監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
発注の連絡をもらったあと、お礼のメールにどこまで書けばよいか迷うことはないでしょうか。
この記事では、ご発注ありがとうございますという言葉の使い方と、受注側・発注側それぞれの例文、着手までの段取りの伝え方を解説します。
ご発注ありがとうございますは誰が使う言葉か
同じ場面でも、立場によって使える表現が変わります。
まず前提を整理しましょう。
受注側が発注側へ向けて使う
注文を受けた側が、注文をくれた相手へ述べる感謝の言葉です。
発注という行為は相手がしたことなので、こちらが御礼を述べる形になります。
自社が注文を出した側であれば、この表現は使いません。
立場を取り違えると、文面全体が不自然になります。
発注側が使うときの言い換え
注文を出した側は、対応や見積りへの礼を述べます。
お引き受けいただきありがとうございます、という形に置き換えると収まります。
見積りを出してもらった段階であれば、その手間への礼になります。
発注してやったという響きが出ないよう、言葉を選びます。
社内へ報告するときの書き方
受注の連絡は、社外へのお礼とは別に社内へも流します。
金額、着手の時期、関わる部署の三点を先に書くと、読む側が動けます。
感謝の言葉は、社内向けでは短くて構いません。
関係した人の名前を挙げると、次の協力が得やすくなります。
感謝だけで終わらせない
御礼のメールは、次の段取りを決める最初の連絡でもあります。
必要な書面と着手の予定を、同じ一通に書くと手戻りがありません。
別便で送りますと書くと、そのまま止まることがあります。
確認したい事項は一度にまとめます。
受注側が送る御礼メールの例文
注文を受けた側が送る、最も多い場面です。
状況に応じた四つの形を見ていきます。
標準的な受注の御礼の例文
発注の連絡をもらった直後に送ります。
御礼、必要な書面、着手の予定の三つを順に書くと過不足がありません。
社内で調整してくれた相手の手間にも触れます。
金額の再確認が必要な場合は、この段階で行います。
件名:ご発注の御礼と今後の進め方について
株式会社△△
佐藤様
このたびはご発注を賜り、誠にありがとうございます。
社内のご調整にお手数をおかけしたことと存じます。
つきましては本日中に注文請書をお送りいたしますので、ご確認をお願い申し上げます。
着手は書面の到着後、十営業日以内を予定しております。
ご不明な点がございましたら、いつでもお申し付けくださいませ。
初めての取引先への例文
初回の発注は、関係が始まる区切りになります。
今後の窓口と連絡方法を、この一通で決めてしまうと進行が滑らかになります。
請求書の送付先や支払いの条件も確認します。
長い自社紹介は入れず、実務の話に絞ります。
件名:初回のご発注につきまして御礼申し上げます
株式会社△△
佐藤様
このたびは数ある中から弊社をお選びいただき、心より御礼を申し上げます。
今後の窓口は、私と業務部の鈴木の二名で担当いたします。
ご請求書の送付先と、お支払いの締め日についてお教えいただけますでしょうか。
初回のお取引となりますので、進め方のご希望があれば遠慮なくお知らせください。
何とぞよろしくお願い申し上げます。
継続して発注をもらった例文
二度目以降の注文には、前回の結果に触れます。
前回の納品がどうだったかを尋ねる一文を入れると、改善の材料が集まります。
毎回同じ文面を送ると、惰性で返している印象を与えます。
担当者が変わっていないかも確認します。
件名:継続のご発注をいただき御礼申し上げます
株式会社△△
佐藤様
いつもお引き立てをいただき、ありがとうございます。
前回ご納品した分について、現場でお使いいただいた感触はいかがでしたでしょうか。
今回のご注文は、前回と同じ仕様にて承っております。
着手は来週月曜日から、納品は十一月二十日を予定しております。
お気づきの点がございましたら、お聞かせいただけますと幸いです。
着手までに時間がかかる例文
注文はもらったが、すぐに動けない場合があります。
待たせる期間と、その間に何をするかを先に伝えると不信を招きません。
理由を細かく説明するより、予定を具体的に示します。
