監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
請求書をメールで送るとき、件名や本文にどこまで書けばよいのか、迷ったまま毎月送っていないでしょうか。
この記事では、営業の立場から見た請求書送付メールの型と場面別の例文、送付状の扱い、入金が確認できないときの進め方までを解説します。
請求書送付メールが経理で止まる理由
送ったのに処理されない原因は、文面の側にあることが多くあります。
どこで止まるのかを先に押さえます。
誰宛の請求か件名で判別できない
経理には、同じ時期に多くの請求書が届きます。
件名に請求月と自社名が入っていないと、仕分けの段階で後回しになります。
案件名まで入れると、複数取引がある相手でも迷いません。
請求書在中という語だけでは、識別の役に立ちません。
金額と期限が添付の中にしかない
添付を開かないと内容が分からないメールは、処理が遅れます。
本文に金額とお支払い期限を書き出しておくと、そのまま社内で回覧されます。
税込と税抜のどちらかを明記します。
振込先の口座も本文に並べておくと、確認の往復が減ります。
送り先が担当者だけになっている
営業の窓口は、支払いを扱う部署と違うことがほとんどです。
経理の宛先を事前に聞いておき、担当者と両方に送る形にします。
相手の社内で転送される前提だと、処理が一日分遅れます。
請求書の送付先は、初回の取引時に確認しておきます。
締め日を過ぎてから届いている
相手には支払いのサイクルがあります。
締め日の何日前までに届ける必要があるかを確認しておくと、翌月送りを防げます。
月末締めの場合、月の最終営業日に送っても間に合いません。
初回の請求前に、締め日と支払日をそろえて聞きます。
請求書送付メールに入れる項目
毎月のことなので、型を決めてしまうほうが早く済みます。
上から順に並べます。
件名は請求月と自社名で始める
件名は、相手の検索対象になります。
十一月分のご請求書の送付という形で、月を先に書くと並べ替えが効きます。
末尾に自社名を入れておけば、差出人欄を見ずに判別できます。
案件が複数ある場合は、案件名も加えます。
本文の冒頭で用件を言い切る
挨拶が長いと、用件にたどり着く前に閉じられます。
二行目までに請求書を送った旨を書くと、読み手の負担が減ります。
時候の挨拶は不要です。
取引が続いている相手には、お世話になっておりますだけで十分です。
金額と期限と振込先を並べる
数字は文章の中に埋めず、行を分けて示します。
ご請求金額、お支払い期限、お振込先の三行を続けて並べます。
金額には税込か税抜かを添えます。
振込手数料の扱いが契約で決まっているなら、その旨も書きます。
添付ファイルの名前をそろえる
ファイル名がバラバラだと、相手の保管が乱れます。
請求書と年月と自社名を並べた命名規則を決めると、探す手間が消えます。
拡張子はPDFにそろえます。
パスワードを付ける運用なら、送り方を事前に合意しておきます。
送信のタイミングを毎月そろえる
届く日がばらつくと、相手の経理は毎月予定を組み直すことになります。
毎月の同じ営業日に送ると決めておくと、相手の処理も自社の確認も定型になります。
月初に送るか締め日基準で送るかは、相手の支払いサイクルに合わせます。
担当者が休みでも送れるよう、作業の手順を社内に残しておきます。
場面別の請求書送付メール例文
取引の形によって、書く内容が少し変わります。
四つの例文を示します。
毎月の定額を請求する例文
継続の請求は、迷いなく処理できる形にします。
前月と同じ内容である旨を一行入れると、確認が省けます。
変更がある月だけ、その差分を書きます。
挨拶は短く済ませます。
件名:十一月分のご請求書の送付(株式会社△△)
〇〇株式会社
経理ご担当者様
いつもお世話になっております。
株式会社△△の佐藤でございます。
十一月分のご請求書を添付にてお送りいたします。
ご請求金額:330,000円(税込)
お支払い期限:十二月二十五日(木)
お振込先:□□銀行 ××支店 普通 1234567 カ)サンカク
内容は前月と同一でございます。
