株式会社TODOKISUGI
沖杉大地
POSTED | 2019.05.27 Mon |
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TAGS | 従業員数:5人以下 業種:飲食・サービス 創立:5〜6年 決裁者の年齢:その他 商材:その他 |
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みんなが得をする形で、食品ロスの解決を目指す
海外で食の不均衡を目の当たりにし、起業を決意Topics
今回のインタビューは、食品ロス解決に向けたアプリを開発・提供する、株式会社TODOKISUGIの沖杉氏にお話を伺います。食品ロスの現状や、食品ロスに問題意識を持つようになったきっかけ、事業にかける想いについて語っていただきました。
株式会社TODOKISUGI 社長 沖杉 大地氏のONLY STORY
【経歴】
2012年 早稲田大学卒業 大学1年にて学生の在り方に疑問を感じ、飲食サービス会社に入社し、経営者のかばん持ちとして様々な経験を積む。その後休学し、幼い頃からの夢であった世界一周をするが、海外と日本の食の不均衡に疑問を持つ。2017年に食の不均衡を解消するために起業する。
食に関する「もったいない」を変えるアプリ
–まずは株式会社TODOKISUGIが手がけている事業について、お聞かせください。
沖杉氏:弊社は、賞味・消費期限が間近な食品や、キズや凹みなどの理由から店頭に置けない食品を売りたい人と買いたい人がマッチングできるアプリ「No Food Loss」の運営を行う会社です。このアプリを通して食品ロスの解決に尽力しています。
食品ロスと言っても色々あるのですが、私たちが食品ロスだと考えているのは、あと数時間、数日で期限を迎えるために、捨てられそうになっている食品です。
そういった、コンビニや小売業界が、やむなく捨てている食品を販売できるシステムを提供しています。
–なぜこれまでそういった食品は売ることができなかったのでしょうか。
沖杉氏:それは「あと1時間で期限切れになるので、それまでに食べてくださいね」ということを、小売店は確認することができないためです。ですが、あらかじめその部分に同意が取れたお客様のみに販売することができれば、店舗を守りつつ問題も解決できると考え、このサービスをリリースしました。
コンビニに関して言えば、コンビニには値引きという販売手法がそもそも無いに等しいんです。それはコンビニの「どこでもいつでも常に新鮮で価値が高いものを売る」という業界の特徴によるもの。
しかし大量消費の時代が終わりつつある中、コンビニも変わっていかなければいけない。そこで、私たちとしては、コンビニの食品ロス解決の一助になりたいと思い、事業を運営しています。
–業界のなかでは、どのような差別化をはかっていますか。
沖杉氏:食品ロスが叫ばれるようになって、様々なアプリがありますが、それらは飲食店の食品ロスの削減サービスが多いようです。飲食店であれば作らなければロスにはなりにくいです。しかし、パン屋やおにぎりといった小売店の商品はそうはいきません。
弊社の最大の特徴は、コンビニなどの小売店をターゲットにしつつ、割引率が「50%」と圧倒的なお得感を打ち出しているところです。
–競合だと考えられるアプリとはターゲットもコンセプトも違うということですね。次に御社の事業運営にあたって、一番重要視していることを教えてください。
沖杉氏:みんなが得するサービスを提供することですね。このみんなというのは小売店やそこに訪れるお客さん、そして地球も全てを含みます。
自然の摂理に則ってみんなが得をするようなことをしなければ、地球環境は悪化するばかり。そんな風にしたくは無いという強い想いがありますので、 食品ロスに関する「もったいない」を店舗にとっては売上に、お客さんにとっては満足に、地球環境にとっては寄付に「変える」アプリでありたいと思っています。
海外に出て食の不均衡を目の当たりに
–沖杉様がこのサービスを立ち上げるに至った経緯について教えてください。
沖杉氏:そもそも食品ロスに関する事業を始めようと思ったのが、学生時代に休学して、旅をしていた時の体験からです。
開発途上国に行くと子どもたちが「ギブミーマネー」って言ってくるんです。そこでお金をあげると、それを大人に取られている。でもビスケットやパンをあげたらその場で食べてくれるんです。ましてや日本のお菓子なんかあげたらすごく喜んで、友達同士で取り合うぐらいでした。
この原体験から、地球の食のバランスが崩れていると思い、食の不均衡を正すことが出来るサービスを立ち上げたいと思うようになりました。
–その経験から「No Food Loss」が生まれたんですね。
沖杉氏:その通りなのですが、ここにたどり着くまでには多くの時間がかかりました。色々な事業をやったんですが、失敗ばかり。様々な事業に挑戦もしたのですが、どれもだめで、去年の今頃には、もう会社を潰すしかないなというところまできていました。
ですが、どうしても諦めたくないと思ったんです。では「どうしてあきらめられないんだろう」と考えたとき、旅をして目の当たりにした光景が蘇ってきたんです。
その時に、「やっぱりもう一度、食品ロスという分野で事業を起こそう」と思い、今に至ります。
食だけではない。様々な「もったいない」
–今後の展望について教えてください。
沖杉氏:まずは「No Food Loss」のコンビニでの導入数を増やしていきたいですね。現在10数店舗で導入してもらっているんですが、2~3年以内に1000店舗まで伸ばしていきたいです。
–その後の中長期的な目標はありますか。
沖杉氏:今はコンビニや小売店などをターゲットにしていますが、今後はホテルの飲食店などにも挑戦していきたいです。
というのも、ホテルのビュッフェもかなりの食品ロスが出ています。ホテルはオペレーションが厳しく、値引き販売やお持ち帰りなどをやりにくい。そこで、ホテルの食品ロスを解決するための新たな計画を始めています。
「みんなが得するサービス」「もったいないを変える」という弊社のコンセプトを、今後は食だけでなく、様々な分野でやっていけるようになりたいですね。
–最後に読者へメッセージをお願いします。
沖杉氏:法人、特にコンビニのオーナーの方には、ぜひこのサービスを導入していただきたいです。弊社がお約束していることは、「導入頂ければ必ず売上が上がります」ということです。捨てていたものを安くても売ることができるので、必ず売上が上がります。
さらに、安く買えた先には寄付があるということも知っていただきたいです。同じように値引きされているパンでも、値引きされている上に誰かが救えるパンだったら、私たちのパンはただ安いだけの価値ではありません。それを知っていただきたい。
最後に学生向けにですね。同じ夢をみて頂ける方を募集しています。みながとくする社会を一緒に創りましょう。
執筆=スケルトンワークス
校正=笠原