途中経過を報告する時期も約束しておきます。
件名:ご発注の御礼と着手時期のご案内
株式会社△△
佐藤様
ご発注のご連絡をいただき、ありがとうございました。
恐れ入りますが、着手は十二月の第一週からとさせていただきたく存じます。
それまでの間に、仕様の確定と担当者の割り当てを進めてまいります。
十一月下旬に一度、準備の状況をご報告する機会を頂戴できればと考えております。
お待たせいたしますが、何とぞよろしくお願いいたします。
発注側が送るメールの例文
注文を出した側にも、送るべき連絡があります。
三つの場面を押さえましょう。
発注を伝える例文
正式に注文する旨を、書面の前に連絡します。
何を、いくつ、いつまでにという三点を明示すると行き違いが防げます。
見積書の日付や番号を添えると、特定が容易になります。
注文書の様式が必要かどうかも尋ねます。
件名:ご発注のご連絡(株式会社△△・佐藤)
〇〇株式会社
田中様
お見積書をご送付いただき、ありがとうございました。
十月一日付のお見積りの内容にて、正式にお願いしたくご連絡いたします。
数量は五十、納期は十二月十五日まででお願いできますでしょうか。
注文書の様式がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
引き受けてもらった礼を伝える例文
無理な条件を受けてもらった場合は、その点に触れます。
相手が調整してくれた具体的な内容を書くと、形式的な礼から抜け出せます。
値引きに応じてもらった場合も同様です。
次の取引につなげる一文を添えます。
件名:短納期でのご対応に御礼申し上げます
〇〇株式会社
田中様
このたびは厳しい納期にもかかわらず、お引き受けいただきありがとうございます。
社内の製造ラインをご調整くださったと伺い、恐縮しております。
おかげさまで、弊社の納入先への約束を守ることができます。
次回はもう少し余裕をもってご相談できるよう、計画を前倒しいたします。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
納品を受けて完了を伝える例文
取引の区切りでも、一通送っておきます。
受領した事実と、問題がなかったことを明記すると相手も安心できます。
請求の手続きに進んでよいかどうかも、あわせて伝えます。
気づいた点があれば、角が立たないうちにこの連絡で伝えます。
件名:ご納品の確認と御礼(株式会社△△)
〇〇株式会社
田中様
本日、ご納品いただいた分を確かに受領いたしました。
数量、仕様ともに問題はございませんでした。
ご請求の手続きをお進めいただいて差し支えございません。
短い期間でご対応いただき、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
御礼メールに入れる要素
立場が違っても、書くべき項目は重なります。
四点を確認しておきましょう。
どの案件への連絡かを特定する
複数の取引が並行していると、どれの話か分かりません。
見積書の日付か番号、案件名を件名か冒頭に入れると誤解が消えます。
返信の形で送る場合は、件名を残すだけでも足ります。
相手が担当者を分けている場合は、特に注意します。
必要な書面と期日を決める
注文請書や契約書が要るかどうかは、会社によって変わります。
必要な書面、様式、返送の期日の三つをこの一通で決めると手戻りがありません。
購買部門が関わる案件では、手続きに日数がかかります。
書面が整うまで着手しない方針なら、その点も伝えます。
着手と納品の時期を書く
いつから動き、いつ終わるのかを明示します。
着手日と納品日を分けて書くと、相手も社内に説明できます。
予定が確定していない場合は、いつ確定するかを書きます。
遅れる見込みが出たら、期日の前に連絡します。
連絡経路を確定する
担当者が複数になる場合は、窓口を決めておきます。
以降の連絡を誰に送ればよいかを、双方で明示すると抜けが防げます。
請求書の宛先や送付方法も、この段階で確認します。
不在時の代わりの連絡先も決めておきます。
言葉づかいで迷いやすいところ
御礼の場面は、敬語の選び方で印象が変わります。
四点を整理しておきます。
ご発注とご注文の使い分け
ご注文は商品を買う場面で広く使われます。
