとられているかの
認識はないのが現実だろう。

かっこ株式会社は、こうした不正取引や不正行為から
企業を守る独自のシステムを利用することで
企業の収益を最大化しようとしている。
岩井裕之社長に、事業内容についてお話をうかがった。

「ECでの取引のうち、全体の一桁パーセントの割合で
不正・詐欺が起こっているのが現在の状況で、
件数では大変なことになります。

弊社のシステムは、ご依頼主のECサイトに接続する事で、
購入の際のデータを提供してもらい、
安全な取引であるかを判断してお返しする審査サービスです。」

ECでの詐欺にも、多種多様なものが存在する。
他人のクレジットカードを盗用したり、
コンビニなどの後払い制度を悪用したり、
アフィリエイトポイント目的の架空の注文を繰り返すなどなど。
技術の進化とともに人をだますための手口も年々巧妙になってきた。

かっこ株式会社は、これらの手法に対抗するものとして、
デバイス認証やネガティブ情報の共有データベース、
検知モデルを備えたシステム「O-PLUX」を2000社におよぶ企業に
提供している。

これらはビッグデータを利用するもので、具体的な方法は
社外秘とのことだが、おおまかな流れについて、
社長にご説明いただいた。

「デバイス認証は、どの端末からアクセスしているか
ということを特定するもの。

詐欺をはたらく人は複数の名前やカードを使って
注文するため、端末と名前の組み合わせによって、
注文の信頼性をはかる仕組みです。

また、『名寄せ』というのは、同じ読みで
多くの漢字が当てられる名字、
たとえばサイトウさんの漢字を寄せようとしても
なかなか難しいのですが、
弊社の仕組みを使用することで
漢字の異なるサイトウさんを類似性の高いものとして
分析できるようになります。

ネガティブ情報のデータベースでは、利用企業全体で
『過去にお支払いいただけなかったデータ』を蓄積して
判断材料にしています。

統計学を用いた検知モデルは、詐欺などの手口を
統計的に数値に置き換えるもので、
今のこの事象が過去のこうした手口と酷似しているということを
計算の結果から判断しています。」

ハッシュ化された文字を読み解く


例えばあるネット通販サイトにとって初めての顧客から
注文が入ったとする。
そのデータがかっこ株式会社の審査に掛かって、
デバイス認証にかけられると、同じ日に同じものを違うサイトで
購入していることがわかった。

さらに、配送先がウィークリーマンションであったり、
注文主が実際に住んでいない住所であるということも判明。

注文を受けた企業からすれば、顧客を疑うべき理由はないが
「O-PLUX」の審査にかかると、1つの取引で
それだけのことが起こっていることがわかり、
統計学によって、詐欺を働く人がよく使う方法に近い取引であるとの
情報をフィードバックすることが出来るのだという。

さらに、ここで驚くべきは、「O-PLUX」が個人情報を用いることなく、
それを実現させているということだろう。
個人情報は全てハッシュ処理され、わけのわからない文字列に
変換されたうえで、計算に掛けられる。

ここまで複雑な計算を終えるのにかかる時間は、
どのくらいだとお考えだろうか。
デバイス認証して、データベースで検索し、
ハッシュ化された人名などを名寄せし、統計学の計算を終えるまで、
ほんの数秒なのである。

こうしたシステムが豊富なデータに裏打ちされた
審査サービスを提供してくれているため、
通販サイトは安心して取引をすることができる。

利用企業が次のアクションを起こすため、具体的な提案を


実際に怪しい取引を計算式で導き出した場合、
どのような対処がとられるのだろうか。

「過去の事例・データに見られる特徴的な動きと近いものが
発生したときは、100パーセント詐欺であるとは言えないものの
怪しいため、商品を発送する前に
本人に連絡したほうがいいかもしれないということを
審査結果としてお返しします。

