最終更新日: 2026.11.02
CRMツールとは?選び方と費用の計算例、無料期間で試す5つのこと

CRMツールの意味と、HubSpot・Salesforce・Zoho CRM・kintoneの無料で使える範囲と料金を解説します。7人で1年使う場合の費用の計算例と、無料期間に試す5つのこと、契約の前に確かめるデータの保存場所も紹介します。

監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)

顧客の情報を営業担当ごとの表計算ソフトや名刺で管理していると、担当が替わったときに経緯が引き継がれず、連絡すべき相手を見落としてしまいます。

CRMツールとは、顧客の情報と、商談や問い合わせなどのやり取りの記録を1か所にまとめ、社内で共有するためのソフトウェアです。

無料で使える範囲と費用の比べ方、自社に合うツールを選んで試す手順を確認しましょう。

この記事の要約

  • CRMツールは、顧客ごとの情報とやり取りの記録をまとめ、担当が替わっても引き継げるようにするソフトウェア。
  • 費用は1人あたりの月額だけでなく、最低ユーザー数と契約期間を含めて、使う人数の1年分で比べる。
  • 候補を2〜3つに絞り、無料期間に名刺の取り込みや記録の書き出しを試してから契約する。

CRMツールとは

ノートパソコンを片手に持ち、もう片方の手の人差し指を立てている女性

CRMツールとは、顧客の会社や担当者の情報と、これまでのやり取りの履歴を、顧客ごとにまとめて管理するソフトウェアです。

CRMは「Customer Relationship Management」の略です。

担当者の手元にあった顧客の情報を社内で共有しておけば、担当が替わっても、相手とのこれまでの経緯を引き継げます。

CRMツールでできること

CRMツールでできる主なことは、次のとおりです。

  • 顧客の管理:会社名・担当者・連絡先と、これまでのやり取りを、顧客ごとにまとめる
  • 問い合わせの管理:問い合わせの内容と、その後の対応を記録する
  • メールの配信:登録した顧客に、まとめてメールを送る
  • 集計と見通し:商談の進み具合や売上の見込みを、レポートにして社内で共有する
  • ほかのソフトウェアとの連携:メールやカレンダーなどのソフトウェアと、データをやり取りする

SFA・MAツールとの違い

CRMツールは顧客との関係の全体を、SFAは今進んでいる商談を、MAツールは商談の前の見込み客を主に扱います。

ツール主に管理するもの主に使う場面
CRMツール顧客ごとの情報と、やり取りの履歴受注の前から後まで顧客との関係を続け、契約の更新や追加の提案にもつなげるとき
SFA(営業支援ツール)商談の進み具合と、受注の見込み商談から受注までの営業を管理するとき
MAツール見込み客の情報と、メールやWebサイトへの反応見込み客を集めて育て、購入の意欲が高まった相手を見つけるとき

SFAが受注までの商談を追うのに対し、CRMツールは、受注のあとも続く顧客との関係を記録します。

1つのツールでCRMとSFAの機能を兼ねるものもあるため、ツールの名前より、何を管理したいかで選びます。

CRMツールの種類と無料で使える範囲

CRMツールは、無料プランから始められるもの、営業やマーケティングの機能まで一体のもの、自社で項目や画面を作るものに分かれます。

HubSpot・Salesforce・Zoho CRMには、無料で使えるプランがあります(2026年10月時点)。

管理の方法ごとの向いている場面

顧客の管理を表計算ソフトのまま続けるか、どのタイプのCRMツールにするかは、使う人数と、記録したいことで決めます。

管理の方法向いている場面気をつけること
表計算ソフト(Excelなど)少人数で顧客の一覧を持ち、同じファイルを同時に書き換えることが少ないときやり取りの記録や次の連絡日は、各自が手で入れて確かめる必要がある
無料プランがあるCRMツール2〜3人で、顧客の一覧とやり取りの記録をまとめ始めたいとき使える人数と機能に上限があり、人数が増えると有料のプランに移る
営業やマーケティングの機能まで一体のCRMツール商談の進み具合やメールの配信も、同じ顧客の記録で管理したいとき上位のプランほど機能が増え、1人あたりの料金も上がる
自社で項目や画面を作るツール(kintoneなど)業種に特有の項目を、社内で使っている言葉のまま管理したいとき項目と画面を作る担当者と、作る時間がいる