ご発注は、業務や製造を依頼する場面に向いた言葉です。
相手が使っている語に合わせるのが最も安全です。
社内の様式で統一されている場合は、それに従います。
御礼申し上げますとありがとうございます
御礼申し上げますは、格式のある場面に向きます。
初回の取引や、金額の大きい案件では御礼申し上げますを選ぶと落ち着いて見えます。
継続の取引であれば、ありがとうございますで十分です。
一通の中で何度も繰り返さないようにします。
承りましたと承知いたしました
承りましたは、注文や依頼を受けた場面に合います。
承知いたしましたは、内容を理解して引き受けたという意味になります。
発注の御礼では、承りましたのほうが自然です。
かしこまりましたは丁寧ですが、やや硬く響きます。
恐縮ですと申し訳ございません
恐縮ですは、相手に手間をかけたことへの遠慮を表します。
謝罪が必要な場面では、申し訳ございませんとはっきり書くほうが伝わります。
恐縮ですを謝罪の代わりに使うと、責任の所在が曖昧になります。
使い分けに迷うときは、短く言い切る表現を選びます。
受注後に関係を続けるために
一度の取引で終わらせないための視点を持ちましょう。
三つの観点で考えます。
納品後の確認を自分から入れる
問題がなければ連絡しない、という姿勢では関係が薄れます。
納品から一週間後に、使い勝手を尋ねる連絡を入れると次につながります。
不満が小さいうちに拾えれば、取引は続きます。
定期的な連絡の時期を、あらかじめ決めておきます。
紹介を依頼する時機を見極める
満足してもらえた直後は、紹介を頼みやすい時期です。
納品が終わり、成果が出たことを確認してから依頼するのが順序です。
依頼するときは、どんな相手を紹介してほしいかを具体的に示します。
断りやすい書き方にしておくと、関係が保てます。
決裁者と直接つながる場を併用する
既存の取引先だけに頼ると、件数が相手の事情に左右されます。
オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。
新しい取引先を、決める立場の人から探せます。
一方で、商材の単価が低い場合や担当者レベルで決裁が完結する商材では、効果が出にくい傾向があります。
まとめ
ご発注ありがとうございますは受注側が使う言葉で、発注側はお引き受けいただきありがとうございますと言い換えます。
御礼のメールは感謝だけで終わらせず、必要な書面と着手の時期を同じ一通で確定させてください。
初めての取引先には、今後の窓口と請求書の送付先まで決めてしまうと進行が滑らかになります。
継続の注文では前回の結果を尋ねる一文を入れると、改善の材料が集まります。
着手までに時間がかかる場合は、待たせる期間と、その間に何をするかを先に伝えましょう。
発注側として送るときは、何を、いくつ、いつまでにという三点を明示すると行き違いが防げます。
納品から一週間後に自分から確認を入れる習慣が、次の取引につながります。
よくある質問
Q. ご発注ありがとうございますは発注側も使えますか
A. 使いません。
発注という行為をしたのは相手ですので、注文を受けた側が述べる言葉になります。
注文を出した側は、お引き受けいただきありがとうございますと言い換えてください。
Q. 発注の御礼メールはいつ送りますか
A. 連絡を受けたその日のうちに送ります。
着手の予定がまだ決まっていなくても、受領した事実といつ連絡するかを先に伝えてください。
翌日以降になると、事務的な連絡として読まれます。
Q. 御礼のメールには何を書けばよいですか
A. 御礼、必要な書面、着手の予定の三つが基本です。
書面を後日お送りしますとだけ書くと、そのまま放置されることがあります。
確認したい事項は、一度にまとめて書いてください。
Q. 継続して発注をもらったときは何を書きますか
A. 前回の納品がどうだったかを尋ねる一文を入れます。
使い回しの文面だけを返していると、形式的な対応だと受け取られます。
担当者が変わっていないかも、あわせて確認してください。
発注の前後には、面談の依頼から日程の確定まで別のメールが並びます。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。



