環境工学株式会社

行本 功

一石二鳥を狙う水辺の「アーティスト」

環境に配慮した河川や海岸で独自の工法を展開
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環境工学株式会社 社長 行本 功氏のONLY STORY

技術を提案する仕事で社会貢献にひと役


環境工学株式会社は、河川や海岸などの護岸工事に独自の工法を提案・施工指導する。再生可能な自然エネルギーとして、スーパーや工場の屋根、野立て設置などを対象にしたソーラーエネルギー工事業も展開。

同社の工法は河川、海岸、道路などの現場では全国で1万カ所近くになるでしょう。
行本功社長に事業の話をお聞きした。

「国交省、都道府県、市町村が河川等工事の実施計画をされる段階で、われわれが開発した環境に配慮した防災工法を提案し説明するのが最初の仕事になります。
官公庁への工法PRと同時に工事を実施するために設計するコンサルタントへの技術説明や業務応援が大事です。そして、われわれの工法で工事を行う建設会社への製品・材料の販売、施工指導が受注営業になります。」

身近な環境問題から、地球的規模の問題までその解決方法の提案を創業理念に掲げる。

「私が以前、勤めていた会社は生態系に関する自然環境問題には意識が希薄でした。これからは本格的な自然環境をテーマに生きて行きたいという思いもあり、退社しました。起業は48歳のときでした。
地球温暖化防止と自然環境の保全をテーマした活動に取り組むことで、自分の人生の価値を見出したかったのです。生態系の豊かな自然環境の保全と自然災害のない安全で快適な生活環境の創造、持続可能な循環型の社会づくりに寄与することが、私達会社の使命です。」

行本社長は起業時、環境問題という確固たる信念を持っていた。だからこそ、今日に至るまで軸足がぶれることはない。

「気づかない」という技術力を発揮


道端から草と花をかき分け川の中に入って行くと清流が流れ小魚が泳いでいる。堤防には桜の木があり鳥の鳴く声が聞こえる。この草の護岸はごく自然に少し石の頭が見えている。

ところが、手で持ち上げられそうなこの自然石、持ち上げようとしても一向に持ち上がらない。

海岸の防波堤を見ると、今まで見ていたコンクリートの波消(なみけし)ブロックが無い。自然石の塊(かい)が並んでいる。防波堤も黒ずんだコンクリートではなく自然石の平板でメイキャップしている様に見える。堤防の根元は低い樹木が生えられている。さすが、沖縄の人達の自然景観にたいする思いの強さが伝わってくる。

「河川の護岸は、国の多自然川づくり方針に沿って、生態系や景観に配慮した防災工法を提案しています。護岸の石が取れないのは一個の自然石の下は防錆加工された金網に錆びないアンカーで固定され連結されているからです。このストーネット工法は22年間主に中小河川護岸で地域の人々の環境と防災に役立っています。沖縄の北谷(ちゃたん)町の海岸にヒルトンホテルさんが、昨年7月ヒルトン沖縄北谷リゾートをオープンしました。
コンクリートの防波堤と消波(しょうは)ブロックが見えて、景観がリゾートとしてふさわしくないということで、私どものストーネイキング工法とエスタロック工法が事業主体の北谷町でご採用頂き、景観が大きく改善されました。
ストーメイキング工法はサンゴでできた沖縄の自然石パネルで防波堤の壁面を修景する方法。エスタロック工法は一個600㎏程度の石を平型の自然石塊にして従来の消波ブロックと同じ効果があり、サンゴの着床に良い形状となっている製品です。
防波堤のストーンメイキング工法は沖縄の恩納村(おんなそん)の漁港で使った実績があります。」

同社の技術力は、海を渡って異国にも影響を与える。

「韓国では私どもが出資した会社が事業展開をしています。河川ではソウル市のチョンゲソンを初め私達が開発した自然石を活用した工法で多自然工法市場の大部分を占めていると聞いています。台風被害のあるアジアの国に技術を広めていきたいですね。」

自然環境に配慮しつつ、景観美までも演出してしまう防災工法。自然の「石」を使い、「鳥」や動植物が宿るまさに一石二鳥なのである。

環境に配慮した防災技術と再生可能エネルギーは永遠の開発テーマ


茨城県鬼怒川の堤防が決壊し、氾濫(はんらん)した災害は記憶に新しい。同社では環境に配慮した自然災害のない安全な生活環境づくりを目指す。

「防災技術では、水が循環するフィールドで考えています。海洋から水蒸気へ、雨となり山から川へ、大地を潤し、再び海洋への水の循環がありますよね。
この循環における自然環境と自然災害に役立つ技術開発と普及に集中するつもりです。そして、異常気象を起こす地球温暖化の防止を目指し、再生可能エネルギー技術の活用と普及に尽力したいと考えています。
資本主義・自由主義の厳しい市場競争の経済社会にあっても、地球環境や市民社会社に価値のある創造に取組む企業として成長していきたいと思います。」

若者へ向けてメッセージを頂いた。

「もっと海外に行って自分の目で見て現地の人と接触してほしい。特に最近の男性に。国内に居るだけの物の見方や考え方を心配します。それと国内外の歴史に関する本を読んでほしい。それは、人間成長のベースになります。」


編集=勝野・山崎

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