対応については、ご依頼主のEC企業様が
最終的に決められることですから。」

これは、かっこ株式会社の企業としての軸の部分に相当する。
「ちょっとだけ未来の判断材料を提供する会社」というものだ。

多くの会社がビッグデータを使用したサービスを展開しているが、
かっこ株式会社が提供するものは実に具体的かつ現実的なものだ。

「弊社は、利用企業さまが次のアクションを起こすための
判断材料を提供していきたいと思っています。

すごく難しい情報を結果としてもらっても、
それをどう判断して、次のアクションをどうすればいいのか
迷うことがありますよね。

そうではなくて、今あなたが次にこういったアクションをすれば
不正が防げますよ、もしくは売り上げが上がりますよといった
目先のアクションを明確に出すことが重要だと思っています。
そこに、弊社の企業としての価値があるのではないかと。

難しいことは私たちが一生懸命やりますので、
企業さまが次にとるべきアクションはこれですよと
提示してきたいですね。」

早く安く安心な取引のための仕組み作り


そもそも、岩井社長が起業したきっかけは、
企業側の次の一手を提示するため、早く確実かつ安価な仕組みを
提供したいと考えたことだったという。

「学生のころから起業したいという思いがありました。
そこでサラリーマン時代の経験を活かした不正対策の
コンサルティング会社を再度立ち上げることにしたのです。

いろいろな会社でコンサルするうちに、自分の持っている知識や、
仕組みを構築する能力を活かすことを考え始めました。

そのたびにコンサルをするのではなく、
仕組み自体を提供するほうが、企業にとっても早く、
安く立ち上げられるだろうし、私にとっても継続的な事業にすることが
可能だと。それで、今のサービスを作りました。」

具体的な一歩のための、アンテナを


一度で覚えられるとても特徴的な会社名だが、
それも社長の思惑通り。人に覚えていただける、
特徴的なワンワード。かつ、日本企業の特色を活かした
平仮名でという狙いがあったそう。

ホームページには「一緒に(かっこ)いいことしませんか?」の文字が躍る。
「(かっこ)いいことをやる会社」だと。

「顧客に求められることを至上命題とし、
顧客・社会に必要なモノを、誰よりも革新的に、
誰よりも早く提供していきます」という文言は、
確かに「(かっこ)いい」し、社長の軸を表す言葉のようにも感じられる。

「私は、そんなにえらい人間ではありません。
一緒に働いていくメンバーに、私よりも優秀で
特徴のある人間を集めることで、会社が成長すると考えています。

今、『O-PLUX』でサービスを提供している先は
EC事業者さまが中心ですが、金融業や不動産業への提供や、
海外進出も考えています。

さらに長期的には、ビッグデータをお客さまの
次のアクションに繋げていくために、
『O-PLUX』に次ぐ商品を開発し、
どんどん展開していきたいと考えています。」

最後に、読者である学生に向けて一言いただいた。

「未来の可能性はいろいろあるとは思いますが、
なにも考えずにいると、1年2年はあっという間です。

間違ってもいいから、自分はこういう方向で行きたいという思いを
常にもって歩んだほうがいいと思います。
失敗したら、変えていけばいいだけのこと。

そこを早めに持ち続けていれば、自分のやりたいことは
いずれ見つかるし、得意分野になってくるのではないかと思います。

私も、いずれ起業したいと考えていたことで、
今の状態が生まれたと思っています。

今から壮大な計画を立てるというのも無理でしょう。
目先のことだけでもいいですから、真剣に一生懸命考えてみてください。」

自分の将来の姿は、ビッグデータにはかったとしてもわからない。
そこが怖くもあり、面白くもある。

ただ、小さなことでもいいから目標を定めれば、
アンテナを張り巡らせることができるというのは、大きな示唆だ。

わからないからなげやりになるのではなく、わからないからこそ
より具体的な手段を得るための対策を講じる。
それは、岩井社長の企業理念とも通じるところではないだろうか。

編集後記


イーコマースに潜む不正取引の実態をうかがうにつけ、
企業・消費者の双方が、こうしたビッグデータの活用によって
守られていることを実感しました。

より具体的かつ早急な対策を講じていただくことで、
企業はより安心できる取引を行うことができ、
それによって消費者もより簡便かつ安価な商品の購入を
行うことができているのだと。

これらの計算が数秒で終わるということに、
取引企業の安心安全が隠されているのがわかりました。

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