監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
新しい取引先に提案したくても、会う約束が取れなければ、話を聞いてもらう場がありません。
アポ取りとは、商談や打ち合わせの機会を得るために、相手と会う日時を約束する営業活動です。
手段の選び方と、連絡してから日程が決まるまでの流れ、電話とメールで使える言い方を確認しましょう。
アポ取りとは
アポ取りとは、商談や打ち合わせのために、相手と会う日時を前もって約束することです。
アポは「アポイントメント(appointment)」を略した言葉で、面会の約束や予約を意味します。
アポを取って会う場で、取引について話し合うのが商談です。
会う日時を前もって決めておけば、相手は話を聞く時間を空けておけ、こちらも相手に合わせた資料を用意できます。
アポ取りの手段と選び方

アポ取りの主な手段は、電話、メール、問い合わせフォーム、手紙、紹介の5つで、相手との接点の有無と、誰に会いたいかで選びます。
5つの手段の向き不向き
手段ごとの向いている場面と、気をつけることは、次のとおりです。
| 手段 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 電話 | 相手の反応を聞きながら、その場で日程まで決めたいとき | 相手の手を止めるため、忙しい時間帯を避ける |
| メール | 名刺交換などで、相手のメールアドレスが分かっているとき | 知らない会社からのメールは開かない人もいる |
| 問い合わせフォーム | 電話番号やメールアドレスが公開されていないとき | 営業の連絡を断っているフォームには送らない |
| 手紙 | 会いたい決裁者の役職と氏名が分かっているとき | 届いたころに電話をかけ、読んでもらえたかを確かめる |
| 紹介 | 取引先や知人に、相手との共通の知り合いがいるとき | 会えたら、紹介してくれた人に報告とお礼をする |
電話番号を公開していない会社には、問い合わせフォームから連絡できます。
株式会社FUTUREWOODSが企業サイトのある国内企業5,000社を調べた結果では、2021年以降に設立された会社の3社に1社以上が、電話番号を公開していませんでした。
一方、問い合わせフォームは設立年にかかわらず80%以上の会社が置いていて、メールアドレスを公開している会社は約30%でした(2025年10月公表)。
出典:株式会社FUTUREWOODS「新興企業の36%が電話番号非公開 – 5,000社調査で判明した営業手法の転換点」
接点のある相手から連絡する
名刺を交換した相手や、紹介を受けられる相手のように、すでに接点のある相手から連絡すると、アポが取りやすくなります。
株式会社ラクスが、BtoBの中小企業で営業の管理職をしている300名に聞いた調査では、新規開拓で使っている手法は「既存顧客や知人からの紹介」が60.7%で最も多くなりました(2025年10月)。
最も商談につながっている手法として「紹介」を挙げた人も、52.0%いました。
出典:株式会社ラクス「中小企業の新規開拓に関する実態調査:実践率6割・成果率5割の「紹介」が招くジレンマ」
手紙と電話で延べ400社以上を支援してきたオンリーストーリーでは、アポ率(連絡した相手のうち、アポが取れた割合)の目安を1〜2%に置いています。
名刺を交換したことのある相手に送った手紙では、115通で5件のアポが取れ、アポ率は4.35%と目安を上回りました。
アポ取りの流れ
アポ取りは、相手を調べて用件をまとめる、名乗って用件を伝える、候補日を示して日程を決める、確認の連絡をする、の4つの手順で進めます。
手順1 相手を調べ、用件と候補日を決める
連絡する前に、相手の会社の事業内容と、会いたい人の部署と役職を、企業サイトなどで調べておきます。
用件は、相手のどんな困りごとに、何を提案したいのかを、1〜2文で言えるようにまとめます。
面談の候補日も、2〜3つ決めておきます。
電話をかけるときは、短時間で用件を済ませられるように、準備をしてからかけるのがビジネスマナーの基本です。
手順2 名乗ってから、用件と所要時間を伝える
最初に社名と氏名を名乗り、続けて、何の件で連絡したのかを結論から伝えます。
用件と一緒に、面談にかかる時間(30分など)を伝えると、相手は予定を空けられるかをすぐに考えられます。
手順3 候補日を示し、日程と面談の方法を決める
日程は、こちらから候補日を2〜3つ示し、相手に選んでもらいます。
相手に一から日程を考えてもらうより、示された中から選ぶほうが、返事の手間が少ないためです。
面談を訪問とWeb会議のどちらで行うかも、相手に確かめます。
HubSpot Japanが、法人営業を受けたことがある515名に聞いた調査では、訪問型の営業を好む人が40.4%、訪問しない営業を好む人が26.8%でした(2025年10月)。
残りの32.8%は、どちらでもよいと答えています。
出典:HubSpot Japan株式会社「日本の営業に関する意識・実態調査2026」