今は表計算ソフトで管理していて、担当が替わるたびに経緯が分からなくなるなら、無料プランで2〜3人から試すと、費用をかけずに始められます。

代表的なツールの無料の範囲と料金

代表的なCRMツールの、無料で使える範囲と有料プランの料金の例は、次のとおりです(2026年10月時点)。

ツール無料で使える範囲有料プランの料金の例
HubSpot最大2人のユーザーと1,000件のコンタクトまでStarter:1シートあたり月額1,800円から(新規の契約が対象)
SalesforceFree Suite:最大2ユーザーまでStarter Suite:1ユーザーあたり月額3,000円(月払いか年払い)
Zoho CRM無料プラン:3ユーザーまでスタンダード:1ユーザーあたり月額1,760円(税抜き)
kintone無料のプランは無く、30日間の無料のお試しがあるスタンダードコース:1ユーザーあたり月額1,800円(税抜き、最小10ユーザー)

出典:HubSpot「HubSpotの無料CRMソフトウェアのご案内」

出典:株式会社セールスフォース・ジャパン「Salesforceの無料で使える顧客関連管理システム・無料CRM」

出典:株式会社セールスフォース・ジャパン「Salesforce販売価格」

出典:Zoho「Zoho CRMの費用・料金プラン」

出典:サイボウズ株式会社「kintone 料金」

CRMツールの費用の比べ方

CRMツールの費用は、1人あたりの月額に使う人数と12か月を掛け、最低ユーザー数と契約期間の条件を当てはめて、1年分で比べます。

料金の決まり方

表の4つのツールは、どれも1ユーザー(1シート)ごとの月額で料金が決まります。

比べるときは、次の3つの条件を確かめます。

  • 最低ユーザー数:kintoneは最小10ユーザーで、使う人が10人より少なくても10人分の料金がかかる
  • 契約期間:SalesforceのStarter Suiteは月払いか年払いを選べ、上位のPro Suiteは年間契約になる
  • 初期費用とオプション:Zoho CRMは、初期費用やオプションの費用がかからないと案内している

出典:サイボウズ株式会社「kintone 料金」

出典:株式会社セールスフォース・ジャパン「Salesforce販売価格」

出典:Zoho「Zoho CRMの費用・料金プラン」

計算の例:7人で1年使う場合

営業担当6人と責任者1人の7人で1年使う場合は、次のように計算します(税抜き、2026年10月時点の料金)。

Zoho CRM(スタンダード):1,760円 × 7人 × 12か月 = 147,840円

kintone(スタンダードコース):最小10ユーザーのため10人分になり、1,800円 × 10人 × 12か月 = 216,000円

無料プランで使えるのは、HubSpotとSalesforceが2人まで、Zoho CRMが3人までのため、7人全員では使えない

10人に増えた場合は、Zoho CRMが211,200円、kintoneが216,000円になり、差は4,800円まで縮まる

最低ユーザー数があるツールは、使う人がその数より少ないうちは、使わない人の分も払うことになります。

見積もりは、今の人数と、1年後に見込む人数の両方で出して比べます。

CRMツールの選び方と導入の手順

紺のスーツの男性がノートパソコンのキーボードを打っている後ろ姿と、机に置かれたスマートフォン・閉じた手帳・コーヒーカップ

CRMツールは、解決したいことを決める、入れる項目と入力する人を決める、候補を絞って見積もりを取る、無料期間に試す、データの保存場所を確かめる、の5つの手順で選びます。

