株式会社東配
熊井 大遊
POSTED | 2020.04.28 Tue |
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TAGS | 従業員数:51〜100人 業種:その他 創立:15年以上 決裁者の年齢:40代 商材:BtoB |
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「安く・早く・正確に」がモットーの運送会社
東配の在り方から物流業界の地位向上を目指すTopics
今回のインタビューは、埼玉県川口市で50年以上の歴史を誇る株式会社東配の4代目経営者熊井氏にお話を伺います。
運輸部と流通加工部の2部門を展開をする同社。最終目標は「物流業界の地位向上」と語る熊井氏に、4代目として事業に込める想いを教えていただきました。
株式会社東配 社長 熊井 大遊氏のONLY STORY
強みは巨大なトラックターミナル設備
―まずは、株式会社東配の事業内容をお聞かせください。
熊井氏:弊社は、商品の保管や値付け、出荷処理まで行う「物流加工」と出荷準備が完了した商品と、お客様からお預かりした荷物を量販店のセンターへ配送する「運輸」の2つのサービスを提供している会社です。
運輸に関しては、メーカーや問屋などからの共同配送のご依頼が特に多いですね。
―共同配送とはどういったものなのでしょうか。
熊井氏:端的に言いますと、異なるメーカーや問屋が配送している荷物を目的地別に分け、まとめて配送する配送方法です。
配送業界では、1つのメーカーがいくつもの物流センターに納品して、そこから各店舗に納品する形が主流なんですね。例えばメーカーAとメーカーBが物流センターCに納品しているとしたら、納品先は1カ所でも俯瞰してみるとそこには各メーカーが支払う2倍のコストがかかっています。
そこでメーカーAとメーカーBの荷物をターミナル(仕分け場)に集め、各方面別に仕分けをしてから、それぞれの届け先に配達する。これが共同配送になります。
ターミナルでは、複数のトラックの荷物を1台にまとめて配送できるので、1台当たりの積載効率を上げコストの削減や配送時間の短縮が可能です。また稼働台数を減らすことで、CO2削減にもつながっています。
―なるほど、環境問題に取り組みながら、効率的な配送を実現されているんですね。御社のようにターミナルを持っている物流会社は珍しいのですか。
熊井氏:そうですね。弊社のようなターミナルは、一般的な運送会社だとあまりないと思います。
先ほどお話したサービス以外にも、ターミナルを長距離輸送用トラックの中継輸送地点として活用していただくこともあります。
経営は数字でしか証明できない
―熊井様は4代目だと伺いました。事業継承をされたきっかけについてお聞かせください。
熊井氏:元々後を継ぐつもりで入社しましたが、タイミングが重なり予定よりも1年早く社長に就任しました。創建者の祖父や機会を与えてくれた現会長の父のためにも、「僕がやるしかない」と強く思いましたね。
―入社後、特に印象に残っていることはありますか。
熊井氏:弊社に合った原価計算システムを導入し、不採算を無くしたことですね。入社前から自社の経営分析をしていたので、経費の使い過ぎがあることは分かっていました。その後、入社して実情を見てみると、言葉は悪いですがひどいもので…。例えば、大型車を午前中走らせても数千円の売上程度で、燃料代にもならないということも少なくはありませんでした。
そこでトラック協会が推奨している運送原価計算システムを導入して、積載効率が悪かったり、収支が成り立たない運送ルートを発見・改善していきました。1年後には不採算だった案件をばっさりとカットし、積載効率を上げていく形で原価計算を作り上げました。
私は、経営は数字でしか証明できないと思うんです。だからこそ数字を使い、目に見える形で経営課題を解決していく必要があると考えています。その考えから、入社1年目から不採算な業務をどんどん整理し、2年目には収支を完全にひっくり返すことができました。
―事業をおこなう上で、一番楽しいと感じる時はいつですか。
熊井氏:私は社内の改善をずっと進めてきましたので、業務を効率化する中で、生産性が高まったり、利益が出たりするとやりがいを感じます。
時には社員に向かって厳しいことをお願いする場合もありますが、「社長のアドバイスで良くなりました」「業務がすっきりしました」と笑顔で対応してくれることも多いので、とても嬉しく感じています。
ビジネスは対等でなければならない
―今後の目標を教えてください。
熊井氏:目標は経常利益率を10%にあげることです。どのような業界でも同じだと思いますが、扱っている商材の単価が低いと、どうしても収益も低くなってしまうんですね。
そのため、今後は単価の高い化粧品関連の流通加工に力を入れていきたいと思います。いずれは、高齢化社会に向けて医療系の配送や、流通加工の業務にも携われたらと思いますね。
―社会的にどういった役割を担っていきたいとお考えですか。
熊井氏:物流業界のイメージを変えていきたいです。物流業界は、「きたない、きつい、危険」の3Kのイメージを持たれてしまったり、末端業界だと思われたりすることが少なくありません。
しかし仕事に優劣などありませんし、本来ビジネスはもっと対等でなければならないはず。そういった業界に対するイメージを払拭し、物流業界全体の地位向上に貢献できればと思います。
―私たち消費者は、お店に行けば当たり前のように物を買える。そこを支えてくださっている人がいることを忘れてはいけないと改めて感じました。
では最後に、読者へメッセージをお願いしいます。
熊井氏:弊社は現在、化粧品流通加工の展開やECサービスの構築を進めています。なかなか参入が難しい領域なので、新規で同じようなことを始めたいとお考えの企業様がいらっしゃれば、一緒にお仕事がしたいと思いますのでご連絡ください。
いろいろな情報交換をしながら成長し、共にこれからの日本を変えていくパートナーになれたらと思います。
執筆=山田
校正=笠原