日程が決まったら、日付・曜日・時刻と面談の方法を復唱し、聞き違いが無いかを確かめます。
手順4 確認のメールを送り、前日にも連絡する
日程が決まったら、その日のうちに、日時と面談の方法(訪問先の住所やWeb会議のURL)を書いたメールを送ります。
前日にも同じ内容を送っておくと、日時や場所の行き違いがあっても、面談の前に気づけます。
電話でアポを取るときの言い方

電話では、受付で担当者につないでもらったら、社名と氏名を名乗り、用件と所要時間を伝えてから候補日を示します。
電話のトーク例
初めての会社に、面談をお願いする電話の例です。
受付に名乗る:「お忙しいところ恐れ入ります。株式会社〇〇の〇〇と申します。営業部で新規の取引をご担当の方はいらっしゃいますでしょうか。」
受付で用件を聞かれたら:「〇〇業の会社様向けに、新規開拓の進め方をご案内したく、お電話いたしました。ご担当の方に、2〜3分ほどお時間をいただけないでしょうか。」
担当者が不在なら:「承知いたしました。改めてお電話いたしますので、お戻りの時間をうかがえますでしょうか。」
担当者に名乗る:「突然のお電話失礼いたします。株式会社〇〇の〇〇と申します。今、少しお時間よろしいでしょうか。」
用件を伝える:「〇〇業の会社様で新規の問い合わせを増やした進め方を、30分ほどでご紹介できないかと思い、お電話しました。」
候補日を示す:「来週の火曜日の午後か、木曜日の午前はいかがでしょうか。」
復唱する:「それでは、〇月〇日(木)の10時から30分、Web会議でお願いいたします。URLは、このあとメールでお送りします。」
お礼を言う:「お忙しいところ、ありがとうございました。」
担当者には、「今、少しお時間よろしいでしょうか」と都合を聞いてから用件に入ります。
断られたときの返し方
断られたときは、理由に合わせて、次に連絡する日時や方法を決めてから電話を切ります。
「今は忙しい」と言われたら:「失礼いたしました。改めてお電話いたしますので、ご都合のよい時間をうかがえますでしょうか。」
「資料を送ってください」と言われたら:「承知いたしました。資料をお送りしたうえで、〇日ごろに一度、ご感想をうかがうお電話をしてもよろしいでしょうか。」
「今は必要ない」と言われたら:「承知いたしました。差し支えなければ、次にご連絡してよい時期を教えていただけますでしょうか。」
営業メールで商談をしなかった人に理由を聞いた調査でも、「今は必要ないと感じたから」が26.5%で、2番目に多い理由でした(2026年2月)。
出典:株式会社ラクス「商談につながるメールとゴミ箱行きのメールは何が違う?調査で判明した『選ばれる1通』になるための条件」
断られた理由は記録しておき、営業先のリストや用件の伝え方を見直すときに使います。
電話をかける時間帯
電話は、始業から30分、昼休みの前後、終業前の30分といった、相手が忙しい時間帯を避けてかけるのがマナーです。
ただし、決裁者に限ると、12時台につながりやすいという集計もあります。
ヴァンテージマネジメント株式会社が、手紙を送った後に決裁者へかけた電話80,248件を、時間帯別に集計した結果があります(2025年8月〜2026年8月)。
話せた割合が最も高いのは12時台の42.1%で、最も低いのは17時台の11.5%でした。
出典:ヴァンテージマネジメント株式会社「決裁者に電話がつながりやすいのは12時台 42.1%」
決裁者に電話をかけるときは、話せた時間帯を記録しておき、つながりやすい時間帯を自社で確かめます。
メールと問い合わせフォームでアポを取るときの書き方

メールと問い合わせフォームでは、件名と冒頭で送り主と用件を伝え、本文に相手が得ることと所要時間、候補日を書きます。
件名と冒頭で、誰から何の件かを伝える
仕事でメールを使う人は、1日に平均46.49通のメールを受け取っています(2026年4月)。
出典:一般社団法人日本ビジネスメール協会「ビジネスメール実態調査2026」
株式会社ラクスが、営業メールをきっかけに商談をしたことがある503人に、そのメールを開いたきっかけを聞いた調査があります(2026年2月)。
最も多かったのは「差出人の企業名や個人名に覚えがあったから」の39.4%で、「件名に興味を持ったから」の34.4%が続きました。
反対に、商談をしたことがない506人が挙げた理由で最も多かったのは、「知らない企業・担当者からのメールは開かないと決めているから」の30.0%でした。
「件名をみて自社には関係のない内容だと感じたから」も、23.7%ありました。
出典:株式会社ラクス「商談につながるメールとゴミ箱行きのメールは何が違う?調査で判明した『選ばれる1通』になるための条件」
件名には、社名と、相手に関係のある用件を入れます。
展示会などで会ったことがあれば、件名か冒頭の1文で、いつどこで会ったかを伝えます。
本文に、相手が得ることと事例を書く
株式会社ラクスの調査では、メールをきっかけに商談を決めた理由は、「提供される情報の内容が有益だと感じたから」が32.2%で最も多くなりました(2026年2月)。