手順1 CRMツールで解決したいことを1つに決める

最初に、CRMツールで解決したいことを1つに決めます。

たとえば、担当が替わると経緯が分からなくなる、次に連絡する日を忘れる、商談の進み具合が責任者から見えない、といったことです。

解決したいことが決まれば、必要な機能と使う人数も決まり、機能の多さだけでプランを選ばずに済みます。

手順2 最初に入れる項目と、入力する人を決める

ツールを比べる前に、最初に入れる項目と、誰がいつ入力するかを決めます。

項目は、会社名・担当者・やり取りの日付と内容・次の行動と期日のように、手順1で決めたことに使うものに絞ります。

決裁者の情報を何から入れるかは、オンリーストーリーのコラムで、決裁の範囲・決裁までの経路・接点の履歴・次の一手の4つを挙げています。

入力は、「商談をした担当者が、その日のうちに入れる」のように、人と時機を組にして決めます。

手順3 候補を2〜3つに絞り、1年分の見積もりを取る

手順1と手順2で決めたことに合うツールを2〜3つに絞り、使う人数で1年分の見積もりを取ります。

見積もりでは、最低ユーザー数・契約期間・初期費用とオプションを確かめ、7人で1年使う場合の計算の例と同じ形にそろえて比べます。

手順4 無料期間に5つのことを試す

候補のツールは、無料プランか無料のお試しの期間に、次の5つを実際の商談の記録で試してから決めます。

取り込み:手元の名刺10枚と、表計算ソフトの顧客の一覧から30件を取り込み、会社名の重複や項目のずれが出ないかを見る

入力:商談のあとにスマートフォンから、やり取りの内容と次の行動・期日を入れ、何分で終わるかを測る

通知:期日を翌日にした行動を入れ、担当者に通知が届くかを確かめる

一覧:責任者の画面で、次の行動が入っていない商談を一覧にできるかを試す

書き出し:登録した顧客とやり取りの記録を、すべてCSVのファイルで書き出せるかを確かめる

入力にかかる時間や通知の届き方は、機能の一覧を読むだけでは分からないため、実際に試して確かめます。

手順5 契約の前に、ツールの会社の国とデータの保存場所を確かめる

契約の前に、ツールを提供する会社がある国と、顧客の情報を保存するサーバーがある国を確かめます。

個人情報保護委員会は、外国にある会社のクラウドサービスに個人データを保存する場合、その会社が個人データを取り扱わない契約であっても、その国の個人情報の保護の制度を把握したうえで、安全管理措置を講じる必要があるとしています(2026年10月時点)。

この決まりは、個人データを保存するサーバーが日本国内にある場合も同じです。

その場合は、会社とサーバーがある外国の名前と、講じた措置の内容を、本人が知ることのできる状態にしておく必要があります。

出典:個人情報保護委員会「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」

どちらも、見積もりを頼むときにツールの会社に聞いておくと、契約の直前に慌てずに済みます。

決裁者との接点をCRMツールで続ける

決裁者との接点を続けるには、CRMツールに決裁者の名前と次に連絡する時期を入れ、期日の通知で連絡を忘れないようにします。

「今は必要ない」と断られた決裁者にも、断られた理由と、次に連絡する時期を入れておきます。

時期が来たときに、前の話の続きから連絡できるためです。

代表・平野のnote▼

オンリーストーリー代表の平野は、BtoB営業の9割の敗因は、商品力でも営業力でもなく、接点を維持し続けられなかったことにあるのではないかと話しています。

一度アプローチして「今は必要ない」と断られると、次に接触するのは1年後になり、その間に競合に取られるか、自社が忘れられてしまうと指摘しています。

そのうえで、自社を知っている決裁者や経営者とのつながりを「関係性資産」と呼び、BtoB企業にとって最も重要な資産だと述べています。

ニーズが表に出たときに真っ先に思い出してもらうことが、時期が合わずに失注する「タイミング失注」を防ぐ唯一の方法だと語っています。

代表・平野のnote▶ 断られた相手との接点を「関係性資産」として貯める考え方を代表が語ったnoteはこちら

CRMツールに入れられる決裁者との接点がまだ少ないときは、決裁者に直接会える経路も使います。

オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。

12年で築いた8,000名以上の決裁者ネットワークから、受付や担当者を通さずに決裁者と面談できます。

一方で、商材の単価が低い場合や、担当者の段階で決裁が終わる商材では、効果が出にくい傾向があります。

オンリーストーリーの事例▼

マッチング事業を手がける株式会社顧問バンクは、タクシー広告で新しい見込み客を集めていましたが、新型コロナウイルスの流行が始まってからは獲得数が伸びず、別の方法を探していました。

