最終更新日: 2026.11.02
MAツールとは?できることと料金、シナリオ・スコアリングの設定例

MAツールでできることと、主なツールの料金(2026年10月時点)、年間の費用を商談1件あたりの費用に直す比べ方を解説します。メールを送ってよい相手の確かめ方と、そのまま使えるシナリオとスコアリングの設定例も紹介します。

監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)

問い合わせや展示会で集めた見込み客に、営業の手が回らず連絡が途切れると、相手の検討が進んだときに声をかける機会を逃してしまいます。

MAツール(マーケティングオートメーションツール)とは、見込み客の情報と行動を記録し、相手に合わせたメールの配信や、商談につながりそうな相手の選び出しを自動で行うツールです。

できることと主なツールの料金、そのまま使えるシナリオとスコアリングの設定例を確認しましょう。

この記事の要約

  • MAツールは、見込み客の行動を記録し、メールの配信と有望な相手の選び出しを自動で行う仕組み。
  • ツールの料金は月額0円から180万円まで開きがあり、年間の総額を商談1件あたりに割って比べる。
  • 導入前に送ってよい相手と記録の扱いを確かめ、シナリオ1本と点数の基準で小さく始める。

MAツールとは

ノートパソコンに向かい、右手でマウスを持って画面を見ている紺のスーツの男性

MAツールとは、見込み客を集めて育て、商談につながりそうな相手を選んで営業に渡すまでの作業を、自動で行うツールです。

MAは、マーケティングオートメーション(marketing automation)の略です。

たとえば、資料をダウンロードした人に数日おきに事例や料金の案内を送り、料金のページを何度も見た人を営業の担当者に知らせる、といった使い方をします。

MAツールが知らせた見込み客には、営業の担当者が連絡して商談を進めます。

SFA・CRM・メール配信ツールとの違い

MAツールは商談の前の見込み客を育てて選ぶために使い、商談の進み具合はSFA、受注の後も含めた顧客との関係はCRMで管理します。

ツール主に使う場面記録するもの
MAツール商談の前に、見込み客を育てて、営業に渡す相手を選ぶ見込み客の情報と、メールの開封やWebサイトの閲覧などの行動
SFA(営業支援システム)商談から受注まで、営業の活動を管理する商談の進み具合と受注の見込み、営業の活動の記録
CRM(顧客関係管理)受注の後も含めて、顧客との関係を長く育てる顧客ごとの情報と、接点の履歴
メール配信ツール決まった相手の一覧に、まとめてメールを送る配信先の一覧と、送ったメールの記録

メールを送るだけならメール配信ツールで足りますが、Webサイトでの行動に合わせて送る相手を選び、営業に渡す相手を見つけたいときはMAツールが合います。

MAツールでできること

MAツールでできることは、見込み客の管理、フォームの作成、Webサイトでの行動の記録、メールの配信、スコアリング、営業への通知の6つです。

  • 見込み客の管理:フォームや名刺から集めた見込み客の情報を登録して、管理する
  • フォームの作成:資料請求やセミナーの申し込みのフォームを作り、入力した人を見込み客として登録する
  • Webサイトでの行動の記録:見込み客が、いつ、どのページを見たかを記録する
  • メールの配信:相手の条件や行動に合わせて、決めた順番と間隔でメールを送る
  • スコアリング:見込み客の行動や属性に点数を付け、検討が進んだ相手を選ぶ
  • 営業への通知:点数が基準を超えた相手や、決めたページを見た相手を、営業の担当者に知らせる

フォームにまだ入力していない訪問者でも、IPアドレスから会社名を調べる機能を持つツールがあります(List Finderの企業IP解析など、2026年10月時点)。

出典:株式会社イノベーション「アクセス解析(List Finder)」

MAツールを入れても、送るメールや資料の中身と、営業に渡す条件は自社で決める必要があるため、導入の前に、それを用意する時間を見込んでおきます。

MAツールの料金と主なツール

MAツールの料金は、無料のプランから月額180万円のプランまで幅があり、使える機能や、登録できる見込み客の数で変わります(2026年10月時点)。

主なツールの料金(2026年10月時点)