次いで、「提示された課題解決策が自社に合致していたから」が28.4%、「具体的な導入事例や実績に魅力を感じたから」が22.5%でした。
出典:株式会社ラクス「商談につながるメールとゴミ箱行きのメールは何が違う?調査で判明した『選ばれる1通』になるための条件」
本文では、自社の商品の説明より先に、相手の困りごとがどう変わるかを書き、似た会社の事例があれば添えます。
最後に所要時間と候補日を書いておくと、相手はそのまま返事ができます。
初めて連絡する会社に、面談をお願いするメールの例です。
件名:〇〇業の新規開拓のご相談(株式会社〇〇 〇〇)
株式会社△△ 営業部 部長 △△様
突然のご連絡失礼いたします。株式会社〇〇の〇〇と申します。
御社のWebサイトで、〇〇の事業を広げていらっしゃると拝見し、ご連絡いたしました。
弊社は〇〇業の会社様の新規開拓をお手伝いしており、同じ業界の会社様では、半年で問い合わせが〇倍になった例があります。
その進め方を、30分ほどでご紹介させていただけないでしょうか。
ご都合のよい日時を、次の中からお選びいただけますと幸いです。
・〇月〇日(火)14時〜17時
・〇月〇日(木)10時〜12時
Web会議でも、御社に伺う形でもかまいません。
株式会社〇〇 営業部 〇〇(電話番号・メールアドレス)
問い合わせフォームで送るとき
問い合わせフォームでは、メールと同じ本文を、フォームの入力欄に合わせて送ります。
フォームに「営業目的のご連絡はご遠慮ください」のような断り書きがあれば、送りません。
資料を見てほしいときは、資料を置いたWebページのURLを本文に書きます。
返事が無ければ、電話で届いたかを確かめる
送ってから3営業日ほどたっても返事が無いときは、電話で届いているかを確かめます。
電話では、送った日と件名を伝えると、相手がメールを探しやすくなります。
決裁者とのアポを取るコツ
決裁者とのアポを取るには、用件を相手の経営課題につなげたうえで、紹介や本人あての手紙のように、本人に届く経路で連絡します。
用件を、決裁者の課題につなげる
オンリーストーリーが決裁者約1,000名から集めた調査では、業種・規模・役職のどれで分けても、課題の1位は新規開拓でした。
回答者の83.3%は、代表・CEOか取締役・役員です。
(出典:株式会社オンリーストーリー「決裁者約1,000名のリアル購買ニーズ調査レポート」2026年5月)
用件の1文目では、自社の商品が、相手の売上や新規開拓にどうつながるかを伝えます。
決裁者の多くが課題に挙げる話題から入ると、相手は自分に関係のある連絡だと受け取れます。
本人に届く経路を使う
オンリーストーリー代表の平野は、アポの取り方では、紹介と自社への問い合わせが1番強いと話しています。
紹介を頼める共通の知り合いがいないときは、宛名に役職と氏名を書いた本人あての手紙を送り、届いたころに電話をかけます。
電話では、手紙を送った者だと名乗れば、用件の説明を短くできます。
まとめ
アポ取りは、商談の場をつくるために、相手と会う日時を約束する営業活動です。
手段は、相手との接点の有無と会いたい人に合わせて、電話・メール・問い合わせフォーム・手紙・紹介から選びます。
どの手段でも、名乗りと用件、所要時間を先に伝え、候補日を2〜3つ示すと、相手が返事をしやすくなります。
決裁者に会いたいときは、相手の経営課題につながる用件にして、本人に届く経路で連絡しましょう。
よくある質問
Q. 「アポ」は相手に使ってもよいですか?
A. 「アポ」は「アポイントメント」を略した言葉なので、相手には「お打ち合わせのお時間」のように言い換えると丁寧です。
電話でもメールでも、「〇〇の件で、30分ほどお時間をいただけないでしょうか」のようにお願いします。
Q. 初回の面談は何分でお願いしますか?
A. 初回は30分ほどでお願いすると、相手が予定を空けやすくなります。
話が進んで詳しい説明が必要になったら、次の面談で時間を取り直します。
Q. 当日のアポをお願いしてもよいですか?
A. 相手の予定を急に押さえることになるため、急ぐ理由があるときに限り、翌日以降の候補日も添えてお願いします。
相手から「今日なら空いている」と言われたときは、その場で受けてかまいません。
Q. 日程の変更を頼まれたらどうしますか?
A. すぐに新しい候補日を2〜3つ示し、決まったら、日時と面談の方法を書いた確認のメールを送り直します。
相手に一から日程を考えてもらわずに済むよう、変更のときも、こちらから候補日を出します。
Q. アポ取りは外部に任せられますか?
A. テレアポ代行(電話でのアポ取りを請け負う会社)や営業代行の会社に、電話をかけてアポを取るところまでを任せられます。
任せるときは、アポの件数だけでなく、会えた相手が狙った会社の決裁者だったかも確かめます。
🎯 決裁者と直接つながれる「チラCEO」
電話・メール・問い合わせフォームのいずれも受付で止まる場合、経営層に直接メッセージを送れる方法があります。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。



