若杉 拓弥

私は高校時代、ひたすら部活に打ち込んでいる学生でした。ボクシング部に所属していたのですが、付属校で大学受験がなかったので、自分のやってみたいことに自由にチャレンジできたんです。ですが高校３年の冬に「そろそろ勉強しないと」と思い、簿記の勉強を始めました。資格を取ろうと考えた時、チャレンジできそうだなと思ったのが会計士の勉強だったんです。

大学入学後も会計士の勉強。慶應大学のCPAに通い、大学３年の時に公認会計士の資格を取りました。もともとルーキーズっていう漫画に出てくる川藤が大好きで、先生になりたいと思っていたこともあり、卒業後はCPAの講師として就職。６年くらい勤務したのち「１人で好きなことをやってみたいな」と思い、独立を決めました。

実際に経験してみると、先生業と実務は全く異なっていて。その都度様々なことを調べて、解決して進めて行く日々が続きました。

そんなある時、たまたまお客さんが補助金の案件を持ってきてくれて、現在の形があります。潜在的なコンサルティングから顕在的な補助金へマーケットを変え、プッシュ型をプル型に切り替えて、そこに全力を注ぎ込んだんです。この出来事は私たちにとって大きな転機でした。

大事にしていきたいのは、会計を通して関わった方々の深い悩みや話、将来のビジョンをお伺うこと。ここから会計的な分野はもちろんですが、人、物、お金、情報というあらゆる面の支援をさせていただくことで、会社さんがうまく発展していける。そんな会社にとってのお医者さんとしての活動を続けていきたいですね。

現在、株式会社アカウンティングプロは、補助金などの資金調達支援を主な事業としています。資金繰りの支援や雄氏の支援、お金の調達などですね。

一番の強みは「制度への精通力」。国って実は様々な公的制度を用意しているんですけれど、会計事務所はこれをほとんど知らないんですよ。人を雇ったら助成金をもらえますよとか、設備投資をしたら1000万、3000万の補助金がもらえますよだとか、節電の制度がありますよとか。

私たちはこの制度をしっかりと勉強して、お客様に常にヒアリングをすることでその時々にあったご提案をしています。この提案力、制度への精通力は全国2万の会計事務所の中でも非常に高いと思っています。実績としてもものづくり補助金の獲得でNO1をいただいています。現在は、150〜200社のお客様、小さな支援も合わせると400社のお客様の支援をさせていただいています。

私は実家が医者だったこともあり、会社の医者として活動できることに喜びや生きがいを感じています。今の会計事務所さんは決済書や会計情報を入手しているにもかかわらず、提案などができないところが多い現状にあるんです。私自身医者になれなかった悔しさもあるので、決算書をもとに診断をさせていただくことがとても楽しくて。

これからも引き続き、会社の医者として活動していきたいですね。

私は初めにもお話しした通り、起業当初、偶然補助金支援をさせていただいたことで、ここまでやって来れた経験があります。だからこそ、当面5年〜10年は私があれをしたい、これをしたいというのではなく、目の前のお客様の悩みを全力で解決させていただきたいと思っています。これを積み重ねることで、自分自身もさらに力をつけて、より多くのお客様のために支援をしていきたいです。

仕事のスタイル的には、やはり幅広く対応しすぎると補助金等の合格率も下がってしまうことが考えられますし、お客様のニーズにあったご提案ができないことがある。

ですからより中小企業に特化したサービスをご提供させていただき、付加価値の高いものにしていきたいですね。

またあまり話さないのですが、僕には「社会的な課題をビジネスで解決していく」という密かな理念があります。ですから会計士としてお客様のサポートをしていきながら、その経験を生かして、介護事業もなどへの展開も考えていますし、長期的には社会問題に取り組めるような事業をどんどん開拓していきたいです。

そして最終的には薬を作ること。「課題解決のための薬」です。

現在は課題を解決するために一つ一つヒアリングをして、お医者さんが問診して手術して、というように１対１でしか救えていないと思うんです。でも、薬ができれば薬を飲むことで何万人もの人を救うことができる。会計に関しても、コンサルティングに関してもわかりやすいツールが、いつか作れたらいいなと思いますね。