有限会社WEDIA
森田 弘文
POSTED | 2018.10.04 Thu |
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TAGS | 従業員数:6~10人 業種:卸売業・小売業 創立:15年以上 決裁者の年齢:その他 商材:BtoC |
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時代を超え、オリジナルTシャツ製作にかけた30年
時代を先読みしITを組み合わせた新たな市場の開拓へTopics
今回は、音楽業界の想いを胸にオリジナルTシャツの製作事業を行っている有限会社ウェディアの代表取締役である森田 弘文氏にお話を伺います。
創業の経緯から想いの詰まった事業の特徴、さらには今後の展望までお聞きしましょう。
有限会社ウェディア 代表取締役 森田 弘文氏のONLY STORY
音楽業界の側で仕事をするために、プリントTシャツに興味を持つ
私は実家が布団屋を営んでいて、両親が商売をやっている姿を幼いころから見ていたので、「将来的には自分も事業を始めるだろう」と無意識に思いながらで生きてきました。
自分の性格的にも他人と同じことをしたくないという想いがあったので、大学生の頃も就職活動はほとんどせず、一般的な企業に就職という過程は経ていません。社会の中でビジネスを学んだわけではなく、ほとんど独学でビジネス方法を模索してきましたね。
1980年代のはじめ、私が大学4年生のときに兄と2人でプリントショップを水戸で立ち上げたことから、会社の経営は現在に至っています。その少し前、年代で言うと1975年頃に、アメリカからオリジナルTシャツを作るという文化が入ってきました。当時は業者も、需要もほとんどない状況だったのですが面白そうだと思ってビジネスをはじめたんです。
今でこそ個人でオリジナルTシャツを作ることもあまり珍しくなくなりましたが、当時は非常に顧客が限られていましたね。例えばSMAPがデビューする際にTシャツを作りましたが、歌手やミュージシャンが新譜を出す際に販促グッズとしてTシャツを作っていたので、音楽会社や広告代理店が顧客の中心でした。
一方、Tシャツのプリントというところに着目した理由としては、私が大学時代に音楽サークルに所属していて、音楽業界の近くで仕事がしたいという想いがあったことも挙げられますね。そのため、CDなどの販促品としてテレフォンカードが流行り始めると、私たちもそれを作りました。テレカはプリントという括りではありませんでしたが、販促品を扱う業者としてのスキルを上げたかったからです。
とはいえ、Tシャツプリントはずっと続けていましたね。当時はまだファッションとしてのTシャツはあまり注目を集めていませんでしたが、いずれ老若男女が着る時代がくると見込んでいました。
現在の顧客を大切にしつつ、BtoBからBtoCへ
有限会社ウェディアは、現在もオリジナルTシャツの作成一本で事業に取り組んでいます。
バブルのころにアパレルの一大ブームが来て、裏原宿系などのファッションが大きく伸びた際に有限会社ウェディアはアパレルの技術の方を伸ばした。そういうわけで、より複雑で美しい柄をプリントできるという点がひとつの特徴です。
その後バブルが弾けて、100社くらいあった競合が有限会社ウェディアを残してゼロになりました。ユニクロなどの低価格ブランドが誕生し、時代の変化にあわせて私たちも2011年にリニューアルをかけたんです。
創業時から、顧客は企業がメインのBtoBに取り組んでいたのですが、一般の人を相手にしなければ立ちゆかないということでBtoCに切り替えました。それこそ、高校生のクラスTシャツを作るようなノウハウもあるので、今後は工場を分けてそちらにも対応していこうと思っています。
今では一般的に学校祭などで作るような「クラスTシャツ」なんて30年前にはほとんど存在しなかったのですが、これは今飛躍的に伸びている市場です。それと同じように、この業界にはまだまだ潜在的な市場があるはずなので、そこを掘り起こしていきたいと考えています。
その上で、BtoBだけでは厳しいとはいえ、音楽業界は今もTシャツ作りは活発なので、やはりそちらも大事にしていきたいですね。例えばあるバンドのツアーがあって、Tシャツがあっという間に売れてしまって明日にでも追加がほしいというような状況は珍しくありません。
やはり私自身、音楽が好きという気持ちが大きいので、これからも音楽業界に対して貢献していきたいと思います。
ITを導入したオンデマンドでの市場開拓を目指す
創業時からずっとBtoBとBtoCの垣根の問題は抱えつつ現在まで事業を続けてきましたが、今後はBtoBよりにやってきたシフトはそのままで、長岡の営業所にBtoCの部分を担当してもらうようにしていきたいと思います。それが軌道に乗ればきちんと工場をわけて、BtoCに特化した設備をきちんと整えたいですね。
一方で、長期的なスパンとして考えなければならないのは、事業継承の問題です。今の業界の中での会社の立ち位置を見ても、私の体力が尽きたときに事業を辞めるというわけにいきません。その問題を5年以内に解決していきたいと思います。
また、私個人としては、30年間この業界にいるので業界に対する恩返しを会社としてやっていきたいという気持ちもありますね。どんどん市場が変わっていく今の業界で、私は過去のものを壊して、新しいことに取り組まなければならないという使命を感じています。
新しいビジネスモデルについて言えば、例えばネットシステムの構築があげられます。Tシャツ大国であるアメリカのメーカーは、ほとんどのオリジナルTシャツをオンデマンドで作っています。もちろん日本にもその技術はあるのですが、まだ導入している企業は少ないのが現状です。
しかし今後10年の間で、その技術を日本の会社も取り入れていくし、それによって市場はさらに変化を見せていくでしょう。有限会社ウェディアがその先駆けとなれるように、ITなどを組み合わせたオンデマンドでの市場の開拓を行っていきたいと思います。