中小企業だけでなく、成長企業や大手・上場企業も含めた、さまざまな規模と業種の企業の決裁者に会えることを決め手に、決裁者マッチングを使い始めています。

利用開始から約1年9か月で約150社とマッチングし、投資に対して2倍以上の利益が出ています。

初回では受注にならなかった相手から後で決まる案件が増えており、3か月後ほどに「最近どうですか」と聞くと、また話す機会が生まれると話しています。

導入事例▶ 決裁者との関係を続けて投資の2倍以上の利益につなげた事例はこちら

まとめ

CRMツールは、顧客の情報とやり取りの記録を1か所にまとめ、社内で共有するためのソフトウェアです。

HubSpotとSalesforceは2人まで、Zoho CRMは3人まで無料で使え、kintoneは最小10ユーザーから使う有料のツールです(2026年10月時点)。

費用は、最低ユーザー数と契約期間を当てはめ、今の人数と1年後の人数で1年分を出して比べます。

候補を2〜3つに絞ったら、無料期間に実際の商談の記録で5つのことを試し、ツールの会社の国とデータの保存場所を確かめてから契約しましょう。

よくある質問

Q. CRMツールに補助金は使えますか

A. 中小企業や小規模事業者などは、事務局に登録されたCRMツールであれば、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)に申請できます(2026年10月時点)。

通常枠の補助率は2分の1以内(条件を満たすと3分の2以内)で、クラウドの利用料も補助の対象に含まれます。

申請は、事務局に登録されたIT導入支援事業者と組んで行います。

出典:デジタル化・AI導入補助金事務局「デジタル化・AI導入補助金制度概要」

出典:デジタル化・AI導入補助金事務局「通常枠」

Q. 顧客の同意なしで情報を入れられますか

A. ツールの会社が顧客の個人データを取り扱わない契約であれば、個人データを提供したことにはならず、本人の同意はいりません(2026年10月時点)。

取り扱わない契約とは、ツールの会社がサーバーに保存された個人データを取り扱わないと契約で定め、アクセスを適切に制限している場合などです。

その場合も、自社で適切な安全管理措置を講じる必要があります。

出典:個人情報保護委員会「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」

Q. 無料プランの記録は有料でも使えますか

A. HubSpotとSalesforceは、無料のプランで使っている環境のまま、上位の有料プランに切り替えられると案内しています(2026年10月時点)。

HubSpotは、切り替えのときにシステムを作り直したり、データを移したりする手間がかからないとしています。

ほかのツールは、無料期間が始まる前にツールの会社に確かめておきます。

出典:HubSpot「HubSpotの無料CRMソフトウェアのご案内」

出典:株式会社セールスフォース・ジャパン「Salesforceの無料で使える顧客関連管理システム・無料CRM」

Q. スマートフォンでも入力できますか

A. HubSpotはiOSとAndroidのモバイルアプリがあり、Zoho CRMは無料プランでもモバイルアプリを使えます(2026年10月時点)。

外回りの多い営業担当が使うなら、商談の直後にその場で入力できるかを、無料期間に確かめておきます。

出典:HubSpot「HubSpotの無料CRMソフトウェアのご案内」

出典:Zoho「Zoho CRMの費用・料金プラン」

この記事の監修者

平野哲也

平野 哲也(ひらの てつや)

株式会社オンリーストーリー 代表取締役

BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。

累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。

「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。

ENICXO
メッセージアイコン オンリーストーリー代表 平野からのメッセージ
オンリーストーリーでは、これまで10年以上にわたり、
BtoB営業における「集客の課題」と真剣に向き合ってきました。

経営者同士が信頼でつながるマッチングプラットフォームや、
想いを届ける手書きの手紙など、独自の形で支援を続けています。

そして最近では、経営者同士を直接つなぐ「顧問&コミュニティサービス」も新たにスタートしました。

私たちが大切にしているのは、単なるマッチングツールの提供ではなく、
一社一社の課題に寄り添い、"本当に意味のある出会い"をつくることです。

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