ご確認のほど、よろしくお願い申し上げます。
案件ごとに請求する例文
単発の取引では、何に対する請求かを明示します。
案件名と納品日を本文に書くと、照合が一度で済みます。
検収の完了日が分かる場合は、それも添えます。
見積番号があれば並べます。
件名:商談管理ツール導入支援のご請求書送付(株式会社△△)
〇〇株式会社
田中様
お世話になっております。
株式会社△△の佐藤です。
九月にご発注いただきました導入支援につきまして、ご請求書を添付いたします。
案件名:商談管理ツール導入支援一式
納品日:十一月七日(金)
ご請求金額:880,000円(税込)
お支払い期限:十二月末日
お見積番号はQ-2026-0912でございます。
経理ご担当者様へお回しいただけますと幸いです。
原本を郵送する旨を添える例文
電子と原本の両方を送るときは、重複処理を防ぎます。
郵送の有無と到着の目安を書くと、二重に計上されません。
押印の要否も確認しておきます。
電子で完結できるなら、その旨を提案します。
件名:十一月分のご請求書送付と原本郵送のご案内(株式会社△△)
〇〇株式会社
経理ご担当者様
平素より大変お世話になっております。
株式会社△△で経理窓口を兼務しております佐藤でございます。
十一月分のご請求書を添付にてご送付申し上げます。
あわせて、押印済みの原本を本日付で郵送いたしました。
到着は十一月二十八日(金)ごろを見込んでおります。
添付と原本は同一の内容ですので、重複してのご処理はご不要でございます。
今後、電子のみでのご対応が可能でしたら、その旨お知らせくださいませ。
金額や内容を訂正して再送する例文
誤りがあったときは、何を直したかを明記します。
差し替えであることを件名に入れると、古い請求書が処理されません。
謝罪は一行にとどめ、訂正内容を優先します。
旧の請求書の扱いも指示します。
件名:【差し替え】十一月分のご請求書の再送(株式会社△△)
〇〇株式会社
経理ご担当者様
お世話になっております。
株式会社△△の佐藤と申します。
先ほどお送りしたご請求書に誤りがございました。
大変失礼いたしました。
数量を12と記載しておりましたが、正しくは10でございます。
訂正後のご請求金額:275,000円(税込)
お支払い期限に変更はございません。
先にお送りした分は破棄いただき、本メールの添付をご利用くださいませ。
送付状は必要かどうか
郵送の慣習から、送付状を付けるか迷う場面があります。
判断の基準を示します。
メール送付なら送付状は不要
本文そのものが送付状の役割を果たします。
メールの本文に宛名と用件と枚数が書かれていれば十分です。
送付状を別ファイルで付けると、開く手間が増えるだけになります。
相手の指定がある場合のみ、従います。
郵送する場合は一枚付ける
封筒だけで請求書を送ると、誰からの何かが分かりません。
日付、宛名、差出人、同封物と枚数の四点を一枚にまとめます。
挨拶文は三行程度で構いません。
押印の要否は、相手の運用に合わせます。
電子帳簿保存法を前提に運用を決める
請求書の電子化は、受け取る側の保存方法に影響します。
相手が電子で受け取れるかを初回に確認しておくと、途中での変更を避けられます。
原本が必要かどうかは、相手の経理の方針によります。
自社の都合だけで切り替えないようにします。
宛名の敬称を部署と個人で使い分ける
経理部門宛に個人名を書くと、その人が不在のときに止まります。
個人名が分かる場合は氏名、分からない場合は経理ご担当者様とする使い分けにします。
部署宛には御中、個人宛には様を使い、両方を重ねません。
担当者と経理を同時に宛先へ入れるときは、本文の冒頭で両方に触れます。
入金が確認できないときの進め方
請求して終わりにすると、回収が遅れます。
段階を踏んで確認します。
期限の数日前に一度確認を入れる
催促ではなく、確認として連絡します。
お手元に届いているかを尋ねる形にすると、角が立ちません。
この一通で、処理漏れの大半は防げます。
営業の担当者から送るほうが、相手も答えやすくなります。
期限を過ぎたら事実だけを伝える
感情を込めず、記録として書きます。
入金の確認が取れていない旨と、請求書の番号を並べる形にします。