公式ページで料金を公開している主なツールは、次のとおりです。

ツール(提供会社)料金(2026年10月時点)公式ページにある特徴
HubSpot Marketing Hub(HubSpot)無料ツールは月額0円、Professionalは月額106,800円から(コアシート3人分を含む)、Enterpriseは月額432,000円から(税抜)無料ツールでも、メールの自動化とフォームの作成を使える
Account Engagement(セールスフォース・ジャパン)Growth+は月額150,000円(1組織あたり、年間契約)、Plus+は330,000円、Advanced+は528,000円、Premium+は1,800,000円Growth+でリードの育成と評価、Plus+でAIを活用したスコアリングを使える
SATORI(SATORI株式会社)初期費用300,000円、月額148,000円(年間契約、税別)。従量課金が発生する場合がある問い合わせ前の匿名の見込み客にも働きかけられる。基本のサポートは契約に含まれる
List Finder(株式会社イノベーション)フリープランは0円(登録できる顧客データは100件まで)。有料の3つのプランは、初期費用100,000円と、月額45,000円・69,000円・92,000円IPアドレスから、Webサイトを訪れた会社の名前を調べられる

出典:HubSpot「マーケティングソフトウェア(Marketing Hub)」

出典:株式会社セールスフォース・ジャパン「Marketing Cloud Account Engagementの価格」

出典:SATORI株式会社「料金」

出典:株式会社イノベーション「List Finderの価格」

年間の費用を、商談1件あたりの費用に直して比べる

MAツールの費用は、初期費用と12か月分の月額を足した年間の費用を、MAツールから営業に渡して商談になった件数で割って比べます。

月額が安くても、営業に渡せる見込み客が少なければ、商談1件あたりの費用は高くなるためです。

次の例の金額と件数は、計算の仕方を示すための仮の数字です。

年間の費用 = 初期費用 + 月額 × 12か月

商談1件あたりの費用 = 年間の費用 ÷ MAツールから営業に渡して、1年間に商談になった件数

Aのツール(初期費用20万円、月額12万円):年間の費用は164万円。商談になったのが年に41件なら、商談1件あたり4万円

Bのツール(初期費用0円、月額4万円):年間の費用は48万円。商談になったのが年に8件なら、商談1件あたり6万円

Bのツールは、年間の費用はAより安くても、商談1件あたりの費用はAより高くなります。

ツールの見積もりは、月額ではなく、商談1件あたりの費用に直して比べます。

運用を外部に頼むときは、その費用も年間の費用に足します。

MAツールの導入の進め方

テーブルに置いた紙の資料をペンで指しながら話す女性と、資料を見る男性

MAツールは、営業に渡す条件を決める、送ってよい相手と記録の扱いを確かめる、ツールを試して選ぶ、シナリオを1本作る、スコアリングで営業に渡して見直す、の5つの手順で進めます。

手順1 目的と、営業に渡す見込み客の条件を決める

最初に、MAツールで増やしたいもの(資料請求からの商談の数など)と、営業に渡す見込み客の条件を、マーケティングと営業の責任者で決めます。

条件には、狙う業種・規模・役職のような属性と、料金のページを見た、相談を申し込んだ、のような行動があります。

営業に渡す条件を先に決めておくと、営業が連絡しない見込み客ばかりが渡されることを防げます。

手順2 メールを送ってよい相手と、行動の記録の扱いを確かめる

MAツールに見込み客のメールアドレスを入れる前に、特定電子メール法で、広告や宣伝のメールを送ってよい相手かを確かめます(2026年10月時点)。

送ってよいのは、送ることに同意した人、名刺などの書面でアドレスを知らせてくれた人、取引のある人、アドレスを公表していて送らないよう求めていない会社などです。

同意を得て送るときは、同意を得たことを示す記録を残す必要があり、受信を断る連絡を受けた人には、それ以降は送れません。

メールには、送信に責任を持つ会社の名前、受信を断るための連絡先、住所、苦情や問い合わせを受け付ける連絡先などを書きます。

出典:総務省・消費者庁「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」

Webサイトでの行動から見込み客の関心を分析するときは、個人情報保護法の決まりで、そうした分析をすることが本人に分かる程度に、利用目的を具体的に決める必要があります(2026年10月時点)。

