リンク・パワー株式会社
木庭 稔雄
POSTED | 2016.10.12 Wed |
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TAGS | 従業員数:5人以下 業種:その他 創立:15年以上 決裁者の年齢:その他 商材:その他 |
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つながりのパワーで、より良い社会に。
百戦錬磨の金融マンが、非接触搬送システムに込めた想いとは。Topics
リンク・パワー株式会社 社長 木庭 稔雄氏のONLY STORY
友の技術に夢を感じて起業。
「特許申請中の非接触搬送システムを世に広めたい。力を貸してもらえないだろうか」貿易研修センターで出会った友人から声をかけられたのが49歳の時。
14年勤めた日興證券を早期退職し、セカンドキャリアを模索していた頃でした。
東京大学を卒業後、日興證券に入社し、オランダ日興銀行取締役、英国日興銀行審査部副部長、スイス日興銀行執行役員など、海外を中心にキャリアを重ねてきた私。現地法人をゼロから立ち上げて、銀行ライセンスを取得するなど、濃厚なサラリーマン人生を送ってきたと思います。
ですから、日本の証券業界が変革期に入り、日興證券の海外部門撤退が決まった時も、「日本の職場に戻って働くより、まったく新しい道を進んでみよう」と早期退職を選んだ経緯がありました。
長らく金融畑を歩んできた私にとっては、友人の話す非接触搬送システム「ベルヌイチャック」という技術は、全くの畑違い。
正直に言えば、将来性があるかどうかも不透明でしたが、「なんだか夢があるな」と感じたんです。
私は先を見る勘みたいなものは鋭い方で、どちらかと言えば、石橋をこつこつ叩くよりも、興味の赴くままにエイヤッと渡ってしまうタイプ。
証券会社を選んだ時も、それ以前の人生も、ひらめきを信じて進んだ先では、たくさんの面白い経験をしてきました。
新しい技術を研究・開発し、世界中にその価値を伝え、広めていく。
そこに私が持っている金融の知識や経験が活かせたら面白い。
そうした思いから、大手ゼネコンに勤めていたもう一人の友人にも声をかけ、それぞれの得意分野を活かしたリンクパワー株式会社を立ち上げたんです。
非接触搬送システム「ベルヌイチャック」は友人が開発した技術でしたから、当初は友人が社長を務め、私たちも経営が波にのった時点で、彼に会社を完全に譲渡するつもりでいました。
ところが、会社と友人の間で特許への考え方が少しずつ食い違うようになってしまって。
残念ながら、友人は会社を辞めてしまいました。
その時点で、私は会社に2度の増資をしていましたし、リンクパワーが持つ特許権を放棄するわけにもいきません。そこで私が社長を引き継ぐ事になったんです。
非接触搬送システムで生産現場の課題を解決。
リンクパワーの主な事業は、新築の元請けを中心とした建築部門と、非接触搬送システムの製造・販売を行うイノベーション部門です。
まず、リンクパワー設立のきっかけとなった、非接触搬送システム「ベルヌイチャック」
について少しご説明すると、この技術は主に、人工衛星に付ける太陽電池のパネルの搬送などに使われています。
生産ラインで搬送に使われる「チャック」は、従来はエアーを吸い込むバキューム方式や旋回方式が主流なのですが、太陽光電池のパネルが薄くて小さいものなので、割れたり傷がついたりして、ロスができてしまうんです。
弊社の開発したベルヌイチャックなら、風を強く吹き出した時に生まれる気圧差を使い、非接触で吸着できますから、傷や汚れを付けることなく、安定して搬送できます。
また、板状だけでなく、穴が空いたもの、極薄のもの、極小のものまで、幅広いワークに対応できます。製造現場の課題解決や、エアーの無駄を省くことで、エコに貢献することもできるんです。
売上げの9割以上を占める建設部門では、オフィスビルやクラブハウス、レストラン、居住マンションなど、幅広い建物の新築・改修・内装工事などを手がけています。
特に印象深かったのは、(株)空間研究所の篠原聡子先生設計・監理の7人用シェアハウス「SHAREyaraicho」を2012年に施工を担当させていただいたことですね。
2014年日本建築学会賞に選ばれたと、篠原先生の事務所からご連絡を頂いた時は、大変胸が熱くなりました。
また、歌舞伎座の設計改修や国立競技場コンペでも話題になった、隈研吾先生の案件も一部手がけさせていただいていることも大変な誇りです。
隈研吾先生のような方とお取り引きをさせていただける建設会社は本当に限られていますから。
いろんな力とリンクして、役立つ企業へ。
リンクパワーを立ち上げてから、もう11年。
金融畑を歩んできた自分が、まさか建設会社の社長になるなんて。
本当に、人生と言うのはわからないものです。
これまで私が会社を続けて来られたのは、共同創業者である友人たちや社員、お客様などとの縁があってこそ。
私一人の力でできたことなんて、何ひとつありません。
会社を立ち上げた当初は経営に苦労もしましたし、その時々で経営課題にぶちあたってきましたが、その都度誰かに助けていただきながら今日までやって来られました。
開発には夢があります。非接触搬送システム「ベルヌイチャック」は、何か人の役に立つことができるんじゃないかと思っています。
可能性はまだまだ追求していきたいですね。
社名にもありますが、これからもたくさんの力とリンクし、誰かのお役に立てるパワーを生み出していければと思っています。