行き違いの可能性に触れる一文を添えます。
支払い予定日を尋ねて、次の確認日を決めます。
二度目以降は社内で共有する
担当者だけで抱えると、対応が遅れます。
二度目の連絡からは、自社の上長と経理に共有する運用にします。
相手の経理にも直接連絡を入れる段階に移ります。
取引の継続に関わる場合は、営業の判断だけで進めません。
支払いが遅れる理由を聞き取る
督促を繰り返すより、原因を一度確かめるほうが早く解決します。
処理の滞りか、検収の未完了か、資金の都合かを切り分けると打ち手が決まります。
検収が終わっていない場合は、請求ではなく納品側の対応になります。
資金の都合であれば、分割や期日の見直しを社内で検討します。
請求の前段階を整える
回収でもめる案件は、受注の前に兆しが出ています。
三つの観点で見直します。
支払い条件を見積の段階で合意する
請求書を出してから条件を決めると、必ずもめます。
締め日、支払日、振込手数料の負担を見積書に書くと、後の交渉が消えます。
初めての相手ほど、先に文書で残します。
口頭の合意は、議事録に残して共有します。
決裁の金額帯を先に確認する
相手の社内では、金額によって承認の経路が変わります。
いくらから誰の決裁になるのかを聞いておくと、支払いの遅れを読めます。
期末や期初は、承認が滞りやすい時期です。
相手の決算月を把握しておくと、請求の時期を調整できます。
決裁者と直接つながる場を併用する
オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。
支払い条件を決める立場の人と、最初から話せます。
条件の認識がずれたまま受注する事態を減らせます。
一方で、単価の低い商材や、担当者の判断で完結する商材では効果が出にくい傾向があります。
控えを自社でも検索できるようにする
送った請求書を後から探せないと、照会のたびに時間を取られます。
送信メールを取引先ごとのフォルダに振り分ける規則を決めておくと、数分で遡れます。
件名の形式をそろえておけば、検索だけでも十分見つかります。
入金の消し込み結果も同じ場所に残すと、担当が変わっても追えます。
まとめ
請求書を送るメールは、件名に請求月と自社名を入れるところから処理の速さが変わります。
本文に金額とお支払い期限と振込先を行で分けて並べると、添付を開かずに社内で回覧されます。
送り先は営業の窓口だけでなく、支払いを扱う部署にも届くようにしてください。
締め日の何日前までに届ける必要があるかを、初回の取引時にそろえて確認します。
メールで送る場合、本文が送付状の役割を果たすため、別ファイルの送付状は不要です。
期限の数日前に届いているかを尋ねる一通を入れておくと、催促そのものが減ります。
そのうえで回収でもめる案件が続くなら、条件を決める相手と最初から話せているかを見直してみてください。
よくある質問
Q. 請求書送付メールの件名はどう書きますか
A. 請求月と自社名を並べる形にします。
十一月分のご請求書の送付という書き方にすると、相手が月で並べ替えられます。
取引が複数ある相手には、案件名も加えてください。
Q. 本文には何を書けばよいですか
A. 用件を二行目までに言い切り、そのあと数字を行で分けて並べます。
ご請求金額、お支払い期限、お振込先の三行を続けて書くと、転送先でもそのまま伝わります。
税込か税抜かは、金額のうしろに必ず添えてください。
Q. メールで送る場合も送付状は必要ですか
A. 本文が送付状の役割を果たすため、別ファイルは不要です。
宛名と用件と同封物の枚数が本文にあれば足ります。
郵送する場合のみ、日付と宛名と差出人と同封物を書いた一枚を付けてください。
Q. 入金が確認できないときはどう連絡しますか
A. まず期限の数日前に、お手元に届いているかを尋ねる形で一度確認します。
期限を過ぎたら、入金の確認が取れていない事実と請求書の番号だけを伝えます。
二度目の連絡からは、自社の上長と経理にも共有して進めてください。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。