個人情報保護委員会のガイドラインは、「取得した閲覧履歴や購買履歴等の情報を分析して、趣味・嗜好に応じた新商品・サービスに関する広告のために利用いたします。」を、具体的に決めた例に挙げています。

一方で、「マーケティング活動に用いるため」は、具体的に決めていない例に挙げられています。

決めた利用目的は、あらかじめ公表しておくか、個人情報を取得したあと速やかに本人に知らせるか、公表します。

出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」

自社のプライバシーポリシーの利用目的に、閲覧の記録を分析してお知らせに使うことが書いてあるかを、導入の前に確かめます。

手順3 料金の表で候補を絞り、試用でSFA・CRMとつながるかを確かめる

ツールは、料金の表で候補を2〜3に絞り、無料のプランや試用で、今使っているSFA・CRMや名刺の管理とつながるかを確かめて選びます。

つながらないと、MAツールで選んだ見込み客を、営業が別の画面で探し直すことになるためです。

SATORIでは、SFAなどの外部ツールとのデータ連携は、希望に応じて追加するオプションです(2026年10月時点)。

連携に追加の料金がかかるツールもあるため、見積もりを頼むときは連携の費用も含めてもらいます。

手順4 資料請求のあとに送るシナリオを1本作る

最初のシナリオは、資料請求のように、相手の関心がはっきり分かる行動のあとに送る1本に絞ります。

関心のある話題が分かっている相手なら、送る中身を決めやすく、反応も比べやすいためです。

次の例は、送る日・件名・中身を並べたもので、〇〇に自社の商品名を入れればそのまま使えます。

当日:件名「資料をお送りします|〇〇の導入の進め方」。中身は、お礼と資料のリンク、資料の中で特に読んでほしいページの案内

3日後:件名「〇〇を入れた同じ業種の会社の事例」。中身は、相手の業種に近い事例を1つと、その事例のページのリンク

7日後:件名「〇〇の料金の決まり方と、見積もりの例」。中身は、料金が何で決まるかと、料金のページのリンク

14日後:件名「30分のオンライン相談を受け付けています」。中身は、相談で分かることと、申し込みのリンク

14日後までに相談の申し込みが無い相手:月1回のお知らせのメールに切り替える

2本目のシナリオは、1本目のメールの開封、リンクのクリック、相談の申し込みの数を見てから作ります。

手順5 スコアリングで営業に渡し、商談の結果で配点を見直す

スコアリングは、狙う相手に当てはまるかと、検討が進んだことを示す行動に点数を付け、合計が基準を超えたら営業の担当者に知らせる設定にします。

次の配点は、最初に置く例です。

狙う業種・従業員数に当てはまる:+20点

役職が部長以上:+10点

資料をダウンロードした:+20点

事例のページを見た:+10点

料金のページを見た:+20点(2回目からは1回につき+10点)

セミナーに申し込んだ:+20点

30日間、メールの開封もWebサイトの閲覧も無い:-10点

合計が60点を超えたら、営業の担当者に知らせ、2営業日以内に電話かメールで連絡する

点数を付けられる行動はツールによって違い、たとえばList Finderは、決めた重要なページを見たかと、ページビューで点数を付けます(2026年10月時点)。

試用のときに、この配点の例を設定できるかを確かめます。

営業に渡した見込み客のうち、商談になった割合を毎月数え、商談にならなかった相手に多く付いていた行動の点数を下げます。

代表・平野のnote▼

オンリーストーリー代表の平野は、検討に半年以上かかる商材を扱う経営者と話すと、予算や役員会のタイミングで失注するという悩みが必ず出てくると話しています。

そのうえで、BtoB営業で負ける原因は、商品力や営業力よりも、接点を維持し続けられなかったことにあるのではないかと述べています。

一度「今は必要ないです」と断られた相手に次に連絡するのが1年後では、その間に競合に取られるか、自社を忘れられてしまうと指摘しています。

自社を覚えている決裁者や役員との関係を「関係性資産」と呼び、ニーズが表に出たときに真っ先に思い出してもらえる会社になることが、タイミングによる失注を防ぐ唯一の方法だと考えています。

