株式会社湯佐和

湯澤 剛

いきなり借金40億円。でも人生は何とかなる!

父の会社を5年で再生。窮地を乗り越え辿り着いた思いとは。
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株式会社湯佐和 社長 湯澤 剛氏のONLY STORY


株式会社湯佐和 代表取締役 湯澤剛様~
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1962年、神奈川県鎌倉市生まれ。私立山手学院高等学校から早稲田大学法学部に進学。
卒業後、キリンビール株式会社に入社。
国内ビール営業を経て、人事部人材開発室ニューヨーク駐在、医薬事業本部海外事業担当などに従事。
1999年、創業者であった父の急逝により株式会社湯佐和を引き継ぐ。
40億円という莫大な負債を抱え倒産寸前の会社を心身ともにボロボロになりながらも16年かけて再生。
現在は神奈川県下で、14店舗の飲食店を経営し、「人が輝き地域を照らし幸せの和を拡げます」という経営理念の実現に邁進している。
経営学修士、認定レジリエンス・トレーニング講師。
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安定から一転。なし崩しで始まった社長人生。


「お父さんの会社には、40億円の借金があります」。
そう言われたら、あなたは跡を継ぎますか?
株式会社湯佐和の創業者であった父は、1999年1月に突然亡くなりました。

当時私は、大手ビールメーカーに勤め、海外事業にも携わるなど充実した毎日を過ごしていました。

そこに突然突きつけられた事業継承の話。
「絶対に継ぎたくない!」と、心底思いましたね。

そもそも私は、小さい頃から父の事業を継ぎたくなかったんです。
飲食店の経営なんて、大変そうにしか思えませんでしたから。

でも私が会社を継がなければ、60歳の母が継がされてしまう。
会社の事務員さんに縋られ、周囲には勝手に社長とみなされ…。
なし崩しでの社長就任でしたね。

いざ会社を見てみるとボロボロでした。
何しろ、店舗数33店舗、20億円という売上げの一方で、借金が40億円もあったんです。
1ケ月の返済が、元本と利息だけで3000万円。
資金は回っておらず、金融機関の人から「完済まで80年はかかりますね」と軽く言われました。

また、流れ者ばかりの板前のモラルも低く、金銭的な不正も横行していたんです。
でも、辞められてしまったら店が立ち行かなくなりますから、クビにしてもおかしくない相手に頭を下げ、毎日資金繰りに追われ、ぐちゃぐちゃな状態で1年を過ごしました。

そうしたら、ある日発作的に地下鉄に飛び込みそうになって…。
こんなことを続けていたら、いつか本当に飛び込むかもしれないと怖くなりましたね。
借金40億円、完済まで80年なんて、どんなに努力したって結果は見えないのですから、5年間だけ頑張り抜こうと決意しました。

経営の目的を借金の返済ではなくプロセスに切り替えたことで、ようやく一歩を踏み出すことができたんです。

まずは一点突破を狙い、平成12年6月に戸塚店をリニューアルしました。
若者や女性、ファミリーに好まれる、洒落た雰囲気の居酒屋を目指したのですが、これが大失敗。本来の客層であった中高年の男性客まで失ってしまいました。

そこで、今度は中高年の男性客に絞って店を構築しなおしたんです。
これが成功へのカギになりましたね。
戸塚店を皮切りに順々に他店を切り替え、売上げは順調に上がっていきました。

ところが問題が起きました。
当時利益の30%を占めていた吉野家事業が、狂牛病騒動で低迷してしまったんです。
私は、居酒屋の利益でカバーしようと必死になり、平成18年12月には過去最高の利益を出すことができたのですが、利益を追求しすぎた結果、社員は追い込まれ、疲弊しました。

食中毒、ベテラン社員の病死、厨房火災と、3ケ月の間に事件が立て続けに起こってしまったんです。

明らかに、私の無茶な経営が原因でした。
これからは、一緒に働いている仲間と成長して幸せになりたい。
そして地域に必要とされる存在になりたい。そう思いましたね。

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規模をあえて抑え、エリアを絞る。


弊社では、神奈川県東部に限定して、合計14店舗を出店しています。
普通、魚が水揚げされてからお店に届くまで3〜4日はかかります。

うちは三浦半島の2つの漁港の競り権を持っていますから、朝穫った魚を、早ければ当日の夜には店に出すことができるんです。

出店エリアも限定していますから、物流コストも抑えられます。
全国展開をしている大手は、このやり方はまずできません。

私は、中小企業ならではの強みを活かして社会貢献ができると信じています。
社員が自ら考えて、自発的に行動し、成長できる環境を整えてあげる。
そうすることで社員がやりがいを持って働けるようになり、より良いサービスを生み出し、ひいては地域全体の幸せにつながります。

また、中小企業は「社会の一隅を照らす」という役割を担っています。
拡大よりも深化ができるのは、中小企業だからこそ。
ニッチなマーケットに対して人生をかけている中小企業は、大企業に負けない社会貢献ができると思うんです。

2030年には、若い世代が減少しマーケットが小さくなります。業界は同質化し、価格競争が起こる。
その時に、特定の分野に深化できる中小企業は、強いと思いますね。

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中小企業として生き残る。“拡大しない”意味とは。


今後の目標はとにかく“拡大しない”ことです。

今のところ、20店舗20億円までは展開するけれど、それ以上は拡大をしないと決めています。というのも拡大のために注いでいた力を、今度は質的な向上に使いたいのです。

ここでいう質というのは弊社で働く従業員が
どこまで幸せに生活を送れるかということです。

弊社では前述した通り、利益を追求しすぎた事によって、従業員が疲弊してしまった過去があります。

その時に、利益よりも、従業員の豊かな働き方をサポートするべきだと気付きました。

「物理的な豊かさ」として、報酬や休日の面で満足してもらう事。
「精神的な豊かさ」として、社会に貢献しているという実感や、やりがいを持って働く事。それらができる環境を整えていこうと。

精神的な豊かさの例として、弊社では「成長」を重視していますので、自分が去年よりも今年、今年よりも来年成長していることを実感できるような仕組みを模索中です。

具体的には、1年で一人前の料理人になるプログラムを作っていきたいです。

現状、弊社で一人前の料理人になるためには、板前の修行に5年も10年もかかり、やっとのことで一人前になるのが普通です。
しかし1年で、料理人として一人前になることができれば、早いうちからお客様に対して、本当に必要とされる商品、いいサービスを提供することができ、やりがいを感じることができると思うんです。

それと同時に、お客様の喜んでいる顔や声にも触れることができ、さらに誇りを持って働くことができるようになる。

そしてその結果、1店舗1店舗の売り上げと収益が最大化して、会社としても増収につながり、従業員のために還元することが可能になると考えています。

このように従業員一人一人が成長を実感しながら仕事をしていることが、会社やお客様様、本人のための幸せにつながると思っています。

そして最終的に、飲食業界ではナンバーワンの労働条件を
実現していけたら嬉しいです。

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