代表・平野のnote▶ 今すぐ客ではない相手を半年後の受注に変える方法を代表が語ったnoteはこちら

決裁者との商談を増やしたいとき

決裁者との商談を増やしたいときは、MAツールで見込み客を育てるのと合わせて、決裁者に直接会える経路も使います。

MAツールで広告や宣伝のメールを送れるのは、送ることに同意した人や、名刺などでアドレスを知らせてくれた人などに限られ、まだ接点の無い決裁者には届かないためです。

オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。

12年で築いた8,000名以上の決裁者ネットワークから、受付や担当者を通さずに決裁者と面談できます。

一方で、商材の単価が低い場合や、担当者の段階で決裁が終わる商材では、効果が出にくい傾向があります。

ABMで会いたい会社を決めているなら、その会社の決裁者と決裁者マッチングで会い、名刺を交換したあとの連絡をMAツールのメールで続けると、接点を保ちやすくなります。

オンリーストーリーの事例▼

IP電話のサービスを提供するあるSaaS企業では、興味関心の強い見込み客への連絡がひととおり終わり、ホットリードが減ってきていました。

ABMで連絡すべき会社がはっきりしてきたため、その会社の決裁者に直接連絡する手段として、決裁者マッチングを使い始めました。

その結果、利用を始めてから8か月で約100人の決裁者と会い、6件の成約につながっています。

その場で導入に至らない相手とも、共催ウェビナーや相互送客で互いの見込み客に連絡できるなど、すべての出会いを双方の利益につなげられる点に価値を感じているといいます。

導入事例▶ ホットリードが減ったあと、ABMで選んだ会社の決裁者と会って成約した事例はこちら

まとめ

MAツールは、見込み客の情報と行動を記録し、相手に合わせたメールの配信と、商談につながりそうな相手の選び出しを自動で行うツールです。

料金は無料のプランから月額180万円のプランまで幅があるため、年間の費用を商談1件あたりの費用に直して比べます。

導入するときは、営業に渡す条件を決め、メールを送ってよい相手と行動の記録の扱いを確かめてから、シナリオ1本とスコアリングの基準で始めましょう。

まだ接点の無い決裁者と会いたいときは、決裁者に直接会える経路も合わせて使いましょう。

よくある質問

Q. 無料のMAツールでも足りますか

A. メールの自動化とフォームを試す段階なら、無料のプランで始められます。

List Finderのフリープランは顧客データが100件まで(2026年10月時点)など上限があるため、見込み客が増えたら有料のプランと比べます。

Q. 担当者が1人でも運用できますか

A. 運用できますが、最初はシナリオ1本と、営業に渡す点数の基準1つに絞ります。

文面を作る時間が足りなければ、SATORIやList Finderのように運用を手伝うサービスがあるツールも選べます(2026年10月時点)。

Q. 見込み客が少なくても効果はありますか

A. 見込み客が少ないうちは、MAツールより先に、見込み客を増やす施策に時間を使います。

送る相手が少ないと、メールの反応の差を比べにくく、配点を見直す材料も集まりにくいためです。

Q. MAツールとABMはどう違いますか

A. ABMは、狙う会社を先に決めてその会社の課題に合わせて働きかける手法で、MAツールは、その働きかけのメールの配信や記録を自動で行う道具です。

ABMで選んだ会社の見込み客にメールを送るときにも使えます。

この記事の監修者

平野哲也

平野 哲也(ひらの てつや)

株式会社オンリーストーリー 代表取締役

BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。

累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。

「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。

ENICXO
メッセージアイコン オンリーストーリー代表 平野からのメッセージ
オンリーストーリーでは、これまで10年以上にわたり、
BtoB営業における「集客の課題」と真剣に向き合ってきました。

経営者同士が信頼でつながるマッチングプラットフォームや、
想いを届ける手書きの手紙など、独自の形で支援を続けています。

そして最近では、経営者同士を直接つなぐ「顧問&コミュニティサービス」も新たにスタートしました。

私たちが大切にしているのは、単なるマッチングツールの提供ではなく、
一社一社の課題に寄り添い、"本当に意味のある出会い"をつくることです。

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